モントブレチア のバックアップ(No.8)

モントブレチア（Montbretia）は、アヤメ科ヒオウギズイセン属（Crocosmia）の植物の総称。
その名前は、フランスの植物学者エルネスト・コクベール・ド・モンブレ（Ernest Coquebert de Montbret、1780 - 1801）への献名。
ナポレオンのエジプト遠征において、現地の植物研究のために弱冠20歳でエジプトに派遣された気鋭の若手植物学者であったが、
同地でペストに冒され、わずか21歳で早世した。

花騎士モントブレチアのモチーフとなった種は、ヒメヒオウギズイセン（Crocosmia x crocosmiiflora）。
南アフリカ原産のヒオウギズイセン（C. aurea）とヒメトウショウブ（C. pottsii）をかけ合わせた園芸用の雑種であり、
日本には明治時代に持ち込まれたと言われる。
アヤメなどと同様の緑色で細長く縁の鋭い葉を多く茂らせ、ジグザクの形（これもアヤメ科の花によく見られる構造）に
濃いオレンジ色の花をたくさん咲かせる。花期は7～8月。

さてこのヒメヒオウギズイセン、栽培にあたって注意せねばならないのは繁殖力がとんでもねえことである。
一度球根を植えるや、ほったらかしでも花壇を制圧する勢いで増殖し、今や人の手を離れて世界中で野生化している。
本来は水辺や湿地を好むが、耐寒性や耐乾燥性もあり、日照にもあまりこだわらず、どこにでも生える。
アウトドア勢の団長諸兄は、夏休みの時期、川や池の周辺などを中心に注目してみて頂きたい。割と見つかるはず。
あまりの繁殖力によって日本の在来植物を脅かすということから、佐賀県では条例によってヒメヒオウギズイセンの栽培は禁止されている。