橋の向こうで出会ったヤツは
太陽に良く似た姿だった
百獣の王、ライオンの姿をした霊獣である。
花とは縁のなさそうな動物ではあるが、意外にも花とは切っても切れない関係にある。
①タンポポ
御存じの方も多いだろうが、タンポポの英語名はダンディライオン(dandelion)である。
しかし、意外と知られていないのはその由来。タンポポの花がライオンのたてがみに似通っている……からではないのである。
英語名の由来はフランス語で「ライオンの歯」を意味するダン=ド=リオン(dent-de-lion)という言葉なのだが、
これはギザギザした葉がライオンの牙を連想させることによる。つまり、似ているのは花ではなく葉の方だったと言う訳である。
とは言え、タンポポの花とライオンのたてがみが似ているのは確かである。
②花王とライオン
花の王様? 違います。洗剤などを作っている日本を代表する大手化学メーカーの事です。
そしてライオンもまた、洗剤、石鹸、歯磨き等々を手がける日本の大手メーカー。企業スローガンは「今日を愛する」となっている。
ライオンにとって花王は事業分野的に最大の競争相手企業になっており、いわばライバル関係である。実は創業年数も近かったりする。
(花王:1887年,ライオン:1896年(会社概要では1918年が設立年であるが、前身の商店は前述した年数から始まっている))
ライオンの始まりは、1896年(明治29年)に粉ハミガキ「獅子印ライオン歯磨」を発売した事が契機となっている。
競合するほとんどの商品シェアは花王に次ぐ第二位であるが、始まりでもある歯磨き粉は現在でもトップシェアを誇っている。流石の貫録である
③
④ライオンゴロシ
という植物が存在するのである。しかも英名は"Devil's Claw"・・・絶対植物じゃないだろこれ、武器だろ。
ライオンゴロシはカラハリ砂漠を中心に西アフリカに自生する、ゴマ科の多年草である。
芋のような太い地下茎はヨーロッパで古くから薬用とされ、夏には可愛らしいピンク色の花を咲かせる植物だが、
この植物がライオンゴロシと呼ばれる由縁は、その特徴的な果実にある。
直径12cmにもなる大きな果実からは、先端に鋭い鉤爪の付いた硬い刺が、四方八方に突き出しているのである。
要は超スゴイくっつき虫なのだが、その異様は確かにライオンゴロシの名にも恥じぬ、凶悪な印象を与える。というかどう見ても凶器です。
ライオンゴロシは地を這うように成長する植物である。その上を野生動物――例えばライオンが通りかかると、
ライオンゴロシの実はくっつき虫よろしく、鋭い鉤爪でライオンの足に引っかって運ばれてゆく。
硬い刺は歩くたびに深く突き刺さり、激痛をもたらす。口で刺を抜こうとすると、不幸なことに口にまで刺さってしまうことがある。
傷口から粘膜が化膿して激痛を訴え、しまいにはものを食うことも、水を飲むことすらもできず、哀れなライオンは死んでゆくのである。
やがてライオンゴロシの実からこぼれ落ちた種は、ライオンの死体を養分として、新たなライオンゴロシを大地に芽生えさせるのだ。
そして荒野に青々と枝葉を茂らせ、ライオンゴロシは待ちわびている。次の犠牲者がその上を通りかかるのを――
・・・などと言われているが、この噂の信憑性についてはかなり疑問が残り、単なる都市伝説であるという可能性が高い。
野生動物がライオンゴロシの実によって怪我を負うということは確かにあるらしいので、そこから感染症などで死ぬということも十分ありえるだろうが、
だからと言って、ライオンゴロシがそのような偶然を前提とした繁殖方法をとっているというのは、いささか眉唾な話ではないだろうか。
それにしても、ライオンを殺して養分にする植物とは、都市伝説としては中々悪くないB級ホラー感があるので、話のタネにはなるかもしれない。
他にも子供向け絵本に「花喰いライオン」と言うお話があったりするなど(どんなお話しかは各自団長で調べて見てもらいたい)、花とライオンとは何処か妙な縁がある。
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