ハルジオン のバックアップ(No.35)

虹を作ってた 手を伸ばしたら 消えてった

学名：Erigeron philadelphicus L.
キク科ムカシヨモギ属の多年草。春から初夏に咲く、シオンに似た花のため「春紫苑」の名がついた。
…が、花弁（舌状花）は糸のように細く、色も薄いためあまり似た印象はない。
同属のヒメジョオン(こちらは若干花弁が太く、葉の付き方が異なる)など似たような花がいくつもあり、混同されている事例も多い。

今や日本各地でよく見られる雑草だが、北アメリカ原産の帰化植物。
およそたいていの環境に適応し、刈っても切っても折っても踏みつけてもどんどん伸びるという、儚げな見た目や花言葉に反してすさまじいまでの丈夫さを誇る。
しかも、舌状花が糸のように細くて沢山付く＝一株にできる種子の量がべらぼうに多い。
さらには帰化の過程で除草剤耐性まで手に入れ、もはや向かうところ敵なし。関東を中心に、全国へ一挙に広がった。

駆除が難しい上に周辺植物の生育を阻害することもあり、農家にとっては大変厄介な雑草である。
現在、ヒメジョオンともども要注意外来生物として、日本生態学会が定めた「日本の侵略的外来種ワースト100」にカウントされていることからも、その厄介さがうかがい知れる。
(移入時期が早かったヒメジョオンは、その後広まったハルジオンによって平野部から追い出されている。どんだけ…)

そんな経緯からか一部地域では「貧乏草」と呼ばれて縁起の悪い花扱いされており、これがキャラ設定に反映されているようだ。
貧乏だから摘むのか、摘んだら貧乏になるのか、因果関係は定かではない。
…実は草本全体が食用に適する。貧乏生活のお供に最適…かもしれない。

なお「ハルシオン」と濁らないとトリアゾラム系の睡眠導入薬とかぶるので、「ハルジオン」と濁るのが一応正式。

おまけ：ヒメジョオンの名前と、名前の混同
ヒメジョオン（姫女菀）は、シオンに似た小花（「姫」）であることから「ヒメジオン」と名づけられようとした…が、すでにヒメシオンがいたため、ヒメジョオンの名をあてたとされる。
(中国wikipediaによれば「女菀」はヒメシオン Turczaninowia fastigiata の漢名であり、翻訳すると「ヒメヒメシオン」になる…)

これが事実なら花名の玉突き事故であるため、ハルジオン（春紫苑）をハルジョオン(春女菀)とするのは本来なら間違いなのだが、松任谷由実の「ハルジョオン・ヒメジョオン」などで誤用が広まり、別名として表記されることもある。
（なお、この歌には実際にはヒメジョオンしか登場しないが、ヒメジョオンは春に咲かない）
逆に、ヒメジョオンをヒメジオンとする間違いも見られる。