amazonアマゾン川を原産とするスイレン科オオオニバス属の水生植物。ハスではなくスイレンの仲間である。
オオオニバス属は本種とパラグアイオニバスの2種のみで構成される。いずれも南米原産である。
なんとも気の抜ける名前だが、漢字で書けば「大鬼蓮」・・・コワイ!
「オニバス」というのが、日本にも自生しているスイレン科の水生植物のことであり、茎や葉が無数のトゲで覆われることから「鬼」の名が付いた。
そのオニバスと似ていて、更に大きいので「オオオニバス」ということなのだが、もうちょっとなんとかならなかったのか。
ちなみに、オオオニハシという鳥や、オオオニテングタケというキノコもいたりする。ところで俺の大鬼天狗茸を(ry
オオオニバスの特徴は、なんといってもその巨大な葉にある。立ち絵の反重力スカートもこれをイメージしたものと思われる。
巨大な円形の浮葉は直径2mをゆうに超え、原産地では4mにまで達することもある。もちろん、水生植物としては文句なしに世界最大である。
オオオニバスの葉は、最初は内側にくるまったような状態で水上に現れ、約1週間かけて成長しつつ円形に広がっていく。
この時、葉が完全には開き切らないため、縁は反り返ったようになり、丸盆が浮いているような姿になる。
葉の裏側では、リブ状に立ち上がったスポンジ状の葉脈が幾何学的な格子模様を描き、巨大な葉を支える強度と浮力を生み出している。
水鳥が上に乗った程度ではびくともしない、天然の船ともいうべき、自然の生み出した驚異の構造である。
オオオニバスを栽培している各地の植物園では、葉の上に乗ってみようというイベントが催されることがあるが、
残念ながら、乗せてもらえるのはせいぜい体重30kgぐらいまでの子供に限定されることがほとんどである。
2m以上の大きな葉の上に、板を敷いて全体に体重が均一にかかるようにすれば、計算上は50-60kg程度でも支えられると思われるが、
船のように転覆を防ぐような機構までは備わっていないため、その半分程度が安定して乗れる限界というところなのだろう。
アマゾンという世界屈指の秘境に生息するオオオニバスは、特異な外観を持ちながらも、長らく一般には知られていない植物であった。
1832年、アマゾン川を探検していたドイツの植物学者、エドゥアルト・フリードリヒ・ペーピッヒによって発見されると、
オオオニバスはその特異な外観から瞬く間に人々の関心を集め、ヨーロッパ各地の貴族たちがこぞって栽培に乗り出した。
しかし、熱帯を原産とするオオオニバスの花をヨーロッパで咲かせることは容易ではなかった。石炭による温室の暖房技術が未熟だったためであろう。
ここで一人の男が名乗りを上げた。彼の名はジョセフ・パクストン――公爵お抱えの庭師にして、建築家という肩書を持つ男である。
当時ガラス張り温室の改良に熱を上げていたパクストンは、1849年、自前の大温室で見事オオオニバスを開花させることに成功したのである。
しかし、彼の躍進はここで終わらない。オオオニバスの巨大な葉を見たパクストンはこう考えた――「この上に人とか乗れんじゃね?」
善は急げと、早速彼は実験を行った。愛娘のアニーちゃん(きっと美少女)を、直径1.5mのオオオニバスの葉の上に乗せることに成功したのである。
記録に残っている限りでは、アニーちゃんこそが人類史上初めてオオオニバスの葉に乗った英国ロリ美少女なのである。すごいぞアニーちゃん!
そして建築家でもあった彼は、オオオニバスの葉を支える葉脈構造に目をつける。自然の生み出した無駄のない合理的な構造を、建築に応用できないだろうか?
それまでの温室造りのノウハウと、オオオニバスの葉から受けたインスピレーションが化学反応を起こし、遂にパクストンはとんでもないものを完成させた。
全長563m、全幅124mのかつてない総ガラス張りの巨大建造物――第一回ロンドン万博の会場として知られる、クリスタル・パレスである。
当時、万博実行委員会は会場の建物の設計案を公募していたのだが、それらをすべてボツにした挙句、独自に提出した案はそびえ立つ糞と酷評されており、
そんな中現れたパクストンの斬新な設計案は、新聞で公表されるやいなや大好評を博し、熱烈な支持を得て即決されたのであった。
オオオニバスといえば巨大な葉ばかりが注目されがちだが、スイレンの仲間というだけあってとても綺麗な花を咲かせてくれる。
花径20-40cmにもなる白い大輪は、夕方に開くとバナナのような甘い香りを漂わせ、夜行性の団長コガネムシの仲間をおびき寄せる。
しかし、朝になると花を閉じ、なんとその中にコガネムシ君を閉じ込めてしまうのである・・・!
「団長コガネムシさん、勝手に私の前から居なくならないでくださいね。 その体はもうあなたの・・・あなただけのものじゃないんですから」
なんとか抜け出そうと花の中でコガネムシ君は半狂乱で暴れるが、それはオオオニバスさんを悦ばせることにしかならない。
コガネムシ君の身体が花粉でまみれていくのを見て、オオオニバスさんはその花を悦楽の色に染めていく・・・(表現には脚色が含まれています)
そしてまた夜が訪れると、コガネムシ君はようやく解放される。ひとしきり満足したオオオニバスさんはそのまま枯れ、水底へ沈んでいく。
コガネムシ君が一度入り込んだ花は色がピンク色に変化し、香りも弱くなるため、それ以降は昆虫が寄り付かなくなる。
オオオニバスはこのような仕組みで自家受粉を防ぎ、遺伝的多様性を保とうとしていると考えられている。種の存続ゆえのヤンデレなのである。
ところで、背景に描かれている花の色は・・・あっ・・・
余談であるがオオオニバスは種子が販売されているので一般家庭でも入手して栽培出来る。
一年草なのでうまくいけば毎年種子更新出来るかもしれない。
最もその巨体を維持するための池や水田のようなスペースが必要になってくるのだが・・・
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