パキラ のバックアップ(No.5)

パキラ(Pachira)はアオイ科パキラ属の木本植物。
中南米原産で、77種ほどが属する。
日本では観葉植物として有名である。

室内向けの木本系観葉植物としては、ドラセナ、ガジュマルなどに並ぶ定番種であり、
小さいながらもしっかりした木の質感を持つ幹と、笠状に広がる楕円形の大きな葉がチャームポイント。
本来は樹高１０ｍにも達する高木であるが、挿し木で増やした株はあまり大きくならず、観葉植物として流通するのはほとんどが挿し木である。
高さ数センチのテーブルサイズから人の背丈ほどのものまで、様々な大きさの鉢植えが流通しているので、お部屋の間取りに合わせたサイズで楽しむことができる。
もともと水辺に自生する植物のため、近年流行のハイドロカルチャー（水栽培）にも対応。その人気に更なる広がりを見せている。
三つ編みや五つ編みに仕立てられた鉢もよく見られる。髪型の元ネタもこれだろうか。
これは1986年に台湾で発明され流行したもので、最初に仕立てたのはトラックの運ちゃんだったらしい。
自然に三つ編みになるわけではなく、わざと密生させてヒョロヒョロに育てたパキラを一度掘り上げ、人の手で編んだ後、再び畑に戻して育てるとこの姿になる。

人気の観葉植物として至る所で目にすることができるパキラだが、花を咲かせているところを見る機会は意外にもほとんど無い。
もちろん花が咲かないわけではないのだが、パキラは種から育った実生株にのみ花をつけるため、一般に流通する挿し木の株では花が咲かないのである。
また、実生株を入手できたとしても、花が咲くようになるまでには５～１０年という長い成熟期間を要する。中々見られないのもやむなしである。
ちなみに、パキラの花はイラストにある通り、無数の長いおしべが房状なった、ウニのような不思議な姿をしている。もし見られたらラッキーだと思っておこう。

パキラは英語で"money tree"、中国語で「發財樹」とも呼ばれ、縁起の良い植物としても親しまれている。
これは1980年代以降、パキラが人気の観葉植物として、台湾を中心にアジア各国で盛んに取引される重要品目であることに由来する。
パキラは財産と幸運を呼び込む、文字通りの「金のなる木」として、市場を支え続けているのである。
統計によると、2005年における台湾のパキラ輸出額はNT$250、当時のレートで約8億6000万円相当となっている。
風水的にも、パキラは強い陽の気を発すると言われており、仕事運上昇、集中力向上などの効果があるとされる。昨今のスピリチュアルブームに乗じて更なる財を成しそうである。

別名をカイエンナッツ(cayenne nut)、ギアナチェストナット(Guiana chestnut)とも呼び、原産地等では種子を食用とし、日本でも輸入されていた。
しかし、発芽した種子には微量ながらソラニン系毒素が含まれることが分かり、現在では食利用が禁止されている地域も多い。
ジャガイモと同様、ソラニン系毒素は加熱によって容易に分解でき、その量も微量であるため、ローストすれば食べられないこともない。
そもそもナッツ類には意外と有毒なものが多く、定番のおつまみであるアーモンドやカシューナッツなども生食は毒である。ナッツは安全に配慮し、適切に調理して食べよう。
もっとも、流通しているパキラは開花自体が稀な上、食用不適種だったりするので、わざわざ食べようという機会もあんまりないと思われるが。