ハナモモ(ジューンブライド) のバックアップ(No.30)

あかりをつけましょ ぼんぼりに
お花をあげましょ 桃の花
五人ばやしの 笛太鼓
今日はたのしい ひな祭り

ハナモモとは、花を鑑賞するために改良されたモモで、花つきがいいためよく庭木に利用される。分類としては、バラ目バラ科サクラ属である。
原産地は中国北部とされており、江戸時代の品種改良を経て今のハナモモに至る。
花期は３月から４月で、サクラより早い。また、花色は主に赤、桃色、白の三つで、紅白咲き分けもある。
ハナモモと一口言っても、色々な品種があるので、下に紹介する。

・ヤグチ（矢口）
江戸時代に品種改良されてできたハナモモの有名な品種である。
葉っぱの先が尖っている。いわゆる鋭尖頭である。
早咲き（３月中旬）の八重咲きで、淡紅の中輪花はまさに「気立てのよさ」を表しているよう。キャラデザインから、おそらくハナモモちゃんはこのヤグチを元にしていると思われる。
また、葉えきに花をつける。

・ゲンペイシダレ（源平枝垂）
同じく江戸期より見られるハナモモの一種である。
４月上旬に咲き、紅白咲き分けの八重咲きが特徴的で、絞りの花を花房状に垂れた枝につける。
画像を探してみれば、まさに美しいの一言に尽きる。

・ホウキモモ
名前どおり、枝がホウキ状に直立するのが特徴のハナモモである。江戸期に作られた。
花期は４月上旬で、大輪の花を咲かせる。まったくかわいらしい。
八重咲きで葉えきに花をつけ、白、紅、紅白咲き分けがある。

・キクモモ（菊桃）
同じく４月上旬に咲くハナモモである。
花つきがよい八重咲きで、花弁が細く切れている。菊を思わせる独特の花形で見分けることができる。
赤に近い濃桃色の花を咲かせる。

・ザンセツシダレ（残雪枝垂）
白色の大輪の花を花房状に垂れた枝につける、雪のように美しいハナモモである。
４月上旬が花期の八重咲き。

・カンパク（関白・寒白）
３月中旬に大輪の花を咲かせる、白色のハナモモである。葉えきに花をつける。
八重咲きで、清楚さとかわいらしさ両方備えている。
ちなみに、葉は広倒披針形か楕円状披針形である。

以上、ハナモモの主な種類を紹介した。
ハナモモは花つきを重視した園芸品種なので、実が小さく、食用に向かない。
もう一度言うが、実が小さい。決して他意はない（ごくり）
江戸期に作られたこともあって、モモねえさまより幼いのも当然。
団長の皆さま、ぜひかわいい花を咲かせる彼女を愛でてください。

園芸品種なので、スペースに余裕のある団長さまは育ててみてはどうだろうか。
難易度は中級者向けではあるが、それほど難しい訳でもないので、チャレンジに値すると思われる。
春に幸せを運んでくる。育てればあなたの騎士団にも訪れるかもしれない。
ここで、簡単に育て方を紹介してみよう。

植え付け：耕土が深く水はけのよい肥沃な土壌が適する。地下水の高い庭では水はけを図るよう高植えとすることが大切。１２月から１月が適期で、過ぎると春の萌芽が遅れる。植え穴には堆肥を１０～２０リットル入れ、土とよく混ぜて高植えとし、支柱をしっかり取り付ける。
整枝・剪定：樹冠内部への通風、採光を図る。１２月下旬から１月に剪定を行う。その際、太い枝の切り口には保護剤を塗って腐敗を防ぐ。混み合った枝、不要な枝を中心に整えていこう。
四季の管理：移植を好まず、植え付けて５～６年経過した株の移植は困難である。施肥は油粕（アブラナさん……）と骨粉を半々に混ぜたものを１月下旬～２月上旬に。また５月上旬に粒状化成肥料を追肥する。
苗の増やし方：３月に接ぎ木、または８月～９月上旬に芽接ぎで増やす。実生も容易ではあるが、親株と異なった花になってしまうので注意を。
病害虫：比較的多く見られるので、早めに駆除、防除していった方がよい。コスカシバ、縮葉病には要注意。

よく枝伸びするので、気のある団長様さまは、矮性種以外は鉢植えをお忘れなく。また、庭植えであれば、ひどい乾燥期以外は水やり不要である。

ちなみに、ハナモモ（モモ）は自治体の花にも指定されている。
・宮城県の名取市（町の花）
・茨城県の古河市（町の花）
・岐阜県の揖斐川町（町の花）
・埼玉県の八潮市（市の花）

ハナモモとひな祭りは縁の深い関係にあるが、「お花をあげましょ桃の花」の品種は上に書いたヤグチである。
分布というのも東北から沖縄まで。広く親しまれているんですねハナモモちゃん。
花言葉はまさに本人の言っているとおり、「気立てのよさ」、「恋のとりこ」、「恋の奴隷」、「あなたに夢中」である。勝手に恋とロリを置き換えるな。

そういう訳で、どうぞその強さと共に、かわいくて貴重なロリロリな彼女を大切にしてあげてください。

〈参考文献〉
書籍
・安藤通男.『庭に植えたい樹木と草花』.池田書店.2013年.
・船越亮二他（執筆者）、鈴木哲（発行者）.『くらしを楽しむ庭木の本』.講談社.2014年.
・本田正次、林弥栄、古里和夫.『原色園芸植物図鑑Ⅱ』.北隆館.1988年.
ウェブ
・花ひろば.「ハナモモ　矢口　記念樹　専門店の苗木通販　販売　花ひろば」.花ひろば.〈http://www.hanahiroba.com/〉2015年5月19日参照.
・ウィキペディア一部参照