ポインセチア のバックアップ(No.16)

ポインセチアはトウダイグサ科トウダイグサ属の常緑低木。正式な和名はショウジョウボク（猩々木）だが、ほとんどポインセチアで通っている。
緑と赤の美しいコントラストはクリスマスの花として非常に人気が高く、12月の花屋の店先では必ずと言ってよいほど、その姿をよく見かけられる。
赤くなっているのは苞葉と呼ばれる葉であり、つまり紅葉の一種といえる。本当の花はその中心部に細々と集まっている黄色っぽい点々であり、花弁のない地味な花である。
ポインセチアといえば鮮やかな赤色だが、それ以外にも苞葉が白やピンクになるもの、斑入りのもの、赤と白のマダラになるものなど、様々な園芸品種が存在する。

冬の花というイメージに反して、原産地はメキシコおよび中央アメリカ。かつてはアステカ族の間で、染料や解熱剤の原料に利用されていた花であった。
彼らの話していたナワトル語では、ポインセチアは"Cuetlaxochitl"と呼ばれていた。本来はかなり特殊な発音をするが、無理に仮名に起こせば「クエトラショチトル」。
"xochitl"は花という意味の語だが、前半部がよく分からない。「すぐに枯れる花」「革のような花」もしくは「鳥の糞から生える花」という意味だと言われている。
ポインセチアがクリスマスと関わりを持つようになるのは１７世紀頃のことで、スペインの宣教師たちによって始められた風習であった。
苞葉の並びをベツレヘムの星に、その赤さをキリストの血に例え、原産地ではポインセチアのことを"Flor de Noche Buena"（聖夜の花）と呼ぶようになった。
原産地では、貧しい少女（きっと美少女）がキリストの降誕祭に、天使のお告げに従って道端の雑多な花を集めて教会に持って行ったところ、
少女が捧げた花はみるみるうちに赤く染まり、真っ赤なポインセチアに姿を変えた、という伝説が伝えられている。
1825年、この花をアメリカにもたらした合衆国初代メキシコ大使、ジョエル・ロバーツ・ポインセット氏の名にちなみ、ポインセチアと命名された。
日本にポインセチアがやって来たのは明治時代のはじめのことで、小石川植物園の温室で栽培されたという記録が残っている。

人気の割には栽培はかなり難しい方であり、春まで保たせられずに廃棄されてしまうことも多く、季節モノと割り切られている面がある。
枯らしてしまう最大の要因は温度である。ポインセチアの原産地はメキシコであるため、クリスマスの花というイメージに反して、寒さにはめっぽう弱い。
春までは室内に取り込み、気温はできれば１０度以上、最低でも０度を下回ることがないように注意しなければならない。
春先に切り戻しを行った後はそれほど難しくないが、来年以降も美しい紅葉を楽しむには、短日処理という作業が必要になる。
ポインセチアは短日植物といって、日照時間が１２時間以下にならなければ花が咲かない。そして、紅葉には花芽の発生がキーとなっている。
そこで、株全体に覆いをして日光を遮り、人工的に日照時間を減少させて花芽の発生を促す作業が、短日処理である。
わざわざ短日処理を行わなくても、自然と日が短くなれば紅葉するが、時期的にクリスマスに間に合わず、また紅葉の鮮やかさも劣る。
また自然光だけでなく電灯にも反応してしまうため、夜間明るくなる室内で栽培していると、いつまで経っても赤くならないということになる。
短日処理を行う場合、夏から秋の間の数十日間、毎日決まった時間（夕方１７時から朝８時まで）に覆いをしなければならないのだが、
スケジュール的に勤め人にはかなり厳しく、少しでも覆いが不完全だと失敗するというシビアさなので、あくまで余力のある人には挑戦してもらいたい。