サイネリア のバックアップ(No.14)

サイネリアはキク科ペリカリス属に分類される、多数の交配品種群である。
カナリア諸島原産のペリカリス・クルエンタ[Pericallis cruenta]とラナータ[P. lanata]との交雑種をもとに、１８世紀にイギリスで品種改良が行われた。
花期は１月～４月ごろ。株全体を覆い隠すように大量の花を次々と咲かせ続けるため、小さくても見栄えのする花である。
非常に多くの品種があり、花の色はオレンジ系以外はほぼ揃っていると言われている。単色だけでなく、中心部が白く抜ける蛇の目模様になるものも人気。

原産地のカナリア諸島は年間を通して気候が安定しており、天然の温室育ちであるサイネリアは暑さ寒さともに弱い。
特に暑いのは大の苦手で、本来多年草であるが、日本の気候では夏越しが困難なため、一年草として育てることが多い。
寒さにはそれなりに耐えるが、最低で５℃程度までが目安。そのくせ１０℃以下の低温を経験しなければ綺麗に花が咲かないため、温度管理のチキンレースを強いられる。
また、冬に出回る開花株はほとんどが温室栽培されたものなので、特に寒さに弱い。日当たりの良い室内で管理してあげよう。
うどんこ病、灰色かび病、褐斑病などの病気にかかりやすく、アブラムシやコナジラミなどの害虫にも弱い。とにかくデリケートで手がかかる花である。

サイネリアという名は旧属名の"Cineraria"に由来する。本来ならばシネラリア、もしくはキネラリアと読むのが正しいが、
日本語では「死ね」を連想させ縁起が良くないため、やや無理をしてサイネリアと呼ばれるようになった。
ただサイネリアという名前も「災」に通じるから良くないとかなんとか。新手のいじめか。
シクラメン同様、花に罪はないが、見舞いには禁忌とされる花なので、意図的な嫌がらせ以外では使わないようにしよう。
ちなみに、この名前はラテン語で「灰」を意味する"cinerarius"から来ており、花のあとにタンポポのような灰色の綿毛をつくることが由来なのだが、
偶然にも、英語の"cinerarium"（納骨堂）、"cinerary urn"（骨壷）、"cinerator"（火葬場）、"cineration"（納骨）といった単語も同じ語を由来としており、なんとも縁起が悪い。
しかし、英語圏の国々ではそもそもこの手の験担ぎに縁がないのか、幸いにもサイネリアが縁起の悪い花とされることはないようである。
そんなサイネリアの花言葉は「常に快活」。人間どもからどう言われようとお構いなしに、今日も明日も元気に咲き続けるのである。