ライムギ のバックアップ(No.43)

ライムギはイネ科ライムギ属の単子葉植物。

学名：Secale cereale
英名：rye
別名：クロムギ

本作のライムギは常夏の国所属でスキルダメージ高めの攻撃タイプだが、
元ネタの植物は寒くても痩せた土壌でも育つ守護タイプのような耐久力を持つ頑丈な穀物。
食用や飼料用として栽培される。

英語圏では単に「rye(ライ)」と呼ばれており、
日本ではそこに「麦」を付けた「ライ麦」という名前で呼ばれている。

日本に入ってきたのは19世紀頃だが、人類との付き合い自体は結構長く、紀元前3000年頃から栽培されている。
ビタミンやミネラル、食物繊維が豊富で、最近では健康食品的な扱いになりつつあるライ麦だが、
小麦の生産能力が上がり需要が減り始める18世紀頃までの間、貧困層の食生活を支え続けた庶民の味方でもあった。
元々麦畑の雑草だったものが長い時間をかけて品種改良されて今のようなライ麦になったなんて説もあったりする。
この雑草由来の頑丈さが好まれて、主に東欧や北欧等の麦が育たない寒冷地で栽培される。
HPを最大HPの200%まで維持できるのはそういうことだろうか？

ライ麦を製粉してパンにしたものがいわゆる「黒パン」である。ライムギの…黒パン…
小麦のパンよりも黒く、グルテンの無い硬い食感と乳酸で発酵したことによる独特の酸味がある。
味を気にしなければ密度が高くて水分が抜けにくい日持ちがいい素敵なパンである。

イネ科植物が麦角(ばっかく)菌に感染すると、穂に黒く硬い角のような麦角が生ずる。
ライムギは天候不順が続くような地域で栽培されていることが多く、麦角ができ易い。
麦角に含まれる麦角アルカロイドからは幻覚剤の「LSD」が製造される。
活用方法がわかっている今でこそ分娩促進剤などの医薬品として活躍している麦角アルカロイドだが
普通に食えば交感神経を麻痺させたり、血管が収縮して手足の末端を壊死したり、循環器がイカれたり、
中枢神経がやられて混乱、眠気、片頭痛、痙攣等の症状を引き起こす。最悪死ぬ。
しかしそれでも度々飢饉に襲われた中世ヨーロッパでは普通に食ってたようだ。
その結果、麦角菌の中毒で大惨事になった様子の記録が多く残っている。
これらの症状は「聖アントニウスの火」と恐れられ、聖アントニウスに祈ることで治ると信じられていた。
聖アントニウスの火に焼かれた症状を治すために聖アントニウスに祈るってそれ酷いマッチポンｐ…

図鑑の自己紹介で言っている「耳と目を閉じて、口を噤んだ人」という表現は
J・D・サリンジャーによる長編小説『ライ麦畑でつかまえて』の翻訳から引用したものと思われる。