金曜任務　ベルガモットバレー防衛戦 のバックアップ(No.11)

―ベルガモットバレー　都市郊外　断崖周辺―

各国周辺に現れた、新たな大型害虫たち。
普段は遠征討伐の控えとして戦力を温存している花騎士たちも、
一時的に所属国家へ帰投し、国家防衛任務の戦力として動員されることに。

シクラメン
「えっと、私の任務は……。
　ホトトギスさん、サザンカさんという方々と一緒に、
　岸の向こうまで攻め込むこと……？」

シクラメン
「うぅ、大丈夫かなぁ……。
　作戦もそうだけど、
　みんなと上手くやれるかなぁ……」

ホトトギス
「ど、どうも。こんにち……は」

シクラメン
「……！！
　ここ……こ、こんにちは」

ホトトギス
「わたし、ホトトギスです……。
　岸の向こうに行く任務を受けて……えっと」

ホトトギス
「シクラメンさん……で、あっていますか……？」

シクラメン
「は、はい。私がシクラメンです」

ホトトギス
「良かったぁ……。
　えーっと、あとはサザンカさんが来るはずで……」

サザンカ
「ウッヒィー！　おまたせーっ！
　シクラメンにホトトギスだね？
　ボクがサザンカでーす、よろしくー！」

シクラメン
「…………」

ホトトギス
「……………………」

サザンカ
「なんだか難しそうな任務を受けたけど……。
　そういうのって、たまらないよね！
　困難に打ち勝ったときの達成感っていうのかさ～」

サザンカ
「害虫も強そうなのがたーっくさんいるし、
　やりがいがあるってもんだよ！」

サザンカ
「ウッヒヒーィ！！」

ホトトギス
「……わ、
　わたしたちも行きましょうか、シクラメンさん」

シクラメン
「は、はいっ。
　よ、よろしくお願いします……」

―ベルガモットバレー　都市郊外　断崖周辺―

先発部隊の活躍により、移動経路を確保したベルガモットバレーの花騎士たち。
しかし、害虫たちの出現が止まる気配はない。

断崖の向こうへたどり着いた部隊を追いつつ、
新しい作戦の立案が急がれていた。

シロツメクサ
「本作戦の立案と指揮を任されたシロツメクサです。
　早速ですが、作戦内容の説明に移り……」

アイリス
「あら？　作戦の立案なら私の出番かと思いましたが……」

ワレモコウ
「モコウも断じて参戦したい、です？」

シロツメクサ
「あ、あれ？　そうなんですか？
　……まぁ、これはなかなか珍しい機会です。
　きっと良い知恵が出ることでしょう」

シロツメクサ
「それではまず、わたしの考えですが―」

アイリス
「……あら、それならこうした方が―」

ワレモコウ
「そこはちょっと―モコウは断じて納得しかねる……？」

シロツメクサ
「なかなか決まりませんね」

ワレモコウ
「……船頭多くして、船、山に登ってる？」

アイリス
「三人寄れば文殊の知恵、とは一体……」

シロツメクサ
「……兵は拙速を尊ぶといいます。
　わたちたちがここでこうして話しているより、
　進軍した方がよさそうですね……」
　（編集者の声:×わたち→○わたし？　話し合いでお疲れのようです）

－ベルガモットバレー　都市郊外　山脈付近－

国を挙げての防衛線はまだまだ続く。
作戦らしい作戦の立案もなかったベルガモットバレーの花騎士たちは、
苦しい戦況を強いられながらも徐々に害虫勢力を押し返していた。

ミント
「くぅ……害虫もだんだん強くなってきている……。
　このままじゃダメ……私には、これしかないのに……」

ミント
「他の花騎士たちは……。
　まだ、余裕のある人も多そう。
　一体、何が私に足りないんだろう……」

ジャスミン
「大丈夫かしら、ミント？
　怪我としてない？」

ミント
「……っ。あ、ありません。大丈夫です」

センニチコウ
「無理はしなくていいのよぉ？
　休息は必要だし、甘えたいときは甘えていいんだからぁ」

ミント
「お……お心遣い、感謝します」

ミント
「　　　　　　　　　　　　　　　　　　　おっきいなぁ」

センニチコウ
「ミントちゃん？」

ミント
「な、なんでもありません！」

ジャスミン
「悩んでいることがあるなら、
　今のうちに言っておいた方がいいですわよ？」

ミント
「い、いえ。大丈夫です！
　すみません、本当になんでもありませんので……」

ジャスミン
「そう、ならいいのだけど……」

センニチコウ
「それじゃあ、そろそろ行動を開始しましょうかしらねぇ」

ミント
「…………」

ミント
「―やっぱり、おっきくないとダメなのかなぁ…………」

－ベルガモットバレー　都市郊外　渓谷地帯－
押せども押せども、終わることのない害虫侵攻。
長引く戦いは各国花騎士たちを疲労させる一方で、
少しずつ、新たな味方の増援を呼び始めてもいた。

ヤマブキ
「ちぇ……面倒なことになってるな。
　久しぶりに地元に戻ってきたと思ったら、
　厄介な任務をおっ被せられてやんの……」

コスモス
「はぁ……やっぱり美人だなぁ、ヤマブキさん。
　あんなに綺麗な花騎士なら、
　どんな団長でもイチコロに違いないわ」

コスモス
「きっと毎晩、執務室では
　あんなことやこんなことが繰り広げられて……」

チョコレートコスモス
「ちょ、ちょっと！
　そういう妄想はよくないよ、コスモスちゃん！」

コスモス
「そういう妄想……って、どういうの？」

チョコレートコスモス
「へっ！？」

コスモス
「私……あんなこと、とか、
　そんなこと、としか言ってないんだけど」

チョコレートコスモス
「えと、あの……そ、そういうのっていうのはぁ……」

コスモス
「そういうのっていうのはぁ……もしかして」

コスモス
「ごにょごにょごにょごにょ……？」

チョコレートコスモス
「え？　え？？　え？？？
　あの、ちがくて……私、別に、
　そ、そんなことを考えてたわけじゃ……！」

コスモス
「なんだ、違うの？」

コスモス
「じゃあ……ゴニョゴニョゴニョゴニョ？」

チョコレートコスモス
「ち、ちが……！　っていうか、
　なんか、さっきよりすごいことに……！」

チョコレートコスモス
「……ふわっ」

コスモス
「あはは。ウブだなぁ、チョコちゃんは」

ヤマブキ
「なんだ、負傷者か？
　……面倒だけど、一応安全なところまで運んどいてやるか」

コスモス
「……あぁ、チョコちゃん。
　ヤマブキさんとどこ行こうというの？
　どこへ行って、二人で一体何をしようというの……？」

ヤマブキ
「……お前も、ちょっと診てもらった方がいいか？」

－ベルガモットバレー　都市郊外　渓谷地帯－

岸の向こうへの部隊派遣－。
作戦系統の若干の混乱－。
地力の強さを大いに見せつけ、害虫を押し返す花騎士たち－。

風谷の世界花・ベルガモットバレー防衛線。
永きに渡るその戦いに、とうとう一つの区切りが訪れようとしていた。

ストロベリーキャンドル
「防衛線もいよいよ大詰めって感じだなぁ。
　今日も日記に書くことがたくさんありそう」

ストロベリーキャンドル
「……お？
　あそこにいるのはキンモクセイさんかな」

ストロベリーキャンドル
「作戦の混乱で崩れた前線を支え直したのって、
　実は彼女の采配だって聞いたけど……。
　はてさて、一体どんな人なんだろう」

キンモクセイ
「はぁ、気の抜けない戦いが続くなぁ……。
　でも、もともと防衛戦は得意だし、
　いつもよりは活躍できてるのかな……？」

キンモクセイ
「カエルくんはどう思う？
　ウチ、ちゃんと頑張れてるかな？
　……えへへ。ぷにぷに」

ストロベリーキャンドル
「なるほど。影の実力者は
　可愛いペットのカエル好き、と……カキカキ」

キンモクセイ
「わ、わわ！　びっくりしたぁ……。
　急に現れるから、一体何かと……」

オトギリソウ
「カエルといえば忍びガマ！」

キンモクセイ
「わわわ！　ま、また急に……」

オトギリソウ
「忍びガマといえば、そう忍者！
　いいよね、カエル！
　恰好いいし、可愛いし！」

ストロベリーキャンドル
「なるほど、なるほど。
　忍ばない忍者もいる、と……カキカキ」

オトギリソウ
「ははは！　そんなマヌケな奴がいるわけ……」

オトギリソウ
「…………」

オトギリソウ
「ドロン！」