ケイトウ のバックアップ(No.14)

屋根の上に　呼びかける　私はここよ　ここ　ここよ
だけどあの人　こっちを見ても　すぐに向きを変える　クルクルと

鶏頭はヒユ科ケイトウ属の一年草。

学名：Celosia cristata
英名：Cockscomb
別名：鶏冠花（けいかんか）、鶏冠子（けいかんし）、韓藍（からあい）、、加良阿為（からあい）
原産地：インド

学名の「Celosia」は「ケイトウ属」を表しており、ギリシャ語の「keleos（燃やした）」が語源である。
「cristata 」は「鶏冠状の」という意味である。
属名の語源通り花は炎のような鮮やかな赤で、日本語ではニワトリのトサカに例えて「鶏頭」と呼ばれる。
英名の「Cockscomb」も「ニワトリのトサカ」という意味。どうも花がニワトリのトサカに見えるのは万国共通らしい。

開花時期は6～11月で、8～9月が見頃とされる。
一年草だが開花時期が長く、ドライフラワーにしても色あせないため長く楽しめる。
ニワトリのトサカに例えられる花穂のしぼり汁で糸や布、紙などを染める摺染めの染料としても使用された。

漢方では、花穂（鶏冠花）は下痢止めや止血、種に含まれる脂肪油は強壮剤、種を乾燥させたもの（鶏冠子）は婦人病に効く生薬として使われる。
平安時代に書かれた日本最古の薬物辞典の『本草和名』には「鶏冠草 和名加良阿為」と記されている。
1714年に日本三大農学者の一人とされる貝原益軒の著書『菜譜』には調理方法や味についても記されている。
曰く、「若葉をゆでて醤油に浸して食べるとヒユよりも旨いが、和え物にするとヒユに劣る」だそうな。何でも食べるな日本人は

日本へ渡来した時期は明確にわかっていないが、インド、中国、朝鮮半島を経由して天平時代（729～749年）頃だという説が有力である。

万葉集には「韓藍（からあい）」や「辛藍(からあい)」という名前で登場する。
秋さらば 写しもせむと わが蒔きし 韓藍の花を 誰か採みけむ
※紅花という説もあるが、一般的には｢呉藍｣と表記されるため鶏頭であるとされる。

花騎士ケイトウはウィンターローズ所属だが、俳句の世界では「鶏頭」は秋の季語である。
鶏頭や 雁の来る時 なほ赤し 松尾芭蕉
秋風の 吹きのこしてや 鶏頭花 与謝蕪村
など。
特に正岡子規の作
鶏頭の 十四五本も ありぬべし
は、鶏頭論争とも呼ばれた大きな評価の二分を生んだ。
「ふざけんな！ケイトウが１４・５本あります、だけでなんの価値もない駄作だ！」「７・８本でも同じだろ！」という低評価もあれば、
「この時子規は死の直前の病床にあった。それを知っていれば、病に弱った自分と、庭にたくましく咲くケイトウを対比させた名作だ」
「１４・５本、だからこそ音のリズムが生まれているのだ」と高評価する声もある。