ニシキギ のバックアップ(No.3)

ニシキギ科ニシキギ属の落葉低木。日本と中国、韓国の明るい林内に自生する。
５月ごろに花を咲かせるが、薄い緑色でしかも小さく、地味でほとんど目立たない。
その代わりに、秋には葉が燃えるような赤色に染まり、非常に美しい姿を見せてくれる。
このため観賞用として人気が高く、庭木や生け垣などに利用されることも多い。
ニシキギはもちろん「錦木」の意。鮮やかな紅葉を錦に例えたのが由来。
英語でも紅葉の美しさから、ニシキギの仲間を"burning bush"と呼ぶ。また木材から紡錘車を作ったことから"spindle"とも。
スズランノキ、モミジと並んで世界三大紅葉樹に数えられる、とwikipediaのニシキギの項目と、それをコピペしたサイトには書かれているが、
別のところではモミジを除き、世界三大広葉樹をニシキギ、スズランノキ、ニッサとしているところが多い。
たぶん特に誰が決めているというものでもないと思われるので、各人お好きな世界三大紅葉樹を自由に決めていいのではないだろうか。
花のあとにできる小さな果実も赤色で可愛らしい。熟すとパックリと割れて、中からこれまた鮮やかな柿色の種子が飛び出してくる。
正確にはこの柿色の部分は、種子を覆っている仮種皮（または種衣）と呼ばれる組織であり、
分かりやすい例を挙げると、ザクロの種の周りにくっついているプルプルした赤い部分と同じものである。
ニシキギの仮種皮もプルプルしていて美味しそうだが、有毒であるそうなので、食べてしまわないように。
昔は果実を砕いて頭髪油で練ったものを、毛じらみの駆除に用いたという。

同属のツリバナやマユミなどともよく似ているが、ニシキギに特徴的なのは
若い枝に沿うように「翼（よく）」と呼ばれる、コルク質の板が生えていることである。
一見すると枝の補強のようにも思えるが、その割にはコルク質で柔らかすぎ、
しかも途中で途切れ途切れになっているので、あまりそのような効果は期待できそうにない。
結局のところ、翼が何のためにあるのかはよく分かっていないのだが、
翼の発達具合は大きいものから小さいものまで、個体によってかなり気まぐれであり、
翼をむしり取ってしまったりしても、成長に何の影響もないそうなので、
翼が何らかの機能的な役割を担っているとは考えにくいのではないか、といわれている。
東京大学大学院の塚谷裕一教授によれば、ニシキギの翼は実は一種の奇形であったが、
それが生存競争において、特に有利にも不利にも働かなかったので、
なんか流れでそのまんま定着しちゃったのではないか、ということである。
それが人間にとって観賞価値として認められ、褒めそやされているというのだから、世の中何が役に立つか分からないものである。
また、ニシキギの中でもコマユミなど観賞用の品種には翼ができないものもある。
翼を天日干しにしたものは「衛矛（えいぼう）」と呼ばれる生薬になり、月経不順に煎じて飲むほか、黒焼きにしてとげ抜きに使う。

錦木は　たてながらこそ　朽ちにけれ
　　　　　　狭布の細布　胸あはじとや

秋田県鹿角市には「錦木塚」という塚が存在し「錦木伝説」なるものまで伝わっているが、
この「錦木」は植物のニシキギのことではなく、５色に彩った木の枝を束にしたもののことだそうである。
この地方の風習で、男性が女性に結婚を申し込むために、相手の家の戸口にこの錦木を立てかけていき、
もし相手の女性が錦木を拾って家に入れたら、求婚を受け入れた合図とみなされる。
求婚が受け入れられなかった場合は、その後も毎夜１本ずつ錦木を立て続けていき、
その数が千本になれば晴れて結婚できる、という決まりであった。なにそれこわい。
錦木伝説は錦木にまつわる、とある報われなかったふたりのお話。
そして世阿弥の謡曲「錦木」はそのアフターストーリーを描いたものだが、それはまた別のお話。

　武器はスリングショット。ちなみに、歩兵用のゴムの弾性を利用した兵装を「スリング」と呼ぶが、基本的には同じものである
もっとも原始的な遠距離攻撃は、投石と考えられているが、投石を段階的に進化させたのがスリングとカタパルト。
カタパルトはテコの原理を利用して弾性を創造する据え置き型の兵器。スリングはテコの原理を用いない携帯型になる。この弾性を生み出す素材と投擲素材によって、その破壊力が大きく異なる。
パチンコなる俗称で親しまれているが、凶器である。
ところで、投石という原始的な攻撃手法は戦場では想像できないが、拠点防衛などでは重要な攻撃手段として建築設計レベルで重要視されている。据え置き型の投石装置（カタパルト）は当然だが、人力投石用の石の保管倉庫が設けられている城塞は多い。特に中欧・東欧地域の城塞には必ず存在している。城塞攻防では物資欠乏状態で様々な用途性を持つ石が重要になることが要因（矢は殺傷力があるが城塞攻防では敵側に拾われて凶器に簡単に変貌するが、石は簡単には敵側の凶器にならない。）
ちなみに、「印地」（いんじ）という日本語は、戦闘手法として投石そのものを表す言葉として独立して存在する。日本の戦国時代では、強制徴発された農兵が投石兵として活躍？する場面もある