スターチス のバックアップ(No.31)

【星読みと母親の約束】

前述した通り、かつて貿易船の船長を勤めていた母親は職業柄、幼き頃のスターチスと年に数回しか会うことしかできなかった。
いつも母親の帰りを待ち焦がれるスターチスは、その家庭事情を理解できるはずもなく不満を溜め続けていた。
ある日、怒りと共にその気持ちを母親に直接ぶつけてしまう。

娘の必死な訴えに心を痛めた母親は、スターチスに１つの約束をする。

「毎日同じ星を見て、同じ時間を過ごしましょう」

離れていても我が子が悲しまないように、船乗りには欠かせない「星読み」の技術を教えたのであった。

しかし当時のロータスレイクは鎖国中であり、すぐにまた貿易船の出航日が訪れる。
スターチスに渋々見送られて数日、故郷を想いながら甲板で星空を見上げる事が日課となったある日……
不幸にも貿易船が害虫の夜襲を受ける大事件が起こる。
幼きスターチスとの約束を守るために甲板に立っていた母親は、逃げる手段も身を守る術もなく害虫の格好の餌食に。
愛する我が娘と交わした何気ない約束が最悪の結果を招き、悲惨な死を遂げてしまう。

やがて船は帰港し、母の帰りを待ち望んでいたスターチスは、生き残った船員から母親の最期を突然突き付けられることとなった。

―自分がわがままを言わなければ、お母さんは甲板にいなかったかもしれない。
　もしかしたらあの時に助かっていたのかもしれない。

そんな自責の念を抱きつつも、母親の仇を討つ為に、そしてこれ以上犠牲者を出さない為に花騎士となり今に至る。

今日も亡き母親を偲びながら、満点の星空を見上げていることだろう。

スターチス(Statice、Limonium)はイソマツ科イソマツ属の総称。
かつてはイソマツ属の学名も「Statice」だったが、現在の学名はリモニウム(Limonium)になっている。
広義にはイソマツ属全般をスターチスと呼ぶが、狭義のスターチスとして日本で一般的に流通しているのは
ハナハマサジ(花浜匙、L. sinuatum)で、観賞用に植えられるほかドライフラワーや切り花としても利用される。
ハナハマサジは多年草だが、暑さに弱いため日本では基本的に一年草として扱われる。

スターチスの名はギリシャ語で「止める」を意味する「statizo」に由来し、下痢止めの薬として利用されていたことからこの名がついた。
星に関係するイベントでの登場となったが残念ながら「Star(星)」や「Stella(星)」とは一切関係がない。

キャラクターの背景に描かれている花のように見える青い部分は花を支える「萼」であり、花は内側の白い方だけである。
萼は種類によって様々な色があり、ドライフラワーにしても色褪せることがないためドライフラワーとしての人気も高い。