シンビジューム のバックアップ(No.3)

誠実
・私利私欲をまじえず、真心をもって人や物事に対すること。また、そのさま。

深窓の麗人
・身分の高い家に生まれ、大切に育てられた女子を意味する表現。「深窓」とは家の奥深いところという意味であり、そのような場所に隔離されて、俗世間に染まっていない様子を表す。
「深窓の令嬢」や「深窓の佳人」と言うこともある。また、類似の表現に「箱入り娘」がある。

私の未熟な筆では
この花の千分の一の美しさも描き出すことはできない。
しかし私はこの花をいつまでも心に留めておきたい
苦労して育てた花を
根元からスッパリ切って私にくれた
Nさんの気持ちとともに
いつまでも心に咲かせておきたい

　（星野富弘・詩画『シンビジューム』1975　※富弘美術館のサイトよりリンク・転載）

ラン科の植物で、日本語ではシンビジウムとかシンビデュームと表記されることもある。略称は"Cym."
本来の意味ではシュンラン属の種全体のことを指す（シュンラン属の学名が Cymbidium）が、
日本語で単にシンビジュームと言った場合、東洋ランに分類されるシュンランなどを除いた東南アジア原産種とその交配品種のみを指す。

シンビジュームは四大洋ランの１つに数えられ、その中でも日本国内における出荷量が最も多いポピュラーなものである。
（洋ラン全体でも長らく出荷量トップだったが、90年代後半ごろからコチョウランに抜かれている）
カトレアよりも値ごろで育てやすく栽培用の洋ランとしても人気が高いが、「枯れないけれど咲かないラン」などという
ありがたくない異名もあるほどで、初心者で管理が悪いと葉ばかり茂って全然花がつかないということも多いようである。

日本では洋ランと言えばシンビジューム、というほど人気の高いランであるが、欧州では出荷までに年数がかかるために
扱う業者が少なく、また鉢物も切花業者が古株の鉢を捨て値で流していることが多いため「処分品」というイメージが強く、
昔ながらの品種ばかりで新鮮味もないために「古臭い、昔の花」というイメージらしい。
そのような状況ではあるが、最近は日本の洋ラン業者が長年培ったノウハウを活かして、
欧州・米国向けに「BONSAI洋ラン」として逆輸出する試みも行われている。
ラン栽培に関しては、日本の園芸レベルは意外と高い割にあまり知られていないので、
ぜひ新たな輸出産業として成功してほしいものである。

冒頭に掲げたのは、画家・詩人の星野富弘氏の最初期の作品。口に絵筆を咥えて絵を描くというあの人である。
星野氏が脊髄損傷からの療養中にお見舞いでもらった蘭について、贈ってくれた人への感謝と蘭の美しさが
とてもよく現れている作品だろう。
「誠実な愛情」という花言葉にふさわしい、優しく愛情に包まれた世界がここにあるのかもしれない。