オシロイバナ のバックアップ(No.16)

オシロイバナ(白粉花)
学名：Mirabilis jalapa　科:オシロイバナ科ミラビリス属
種の命名者：植物分類学者カール・フォン・リンネ
属名の"Mirabilis"(ミラビリス)は「不思議な」「素敵な」「驚くべき」という意味のラテン語。
種名"jalap"は、本植物の原産地メキシコの都市名ヤラッパ（Jalapa）が由来。

英名1.marvel of Peru（ペルーの不思議）　花の色に変異の多いことから
英名2.Four-o'clock（午後４時）　花が夕方４時頃から咲きだし翌朝にはしぼむ事から。

熱帯アメリカ（メキシコ）原産の多年草である。
日本へは江戸時代に伝来し、現在に至るまで観賞用として盛んに栽培されているが、野生化し雑草として扱われることも多い。
根は太い直根で、熱帯地域で植えると根が肥大して重さ20kgほどの大きさになるとか。
茎も緑色で太く盛んに枝分かれする事が特徴。草丈は1mくらい。花は、夜咲性な為か、夜間観賞用になっている。
花の色は変異が多く、基本はピンク色から赤紫色だが、白花や黄花を生じることもある。
花のように見えるのは「がく」が色付いたもので、オシロイバナの花は本来花弁を持たない。
花の奥には蜜が蓄えられており、子供の頃に蜜を吸って遊んだという団長も多いであろう。
蜜のある箇所はとても奥まっているので、主に長い口を持つスズメガの仲間が吸いに来る。
夕方に花を開くので「ユウゲショウ(夕化粧)」とも呼ばれる事も。
中国での呼び名は「紫茉莉」(マツリカ（茉莉花）＝ジャスミンと似ているため)「吃飯花」(花が咲く時間から)。
フランスでは、belle-de-nuit（夜の美人）とも呼ばれる。朝まで咲いてる(ように)見えることから。

団長さんの中には子供の頃に、遊びでオシロイバナの【黒くて堅い果実】を潰して遊んだ経験がある方も居られると思うのだが、
この種子を潰した時に出る白い粉（胚乳と呼ばれる箇所）が化粧の「白粉（おしろい）」に似ている（実際に代用にしたという説もある）事が和名の由来とされている。
オシロイバナの種子は有毒であり、肌に塗るのに適しているとは言い難いが、本来の白粉もかつては鉛や水銀の化合物を用いていたことがあり、
多量の白粉を日常的に使用していた江戸時代の舞台役者は、総じて短命であったという。美の代償は大きい。

根は生薬「紫茉莉根（シマツリコン）」としても使われているが、有毒のため素人処方は厳禁。
ブラジルではオシロウバナの全草、または根を民間薬として利用。糖尿病に対して、根を茶剤や煎剤として服用されている。

日本の俳句では秋の季語として、「金化粧」「銀化粧」「野茉莉（のまつり）」「紫茉莉」
「燕脂花（えんしか）」「夕錦（ゆうにしき）」等と呼ばれる。･･･そこ、『ハイクを読め』とか言わないように･･･

根はいも状になり、暖地では冬に花が枯れてもこの根が生き残り翌年に根から芽を出す。
(根や種子にはアルカロイドのトリゴネリン(Trigonelline)を含み毒性がある為、間違っても食用にしない様に）
余談だが、種名の"jalap"由来に関する逸話として、メキシコ原産のヒルガオ科植物"Ipomoea purga"の
根からつくられる下剤【Jalap】(ヤラッパ根)として代用されていた事から、とも言われている。