アズキ/元ネタ解説
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&size(18){「概要を食べながら、しゅっぱーつ!」};
アズキはマメ科ササゲ属の一年草。
日本、朝鮮、中国、台湾、インド、ネパール、ベトナム、ミャ...
学名:'''Vigna angularis'''
俳句では夏の季語。
学名の「Vigna」は「ササゲ属」(17世紀のイタリアの自然科学...
本作では「アズキ」という名前で実装されているが、「小豆」...
名称の由来については、諸説ある。
・「ア」は「赤」、「ズキ」は「溶ける」の意味。煮崩れやす...
・「アカツブキ(赤粒木)」からアズキとなった
他多数。
このように本来の読み方はショウズだが、アズキ読みの方が一...
中国から伝来してきた大豆は中国読みを採用してダイズになっ...
いつ頃から読み方が変わったのかは不明だが、918年に作られた...
豆という漢字は、神様の食事である神饌を盛る高坏の形から生...
アズキの草丈は30~70cm程度。ヤブツルアズキと違い蔓になら...
長い葉柄に小さな葉が3枚付く。5月中頃に種を植え、6月上旬に...
7~9月頃に黄色い花が咲いた後、5~10cm程度のサヤができる。
8~11月頃になるとこのサヤが熟し、いわゆる&color(#96514d){...
#region(''穀類としてのアズキについて''COLOR(white){_})
一般的に「アズキ」というとサヤの中にできるこの豆のこと。
寒さと霜に弱いため、気温10度以下の環境だと上手く発芽しな...
小豆は、昼間に太陽を浴びて養分を作り出し、夜間にその養分...
甘くならない性質がある。昼暖かく、夜涼しい環境だと効率良...
肥料を多く与えすぎると、葉っぱだけが茂って実が成らないた...
北海道産の小豆は、渋み成分であるタンニンの含有量が少なく...
また、小豆は連作ができない作物で、一つの畑で小豆を栽培す...
甜菜類の次に小豆を連作すると良いと言われる。マメ類の中で...
黄色い花を咲かせると、寄ってきたハチに受粉させる。この時...
大豆は気候風土の異なる土地から持ってくると上手く育たない...
大きさが5.5mm以下で4.2mm以上のものが「普通小豆」、5.5mm以...
黄色い花を咲かせるものの、誕生花として指定された日は存在...
一応、食用小豆の原種ではないかと言われているため共通点は...
原産地は中国北東部で、二千年ほど前に日本へと伝来したと言...
その頃には既に小豆は存在していた可能性が高い(後述)。
中国では小豆の事を紅豆(ホンドウ)と呼んでいる。紅豆を使っ...
中国で作られた世界最古の薬学書「神農本草経」によると小豆...
同時に小豆の栽培方法が書かれており、やがて世界に波及。薬...
日本では縄文時代にはすでに栽培されていた。今でも遺跡から...
現在国内で栽培されているアズキは自生種のヤブツルアズキ(''...
ヤブツルアズキは全国的に分布しているが北海道と沖縄県、そ...
ちなみにこのヤブツルアズキは分類上は栽培用に品種改良され...
上記のようにヤブツルアズキを品種改良したのが現在のアズキ...
それ以外では畑で栽培していた小豆が、何らかの要因で管理下...
栽培小豆と野生小豆の中間のような見た目をしており、サヤは...
このような特徴から、栽培種と野生種が交配した間の子とも解...
ちなみに野生種も十分食用にする事が出来、飢饉の時は非常食...
小豆を栽培する前には、必ず畑から石を取り除く。生育に石の...
十勝地方では火山噴火の名残か、漬物石になりうる石が地面か...
技術が発達していない頃の小豆は皮が薄く、炊き上がった時に...
代わりに種皮が破れないササゲが使用された。近年、ササゲの...
再び小豆が多用されるようになった。
輸送網が発達していない戦前日本における、水田の無い山奥や...
その米より更に貴重だったのが小豆である。栄養のある小豆は...
2015年、農業生物資源研究所は沖縄綜合科学研究所と共同で、...
これにより品種改良や省力化を容易なものにし、全く新しい性...
#endregion
#region(''餡子について''COLOR(white){_})
&size(18){「餡子食べる?」};
小豆から作られる餡子は、多種多様な和菓子に使用されてきた...
その原材料たる小豆もまた必要不可欠の存在である。故に和菓...
1349年、中国から訪れた林浄因(りんじょういん)という人物が...
しかし当時の餡子は塩味で、とても甘味と呼べるものではなか...
中国では饅頭の具材は肉と決まっており、餡は肉扱いだったの...
&color(silver){なので花騎士4コマ劇場90話の[[アグロステ...
伝来からしばらくの間、饅頭は箸でつまんで食べられていた。...
長らく国内でも餡子は肉扱いであったが、室町時代に外国から...
江戸時代頃から甘く仕上げた餡子が登場するようになった。
ちなみに国内で生産される小豆の約7割が餡子となり、和菓子屋...
餡子には「つぶあん」、「こしあん」、そして「小倉あん」の...
つぶあんは小豆を潰さずに炊き上げたもの。こしあんは種皮を...
そして小倉あんは、こしあんに大納言のような大粒の小豆を混...
小倉あんの「小倉」は、京都府北西部にある小倉山から取られ...
こしあんの中にある小豆が、小倉山の名物である[[モミジ]]を...
他にも「うぐいす餡」や「ずんだ餡」あるが、これらは小豆が...
つぶあん派、こしあん派は見事に東西で分かれており、未だに...
流通網が発達していない昔、東日本は北海道産の小豆を使用し...
一方、西日本は丹波や備中が産地の大納言小豆を使っており、...
この食文化が根付いた結果、東西で派閥が分かれる原因となっ...
餡子が貴重だった時代が長く続いたためか、和菓子業界には売...
新しい小豆とともに炊き直す「餡の炊き直し」と呼ばれる伝統...
その昔、砂糖は薬に使われるほど貴重なもので、それに伴って...
暴れん坊将軍でお馴染みの徳川家八代目将軍、吉宗である。長...
これに危機感を覚え、砂糖の国産化を指示したのが徳川吉宗と...
このためか江戸時代の頃には、現代に比肩する製餡技術が確立...
大正時代には製餡を専門とした製餡所が誕生する。大正末期に...
合理的なシステムが作られていたという。
先人は、小豆と砂糖が上手く連携する事を知っていた。餡子は...
餡子を食べると、小豆と砂糖の糖質が分解されるが、その分解...
小豆の助けにより、すばやく脳に栄養が届いて元気になれる、...
また、餡子は和菓子と比べてカロリーが低く、ダイエット中に...
つぶあんは寒天と組み合わせると羊かんや、きんつばにもなる...
また加賀百万石で有名な加賀藩・三代藩主前田利常は小豆で作...
物を知らぬが故の笑い話として、こんな話が残っている。
昔々、饅頭を知らない山奥の人々が偶然にも饅頭を発見。これ...
おそるおそる饅頭を潰すと、中から小豆や餡子が飛び出してき...
文明の光が届かぬ魔境とは、かくも恐ろしいものか。
日本人から国民食として親しまれている餡子だが、日本に住む...
幼少期に日本へ移住した外国人の中には餡子好きがいるようだ...
戦争をした仲の中国人も、日本の小豆は甘すぎると評している...
小豆そのものは甘くない。中国では、小豆は甘味の材料ではな...
アメリカでは「adzuki(アズーキ)」と呼ばれ、主に高級スーパ...
奈良時代、遣隋使によって中国からもたらされた菓子の中に、...
これは小麦粉で出来た団子の中に餡子が入った菓子で、麺類の...
温かい汁に入れて食べているうちに混飩が温飩(おんとん)にな...
#endregion
#region(''産地・品種について''COLOR(white){_})
70%が北海道(十勝)産で、丹波・備中と共に三大産地として知ら...
北海道内の主な産地は十勝、上川、後志、網走。そして小樽が...
平安初期に書かれた延喜式の記述によると、昔の産地は近畿、...
1896年、北海道で栽培する小豆の品種を選定するため、品種比...
小豆が冷害に弱い事を認知しつつも、開拓痩せ地でも比較的多...
小豆の本格的な栽培が始まったのは1899年頃とされ、今までは...
北海道への流入者も増えて耕地は拡大していった。
本来、小豆は寒さに弱い品種だが、北海道での栽培を可能とす...
その後も十勝地方で品種改良が進められたが、大東亜戦争勃発...
米や生鮮野菜の栽培が出来ない北海道や、山間部の農家にとっ...
小豆の収穫が終わる10月が過ぎると、帯広に出荷される。そこ...
生産者と商人の関係は、支那事変勃発まで続いた。
マメ科の中では唯一、国内での自給のみでまかなわれている。...
中でも十勝産地は非常に広大で、アメリカやフランスの大規模...
十勝農地だけである。すっごい大きい……。
東京相場で、30kg7800円とされる。1kg当たり260円である。
北海道で栽培されている品種は「エリモショウズ」と「きたの...
主力かつ優良品種たるエリモショウズは1971年生まれ。寒さに...
今でも主力の座に就いているが、病弱なのと連作障害が激しい...
続くきたのおとめは1982年生まれ。十勝で開発された。エリモ...
最後に現れたのは、きたろまん。2006年に生み出されたニュー...
病気への抵抗力を身に付け、早期収穫を可能にした事から、い...
一方、エリモショウズは海外への流出が続いており、カナダ・...
エリモショウズになるという逆輸入状態が発生している。中国...
北海道では対策を強いられている。また中国では小豆品種の「...
これを受けて北海道は監視体制を強化しているとか。
丹波地方(兵庫県)で栽培される小豆は「&color(#96514d){''大...
この地方で栽培された小豆は種皮がしっかりしており、水びた...
現地では、縁起の良い豆とされている。多収性を度外視した高...
6万トン出回る北海道産と比べると、微々たる量しか採れない事...
大粒で光沢が美しく、風味豊かで、糖分が多い特徴がある。
石川県北部の奥能登地方では、「能登大納言小豆」なる亜種が...
この地では、葉タバコと小豆を交互に栽培する事で連作障害を...
結果、生産量が低下傾向にある。
中でも一番希少価値が高いのが「白小豆」と呼ばれる品種であ...
国内で生産されている小豆の99%が赤い物のため、その存在を...
見た目は白色だが、ちゃんと小豆の味がするという。通常の小...
気象条件に左右されやすく生産量が安定しない。故に希少価値...
そしてその白小豆を用いた和菓子は、漏れなく高級品となる。...
栽培が難しく、生産者も軒並み高齢な事から増産は困難な状況...
本作のアズキが白いエプロンを羽織っているのは、希少価値の...
&color(silver){アズキの開花や別バージョンが出たら、髪の毛...
近年、市販の生餡は品質が悪化し続けており、中には中国産の...
高級な和菓子屋では一級品の餡子を使用しているが、末端の弱...
#endregion
#region(''アズキの仲間''COLOR(white){_})
先述の通り、沖縄では小豆の栽培が行われていない。代わりに...
同じマメ科でもササゲ属ではなくアデナンセラ属で、落葉樹。...
小豆と同じく赤い種子を付ける。淡く光り輝く種子は、まさに...
金や宝石を量る時の分銅として活用された歴史がある。雑草化...
ちなみにナンバンアカアズキは、外来種の小豆の総称でもある。
中国では「相想樹」と呼ばれ、美しい種子は相思相愛のシンボ...
沖縄県宮古島では黒小豆が栽培されているが、正体はササゲで...
マメ科ササゲ属のアズキくんは可愛くて人想いだが、親戚には...
マメ科トウアズキ属で、蔓性常緑多年生草本に所属する。イン...
明るい赤と黒の種子を付け、マラカスの中身として使用される...
葉っぱや根にはサポニンが含まれるので天然の甘味剤に使われ...
問題なのは種子である。トウアズキの種子にはアブリンという...
たった3mgで人を死に至らしめるやべーやつなのだ。幸いにも種...
見た目が綺麗なので海外から持って帰ろうとすると、空港で没...
実は日本国内にも自生しており、西表島と石垣島に生えている。
スーパーでは「あずきな」と呼ばれる山菜が並ぶ事がある。茹...
その正体はマメ科ソラマメ属の植物ナンテンハギ。名前は葉っ...
とはいえナンテンハギを食用にしているのは極一部の地域のみ...
竹小豆という小豆のそっくりさんも存在する。主な産地は中国...
マメ科の一年草で、熱帯地方では3mほどに生長する。小豆と違...
このため中華圏では漢方薬に使われる。食用にされ、栄養もあ...
日本には餡の原材料として輸入される事がある。
#endregion
#region(''害虫について''COLOR(white){_})
かわいいアズキくんの命を狙う暗殺者は、数多く存在する。
アズキの天敵は、アズキゾウムシと呼ばれる害虫。アズキの中...
発生率は年に4、5回。つまり季節を問わず襲来するのである。...
また、戦時中に一人の昆虫学者が、食害に遭わないアズキの開...
侵入した害虫を返り討ちにして葬るインゲンマメの遺伝子を組...
本能のままに食い荒らす害虫が多い中、アズキゾウムシは自分...
決して他の小豆に移ったりしないのだ。また同じ小豆内で生ま...
他にもスズメガ及びメイガの幼虫が害虫として立ちはだかる。...
一度幼虫に侵入されると防除が難しいため、腐ったところが広...
幸いな事に、全ての茎や株を荒らされるほど多発する事は無い。
農薬が発達する前はアズキノメイガの発生が多く、手作業で幼...
害虫として馴染み深いアブラムシにも寄生される。6月中旬頃よ...
主に若い葉っぱの裏に群集。葉っぱは萎え、最悪の場合は株そ...
見落としやすく、放っておくと思わぬ被害を受ける羽目になる...
幸いに、農薬への抵抗性が見られないため防除は容易である。...
一方、アブラムシに特攻を持つヒーローユニットのテントウム...
およそ一日に百匹ほど食べ、多いときには四匹が一つの株に集...
タマヤナガの幼虫も小豆を荒らす害虫となる。昼間は土中に潜...
やがて食いちぎって、倒してしまう事から「根切り虫」の異名...
北海道の気候だとタマヤナガは越冬できないが、近縁種は越冬...
似たような被害を与えてくる害虫に、タネバエの幼虫がいる。...
時には大損害を与えてくる強敵。
アズキヘリカメムシもまた、食害を与えてくる害虫。小豆に限...
害虫である事には違いないが、アズキヘリカメムシは少々毛色...
埼玉県では準絶滅危惧種、茨城県では危急種の指定を受けてい...
そのせいか被害の報告も少なく、本腰を上げての対策が取られ...
変化球として、与える被害が少ない故に見過ごされてきた害虫...
大した対策が採られなかった。しかしアザミウマを除去すれば...
しかし、いくら殺虫剤を撒いても、逆にわざと食害を与えさせ...
つまり対策の有無に関係なく、生産量が均一だったのである。...
害虫の中では珍しく、共存を許された種となった。
最近になって襲来した新害虫マキバカスミガメが、小豆に暴力...
子実に被害を与え、しかも高密度に群集していたのだ。今まで...
実験の結果、農薬が通用するという事で駆除は容易だった。た...
アズキくんの命は、害虫に留まらず病害菌にも狙われていた。
1960年代、豆類にバイオハザードが発生する。
手塩にかけて育てた小豆が、やっと小さなサヤを付け始めた頃...
小豆だけではない。インゲンマメやダイズを始めとする多くの...
おかげで小豆の生産量は激減。当時有効な対策は無く、農家を...
その正体は''菌核病''であった。
バイオハザードは一度だけに留まらず、十勝地方では1960年代...
おかげで北海道農業は大打撃を受け、農家ともども頭を抱えた。
忌むべき病害の発生源は、広大な豆類耕作地だった。アズキく...
防除手段は無く、ひとたび発生すれば呆然とするしかなかった...
室内実験の結果、従来どおり薬剤を散布しただけでは全く効果...
要するに農家側が散布の仕方を誤っていたのである。とりあえ...
菌核病は、どうやって作物に侵入してきたか。これを題目に実...
試しに開いた花を手で摘み取ってみると、発病率が下がった。...
しかし、小豆にだけ病魔が残っていた。
1970年は好天に恵まれ、小豆も順調に生育。豊作の見通しが立...
8月下旬頃、突然小豆の茎がしおれ、落葉し始める。いわゆる立...
収穫前に枯れてしまった事で、収穫量は激減。生き残った小豆...
いよいよ収穫という時にアズキくんを殺された農家たちのショ...
半分だけ生き残った畑もあり、不思議な発生状況だった。さっ...
結果を照らし合わせてみた結果、土壌中に潜む菌が小豆の根に...
病原菌を分離して確保するため、連日慎重な作業を実施。苦労...
しかし、その菌は全くの無実だった。他にも菌が潜んでいる可...
判明したが多大な苦労は徒労に終わってしまった。
原因究明の方法を改めるべく、実験に使用していた機器やシャ...
シャーレの中に、未知の菌がコロニーを作っていたのである。...
このため、先の分離実験では小型過ぎて発見できなかったのだ...
確認されていた病状が再現された。この菌こそ病原菌であり、...
後に学会で発表され、和名「''アズキ落葉病''」と命名された...
アズキ落葉病は、小豆にだけ特異的に強い病原性を示す。他の...
相手の正体が分かった事で実験は飛躍的に進み、菌の生態が判...
しかし土壌病害は防除が難しく、未だ根絶には至っていない。
連作をすると土壌中の菌密度が上昇し、発病・被害発生のリス...
反対にイネ科の作物を輪作すると菌の密度が下がるため、発病...
同じく水田転換期の1974年に発生した病気に、アズキさび病が...
主に道央以南で発症し、6月下旬から8月下旬にかけて葉表面に...
葉っぱに浮き上がった斑点は菌の胞子で、越冬して翌春までし...
1950年代から石狩や空知方面を中心に発症しており、水田転換...
病原菌が小豆に接触しやすい土壌がある事が挙げられる。また...
アズキくんを蝕む病害菌は、まだ潜んでいた。
1983年、石狩地方で栽培されていた小豆に謎の病が襲来。7月末...
これを機に、謎の病害は石狩地方全域に波及。またしてもバイ...
謎の病を引き起こした元凶は、''アズキ萎凋病''というもの。1...
原因を究明してみると、全滅した小豆畑は全て水田から畑に転...
図らずもアズキ萎凋病頻発の引き金を引いていた。このため農...
寿小豆はアズキ萎凋病に敏感で、他の品種より激しく症状が出...
どうやらアズキ萎凋病を引き起こす菌は土着のものらしく、十...
1945年当時、石狩地方は小豆栽培に偏っており、この時期に病...
対抗策として、畑をもう一度水田に戻して土壌中の菌を殺す案...
確かに効果はあるが、病原菌が無くなるまで5~6年は水田にし...
一応、アズキ萎凋病に抵抗のある品種が次々に開発されて栽培...
植物に感染するウイルスは千種類以上あると言われる。そのう...
中でも特徴的なのが''アズキモザイク病''である。%%寝室の事...
生育中の種子にウイルスが侵入する事で感染。ウイルスに冒さ...
一般に6月頃から発病し、7月頃に最大となる。他のウイルスと...
あくどい事に、ウイルスは汁を吸いに来たアブラムシを媒介に...
感染した小豆は、ウイルスを保有した種子を作る。これを知ら...
植物ウイルスにワクチンは存在しない。これは、人間のように...
対策は、感染した小豆を速やかに除去しつつ殺虫剤でアブラム...
道南地方では小豆生育期間の気温が高い事からアブラムシが発...
北海道ではウイルス病の発生は少ないため、主な実験や試験は...
''―番外編・蠢く害獣―''
これまでは害虫や病原菌といった小さい相手だったが、より巨...
シカ、襲来。
ニホンシカも、小豆に食害を与えてくる害獣である。彼らは雑...
小豆は特に甘いので、葉っぱも茎も花も全てシカの好物である...
植物であれば何でも食べる健啖の悪魔は、農家に物理的な対策...
小倉餡の産地である京都府右京区嵯峨小倉山地域も、2006年か...
主な対策が見つかっていない状態。古来種の小豆は、シカに蹂...
ただ小豆の被害は、全被害のうち3%に過ぎなかったりする。
イビルジョーに匹敵する食害を与えてくるシカに、人々は悩ま...
狩人を雇い、落とし穴を仕掛け、鳴子を引き、垣根を設けて駆...
虫が付きやすいため、対策が必要である。か弱いアズキくん。
#endregion
#region(''用途について''COLOR(white){_})
アズキ・大豆は[[米>トウカ]]、[[麦>コムギ]]、豆、粟、黍ま...
薬用に使われるだけあって、牛肉や卵に劣らない豊富な栄養価...
お目出たい行事の際の食事に出す赤飯や小正月(1月15日)に食べ...
餡子として[[お萩>ハギ]]や[[牡丹餅>ボタン]]、最中、饅頭、...
煮てから寒天を加えて羊羹、煮た小豆汁にお餅などを入れて汁...
地域によっては醤油や味噌の原料として使われることもあるの...
夏場になるとカキ氷に小豆と抹茶を添える事がある。これを宇...
そして金時は小豆を指している。語源は、真っ赤な肌をしてい...
明治二年、町田房造という人が横浜で開いた「氷水の店」で、...
豆類の多くは、煮込み料理やスープの食材として使われる。し...
豆類を煮込む食文化圏ではあまり姿を見ない。一方、日本では...
これは他の食文化圏には無い、日本独特の調理方法だという。
一方、香港では寿司のネタに使用され、アズキ軍艦なんてもの...
山形県の小国町では葬式の際に赤飯を炊く風習があり、普段は...
稀に他の地方でも、葬儀の場で赤飯が用意される事がある。葬...
引き込まれないよう魔除けの意味で振る舞う説、あの世への旅...
同じく山形県庄内地方では赤飯の小豆が胴割れすると割腹を彷...
東北地方では方言で、黒ササゲの事を「てんこ小豆」と呼ぶ。...
にがりを混ぜても固まらない事から、小豆で豆腐を作るのは不...
しかし時代の流れとともに技術が発達したため、高度な職人技...
古くからある、小豆を使った料理に「いとこ煮」というものが...
栄養満点の料理である。これを人々は暑い夏に入る前、寒い冬...
時には、[[ナンテン]]の葉が赤飯の上に添えられる場合もあっ...
富山県東砺波郡平村相倉では、男児が生まれると村民が赤飯を...
鹿児島県の奄美大島では熱帯の気候から、冷たい小豆粥が出さ...
現地の人々には結構メジャーな食品のようだ。
宮崎県小林市周辺のご当地食として「小豆あくまき」がある。...
広島県の名物[[モミジ]]まんじゅうには、厳選された小豆が使...
土産物として人気がある。
三重県伊勢市の名産・赤福には北海道産小豆を使用。高級和菓...
島根県出雲市の郷土料理に、小豆雑煮がある。見た目はぜんざ...
この小豆雑煮は主に島根県沿岸部で食べられている。新潟や京...
青森県の南部地方や岩手県では、小豆とうどんを組み合わせた...
近隣の住人に嫌と言うほど食べさせる風習がある模様。ばっと...
意外かもしれないが、小豆とうどんを組み合わせた料理は意外...
夏の土用にはウナギを食べる風習が広く知られているが、ある...
丑の日に小豆を食べて、健康祈願をした名家もいたという。
また日本で男性の最高齢記録を持った木村次郎右衛門氏(116歳)...
アメリカの研究者も、小豆を常に摂取し続ける事で寿命を大き...
国内のアズキは75%が餡用であるが、漢方としても多く使われる...
先ず小豆には、鉄分やビタミンB1やB2、カリウム、カルシウム...
ビタミンB1はアルコール分解の作用があり、小豆の汁は二日酔...
カリウムとサポニンには生活習慣病と便秘の予防に効果があり...
もたらされる利尿効果は、むくみ対策に効果的である。
豆を煎じたものを「赤小豆(しゃくしょうず)」といい、解毒...
江戸時代では、原因不明の病とされた脚気の治療薬として医師...
小豆にはチアミンが含まれており、脚気(かっけ)に効果的だっ...
食物繊維に至っては、ゴボウ・寒天・キノコをも凌駕する量が...
民間療法の中には、川魚の鯉を食べてから小豆のスープを飲む...
生薬として使われるのはセキショウズ(種子)だけで、食用の餡...
実は小豆は、犬にも効能を発揮するとされる。昭和二十年代、...
猟師は貴重だった純米や砂糖と同様に小豆を煮て、それを犬に...
やがて犬は快復し、猟に同行できるようになった。犬の健康を...
ちなみに犬に餡子を食べさせても特別害は無いが、食べさせ過...
余談だが、お汁粉の起源は江戸時代に誕生した「すすり団子」...
明治から大正にかけての時代は甘い物が少なく、時代に合わせ...
人々を魅了するには十分の美味しさだった。
同時期、大阪ではきんつば焼きが誕生。つぶあんを寒天で固め...
銀よりも金の方が縁起が良いとして金鍔(きんつば)に名称が変...
明治後半、大阪浪速橋筋の瓦町付近に一軒のお汁粉屋があった...
一年間通って全て平らげたら代金無料。しかしこれには甘い罠...
最後の12月に出されるお汁粉は極めて甘かったという。多くの...
1970年代までは、お汁粉を専門とした店屋があったが洋菓子の...
SDの喜びモーションでパンを食べているがあれは「小倉トース...
1921年頃、名古屋三越の隣にあった喫茶店「満(ま)つ葉」にて...
古くから菓子作りと茶会の文化が盛んだった名古屋には、餡子...
名古屋人の餡子好きっぷりが窺える。中でも小倉あんが好みの...
砂糖代わりにコーヒーへ餡子を入れる人まで居るとか。各家庭...
信じがたいごとに、小豆で味噌を作る事があるという。ただ大...
最近、小豆を使ったカイロという運用法が編み出された。耐熱...
時間にして数十分間持つ。繰り返し使えるので、素寒貧の人も...
吸熱作用のある小豆は、なんと枕の中身にも使用される。他の...
いつ頃からかは不明だが、枕の中に小豆を入れる人が続出。睡...
戦後しばらくは小豆の不足から、投機の対象になった事がある...
翌年には映画化もされた。助演女優と化したアズキくん。
#endregion
#region(''戦争とアズキ''COLOR(white){_})
古来より、日本人の食生活に寄り添ってきた小豆。それは戦時...
東洋の小国に過ぎなかった日本が、白人の大国ロシアと戦争す...
日本軍に協力したとの伝承が残っている。彼らは小豆に化けて...
第一次世界大戦では、欧州の産地(ルーマニアやハンガリー)が...
ちょうどその時、北海道の小豆が豊作になった。これに目を付...
ヨーロッパの同盟国へ向けて北海道産の小豆を大量に輸出。儲...
黄金そのものである小豆を少しでも多く手に入れようと、商人...
輸出された小豆の中には、砂糖をまぶして餡子にしたものもあ...
しかし戦争特需により、十勝の小豆生産者は大儲けに成功。借...
小樽には20件以上の工場が立ち並び、雇われた女工は一時期約6...
北海道初の衆議員こと高橋直治は、第一次世界大戦で小豆の特...
倉庫に備蓄した13万俵を一気に売却。1俵17円の高値を付け、ロ...
この様子は「豆成金」と呼ばれ、好景気は1915年から1935年ま...
とはいえ全員が成功した訳ではなく、一夜で資産を傾ける者が...
この頃からアズキくんは大人気で、臣民の運命を握る鍵だった...
しかし、小豆特需は長く続かなかった。昭和初期に入ると、船...
大規模な改装工事を受けざるを得なくなり、工場は不活発化。...
小樽の繁栄は、現地の住民にさえ忘れられるほどの過去の話に...
そして特需の終焉は、後の大東亜戦争に暗い影を落とす事にな...
本作のアズキが着ている大正時代を彷彿させる和服はその時代...
戦前から小豆は大豆に次いで栽培面積が広く、伝統ある食材と...
また、お汁粉は軍民ともに大人気で、特に子供からの人気が強...
1934年12月、森永製菓は茹で小豆の缶詰めを作る事に成功。1つ...
缶詰め化が成功した事で、後の戦争では前線の将兵に向けて送...
1930年代、小豆の価格は高騰。大豆の二倍以上あったとの証言...
帝國海軍の顔とも言うべき航空母艦赤城では、乾パンの小倉煮...
1935年の料理コンテストに出品されている。ふやかした乾パン...
海軍の艦艇に積載される補給物資には小豆も含まれており、厳...
世界恐慌により絶望的な不景気が始まると雇用対策として、満...
満州は穀倉地帯となった。かの地は大変肥沃で、小豆を植える...
満州で収穫された小豆は内地へと輸送され、厳しい食糧事情を...
帝國海軍では、入港した際にぜんざい(通称入港ぜんざい)が振...
ぜんざいは乗組員の心と舌を癒した。このぜんざいには、無事...
佐世保近郊の店では、戦艦武蔵の入港ぜんざいというレトルト...
給糧艦間宮には貴重品の小豆が大量に積載され、軍属の菓子職...
帝國海軍随一の人気を誇り、間宮が入港する日には、各艦から...
争奪戦に敗れた買い出し係は白眼視された。逆に持ち帰る事に...
大人気商品の羊かんを作るため、乗組員は午前3時に起床して、...
臣民や軍人からもアズキは愛されていたのだ。
1937年6月に支那事変が勃発すると、いよいよ国内も戦争色に染...
小豆を含む豆類が制限される、最初の規制が始まった。
大日本帝國陸軍が制定している昭和12年版・軍隊調理法に、小...
翌1938年4月からは国家総動員法が発令された。それに伴って、...
戦争が泥沼化する1940年11月14日、政府は食糧を確保すべく二...
自由に売買する事が出来なくなってしまった。
1941年12月8日、大東亜戦争が勃発。敵味方を逆にして、日本は...
真珠湾攻撃に参加する搭乗員たちに希望する献立を聞いたとこ...
艦内の貴重な砂糖を使って振る舞われたエピソードがある。
1942年2月15日に英シンガポール要塞が陥落すると、三日後に日...
開催され、小豆を始めとする貴重品が振る舞われたという。開...
制限はされつつも小豆を入手する事が出来た(1941年10月4日か...
しかし戦況が悪化するにつれ、物資が欠乏。枢軸国が不利にな...
配給制となり、砂糖ともども入手が困難になってしまった。
当時、日本の統治領だった台湾には捨てるほど砂糖があった(内...
元々小豆は不急の作物として生産が後回しにされており、それ...
小豆がまともに入手できなくなった事すらあったという。この...
第一次世界大戦の頃とは違い、小豆の輸出は全く行われなかっ...
全て連合軍によって閉ざされていたからである。遣独潜水艦作...
そもそも、主な産地であるハンガリーやルーマニアが枢軸国側(...
また1943年から菓子製造に企業整備令が発布され、モナカとい...
息子や父等が召集令状により徴兵された時、出兵を祝ってお赤...
北海道土地改良5ヶ年計画により食糧の増産が試みられたが、そ...
一方、満州国は生産地だけあって小豆には困らなかった。本土...
限られた小豆を集めてきた小学生達は、それを慰問袋に詰めて...
一番喜ばれたのは茹で小豆だった。皇軍兵士にも人気なアズキ...
しかし補給線が脅かされていたため、全部が全部届く事は無か...
こういう時は中身を取り出し、くじ引きで分け合ったとか。
餡子を型に流し込み、寒天で固められた羊かんも慰問袋に入れ...
帝國陸軍の指示を受けて開発した特製の羊かんだった。羊かん...
蛇足だが、1943年12月に発生したヒカリゴケ事件は、根室港か...
荒天に見舞われ、第五清進丸は小樽港へ辿り着く事が出来なか...
小豆にまつわるエピソードに、こういう逸話がある。
1943年頃、南方戦線のとある島に派遣され、戦っていた山田正...
ある日、彼の部隊は突撃命令を受け、銃剣片手に敵陣へ突撃す...
自分がどこに居るのか、どこへ向かえば良いのか、さっぱり分...
ちょうど、子供の頃に迷子になった時と情景が似ていた。空腹...
密林の中にただ一人。彼は死を覚悟した。
すると不思議な事に、どこからか小豆を炊く匂いがしてきた。...
声のした方へ向くと、人影が見える。思わず彼は人影を追いか...
やがて人影に追いつくと、一瞬振り返ったのち人影は消失した...
人影が消えた方角を見ると、明かりが見えた。友軍の明かりだ...
終戦後、復員して故郷に帰った彼は、父親に母親の事を尋ねた...
今際の時、南方の島まで自分を探しに来てくれた母親に、山田...
内地の母親たちは死に物狂いで小豆をかき集め、お手玉にして...
お手玉の中身が小豆に変わったのは、1944年に入ってからだと...
送られたお手玉は子供の遊び道具となったのち、中身を取り出...
しかしこれは非常食代わりだったという。疎開先でもひもじい...
すぐに食べてしまう事が多かった。全員が全員小豆を入れても...
疎開先によっては、砂糖をまぶした小豆が振る舞われた場所も...
小豆の数が乏しかったため赤飯を作る事が出来ず、代用品のラ...
迷信も普及の後押しをした。
小豆の慢性的不足から、「餡無しまんじゅう」という代用食が...
1944年11月、国策映画「雷撃隊出撃」撮影のため、航空母艦鳳...
班員に汁粉を振る舞った。これを参考にしたのか、映画の中に...
1945年に入ると、海軍航空隊の食糧事情も悪化。門司の航空隊...
小豆を入れて水増しした……というものだった。それほどまでに...
満州国から送られてくる雑穀の中に小豆があり、僅かながら供...
帝國海軍も日本海側のシーレーンを防衛すべく6000個もの機雷...
だがそれも、1945年4月から行われた米軍の飢餓作戦により補給...
いよいよ小豆は幻の存在となってしまう。東京大空襲で備蓄も...
6月28日、帝國陸海軍は日号作戦を発動。朝鮮の港から小豆とい...
船舶の絶対数不足、陸揚げ能力の不足、加えて米軍の妨害もあ...
一方、7月14日から3日間、北海道も攻撃を受けた。小豆の産地...
停泊中の海防艦や漁船が犠牲となり、市街地や港湾に被害が出...
戦時中、小樽には陸軍の輸送基地が置かれ、千島や樺太に物資...
同じく小豆の産地である十勝も米艦載機の襲撃を受ける。2日間...
特に本別町への空襲が激しく、50分もの間、激しく銃撃された...
ちなみに本別への激しい攻撃は、帯広への攻撃と間違った事に...
同時期、千葉県銚子市が空襲を受け、焼け野原となった。缶詰...
その後も朝鮮からの輸送作戦は続いたが、日本海は米軍によっ...
終戦間近のビルマ方面では、シッタン河東岸に設けられた安兵...
このぜんざいを食べたいがために、長期間の逃避行で疲労困憊...
特攻隊への入隊や出撃前には、赤飯が振る舞われた。保存食に...
ちなみにその保存食は小豆島(しょうどしま)から発見されてい...
終戦の日である1945年8月15日まで赤飯が提供されていたという。
元特攻隊員や関係者からの証言により、小豆を使った餡にスポ...
片手で食べられるように、細長く作られているのが特徴である...
小豆島には1944年8月頃に陸海軍の水上特攻隊の基地が設営され...
現地の工場には隊員のものと思われる遺言が発見されている。
特殊潜航艇蛟竜の出撃基地もあったが、肝心の蛟竜が11隻しか...
小豆島は香川県に属する田舎の島だったため、大規模な爆撃は...
1945年8月9日、地平線まで埋め尽くすソ連軍が満州国に侵攻。...
民を守るはずの関東軍は南方戦線へ戦力を抽出されまくってお...
それでも関東軍第124師団は小豆山(ソ連軍の砲撃で真っ赤に燃...
十倍以上の敵を相手に勇戦。15cmカノン砲一門による砲撃でソ...
壊滅寸前まで追いやられるも、玉音放送が流れる時まで防衛ラ...
しかし、さしものアズキも連合軍を餡子みたく練り上げる事は...
終戦後、闇市では残飯シチューなる食べ物が流行った。総力戦...
進駐軍の残飯に、かろうじて残っていた小豆やらマッシュルー...
「美味しい」という感想から「食べられた物じゃない」という...
昭和20年の日本は3000万石の生産高しかなく、7000万人の臣民...
そこで政府はGHQの力を借り、米や豆類の供出・流出を厳しく統...
アズキくんのレア度は金どころか虹レベルだった!
原爆の投下から一ヶ月あまりが経過した、終戦後の9月17日。広...
敗戦で身も心も満身創痍な臣民を痛めつけた。この事態に対し...
一大産地だった満州国が敗戦とともに消滅し、小豆の生産量は...
北海道から船路で引き揚げてきた者が小豆を大量に持って帰っ...
小豆が容易に手に入らなくなったため、甘納豆を使った赤飯の...
小豆の生育は気象条件に左右され、年々生産量が乱高下する事...
凶作時には凌雲の如く価格が暴騰し、&color(#96514d){''赤い...
アズキが宝石を好むのはこれが理由なのかもしれない。
ハイリスクハイリターンな事から、生糸と並んで「素人は手を...
急激な増産は連作を強要し、落葉病による被害が発生。一時は...
このため耕地を確保するべく、水田で小豆を栽培。不足してい...
1946年以降はGHQから救援物資が届くようになり、その中には小...
出資してくれたが、表向きはアメリカ人の支援物資とされ、日...
供給が安定し、配給制が打ち切られたのは1951年の事だった。...
雑穀商品取引所が開所。赤いダイヤの異名を持つ小豆は、先物...
ところが1953年及び翌1954年、北海道で小豆が大凶作に見舞わ...
60kg1万590円の高値を付けた時もあったという。1955年、平均...
#endregion
#region(''アズキと神話・宗教''COLOR(white){_})
アズキは神話にも度々登場する。奈良時代初期の書物『古事記...
『古事記』には穀物・食物・蚕の女神である大気都比売神(お...
これが五穀の始まりとされ、これらの種子は神産巣日神(かみむ...
ちなみに殺されたのは、空腹で困っているスサノオが農業の神...
突然やってきたスサノオを邪険にせず、食べ物を振る舞うオホ...
何故こんなにも食べ物があるのかと不審に思い、台所へ向かっ...
「汚い物を食べさせやがって!」と激昂したスサノオが、彼女...
この狼藉にブチ切れた神々はスサノオを高天原から追放し、中...
イザナギ、イザナミの二神が国生みをした時、10番目に造られ...
この時点で既に小豆が存在していた事が窺える。同島が小豆の...
阿豆枳辞摩が現在の呼び名である小豆島になったのは鎌倉時代...
『日本書紀』でも同様に食物の神である保食神(うけもち)が...
ウケモチを殺したのは月読(ツキヨミ)で、殺害までの経緯は上...
この狼藉に激怒した天照大神は月読と絶縁し、別れた事で昼夜...
ちなみに日本書紀では阿豆枳辞摩の事が書かれていない。何で...
また、COLOR(red){赤色}は五行において邪気を祓う「火」、ま...
祝事や季節の変わり目、生活の節目に厄除けとしてアズキを食...
節分と言えば大豆を投げる家庭が多数を占めるが、小豆を投げ...
今でこそ大豆を投げる風習が根付いているが、元々は豆であれ...
地方によっては御九日(みくにち)という風習がある。これは9月...
祭礼で作る料理の事を三九日粥と言い、東北から長野県に至る...
また厄年に当たる男女は、厄除け用の餡子入り和菓子を周囲の...
地域によっては饅頭だったり、餡子餅だったりするが、いずれ...
節分の時にも厄除けと称して、ぜんざいを配る事がある。小豆...
他人にぜんざいを振る舞う事で徳を積み、同時にぜんざいとも...
美味しく食べて厄除けをするのが趣旨なので、お返しは要らな...
古くから小豆には厄除けの力があると信じられていたが、やが...
その起源は江戸や京都、大阪といった都市部であった。
長野県長野市の高岡地区では、1月15日に日待(ひまち)占いの一...
小豆の回り方で、道祖神や専達三嶋神社の御機嫌を伺い、時勢...
正式な占いが終わった後は、余興として勉学や縁談の占いをす...
小正月には小豆粥を食べて魔を祓う考えは、中国から入ってき...
この時、粥をかき混ぜるのに使った棒で女性の臀部を殴ると子...
鎌倉時代からは、小正月の日に各地の神社で小豆粥が作られ、...
熱いからと言って口で吹く事は「風が吹く」と言って、忌避さ...
みんな大好きな甘味ぜんざい。その語源は、インド仏教という...
仏様の弟子たちが意見に賛同するとき「sadhu(ぜんざい)」と言...
仏教が日本に伝来した時、ぜんざいという言葉も伝わって、喜...
なかなか口にする事が出来ない至高の一品。それを食べられる...
ぜんざいと呼ぶようになった。一休さんで有名な一休和尚が、...
密教の秘法、護摩供では本尊不動明王を初めとする諸仏に五穀...
不動明王の口を模した護摩壇の釜の中に、供物を投じて修法す...
地鎮式の際、土地の神様へのお供え物として五穀を穴の中に埋...
似たような例として三重県鈴鹿市稲生では、地鎮祭の時に施主...
浄土真宗の開祖こと親鸞聖人も小豆を愛したとされ、東本願寺...
他にも報恩講では、小豆粥や小豆ごはんを振る舞うのが通例と...
親鸞聖人に縁がある越中五箇山には、小豆が入った味噌汁「あ...
食した人の感想によると、デザート感覚で食べられるという。
西暦809年、唐から帰国した真言宗の開祖・空海は、密教の秘法...
これを山城国の小倉山近辺に植えて栽培。後年、和三郎という...
品種改良や産地が移動した事で小倉大納言小豆は数を減らした...
その後、弘法大師空海は日本各地を旅する。蓬沢の村という場...
しかし民家の母親は「うちの小豆は石小豆と言って、石のよう...
それでも良いから恵んでくれと空海は言うが、取り合わない。...
一方、安房地方にある神余の畑中(かなまりのはたなか)という...
大同3年11月24日、弘法大師がやってきて食べ物を求めたので、...
その小豆粥に塩気が無い事に気付いた空海は、不審に思った。...
手に持つ錫杖で地面を刺す。しばし祈念したのち、それを抜く...
高野山に向かう弘法大師が道すがら立ち寄った寺が、奈良県五...
その地蔵に小豆を供えると雨が止むと言われている。
岐阜県大垣市十六町にある弘法の井戸には眼病に効くという言...
流行り目が治るとされていた。
日蓮宗の開祖・日蓮聖人がまだ修行僧だった頃、ある土地で子...
「修行で疲れた体を癒して下さい」と、あたたかいお汁粉を振...
その後、日蓮聖人は過激な布教と終末思想を煽った事で役人に...
聖人の姿を一目でも見ようと、善男善女が集まった。その中の...
とっさに作ったものなので、ご飯に胡麻塩を振りかけただけの...
中国の高僧、道綽(どうしゃく)は日々七万遍の念仏を唱えてい...
民衆に広めた。のちに日本へと伝わり、浄土宗が小豆念仏を行...
お彼岸と言えば、牡丹餅や御萩を食べる習慣がある。彼岸は日...
植え付けを行う春に豊作を願い、秋の収穫の際には太陽に感謝...
古来より小豆には魔除けの力があると信じられたため、作物の...
古くから存在する小豆は、その名が地名になったり、妖怪の名...
全国的に伝承が残っており、山梨県では古い橋の下に現れると...
遠野物語にも小豆の化け物が出現したとの記載がある。物見山...
以降、その場所は小豆平と呼ばれるようになり、狩人の間では...
小豆洗いの亜種として、小豆婆という妖怪も伝承が残っている...
意外な事に、神の使いであり稲荷神社の象徴である狐は小豆飯...
多くの民話でも小豆好きであると伝えられ、寺に小豆を盗みに...
埼玉県秩父市の三峯(みつね)神社では、お犬様という狼に赤飯...
ここでは祠に供えた赤飯が、翌朝何者かに食べられているとい...
#endregion
#region(''アズキの刀''COLOR(white){_})
戦国時代、小豆長光(あずきながみつ)という刀が存在した。袋...
本作のアズキが刀を振るう設定は、ここから来ているかもしれ...
小豆は割れないという身も蓋も無い結果が弾き出されている。
刀の試し切りで、死体の頭を縦に斬る事を小豆割りと言われて...
これが訛ってアズキになったと言われている。こわい。
小豆長光は上杉謙信公の手に渡り、川中島の戦い第四戦で使用...
彼の軍配を傷つけた名刀として記録されている。
反論として謙信公の愛刀は「赤小豆粥(あずきがゆ)」と呼ばれ...
小豆長光は全く別の名を冠していたとする意見もある。これも...
その後、豊臣秀吉の手に渡ったが、大阪城落城の際に行方不明...
見つからなかった。謙信公亡き後に京へ研ぎに出した後、行方...
一方、異説として江戸時代まで上杉家に保管されていたとする...
アズキの得物である刀は、柄の部分が小豆長光にそっくりであ...
小豆長光の名を冠する刀は一振りだけでなく、蜂須賀家が所有...
アズキの得物は刀ではあるが、キャラクタークエストでは「鉈...
前述のとおり、丹波地方の小豆は「大納言小豆」と呼ばれてい...
腹を切る必要が無いという点を取り入れた結果、完全な刀にし...
その刀を収める鞘は、必笑だんご剣みたいな変な形をしている...
#endregion
#region(''アズキ、脚気と戦う''COLOR(white){_})
脚気(かっけ)とは、ビタミンB1の欠乏によって引き起こされる...
恐ろしい事に脚気が流行し始めた明治時代初期では原因不明と...
脚気の流行は、食生活が麦飯から白米に変わって行った事、欧...
白米は主に将軍家や富裕層が食べたので、高貴な身分の患者が...
脚気の歴史は古く、日本書紀には既にその存在が記載されてい...
そして1870年。明治3年、欧州からの支配から逃れるために軍国...
毎年6500名以上の死者が発生し、それでいて原因不明とされた...
この問題には陸軍と海軍の軍医が対応。イギリスやドイツの医...
様々な仮説が打ち立てられたが、新説を受け入れられない医学...
戦わずして兵士がバタバタと倒れている光景は、新生陸海軍に...
海軍の軍医こと高木兼寛はビタミンの欠乏が原因ではないかと...
逆に日本式で白米と副食に乏しい食事を摂る水兵に患者が多か...
1884年(明治17年)、軍艦筑波を舞台に食生活を西洋式に統一し...
これで栄養障害説を確信した高木軍医は、下士官の食事を麦飯...
一方、陸軍の軍医長こと森鴎外は科学的根拠が無いとして麦飯...
陸海軍の仲の悪さから認められなかったものと思われる。おか...
その間に日露戦争が行われ、戦死者は約4万7000人に上った。こ...
1908年、脚気の原因究明を目的とした臨時脚気病調査会が創設...
ようやく脚気の原因を突き止めた事で、1932年にビタミン剤が...
しかし依然として脚気は臣民を脅かす病気として認知され続け...
発症後ではビタミンの吸収が難しく、治療が困難だった事が挙...
開国して間もない日本を襲った病魔。国も軍も後手に回る中、...
ビタミンの存在が確立されていなかった頃から、臣民や医者た...
脚気が猛威を振るっていた中でも、小豆を食べていた囚人たち...
これに着目した大阪陸軍病院長の堀内利国一等軍医正は、実験...
頑迷な中央部とは対照的に次々と結果を上げて、ついに陸軍も...
小豆の供給が安定し始める1952年頃には脚気はほぼ駆逐された...
#endregion
#region(''アズキに関連するキャラクター達''COLOR(white){_})
余談だが、かの有名なアンパンマンの中身はつぶあんだという...
偶然出来た物らしく、その製法はジャムおじさんですら分から...
アンパンマンは餡子がエネルギー源のため、食事の必要も無い...
蛇足だが、アンパンマンワールドには「あずきういろう」とい...
餡子に使われる小豆は、まめおじさんという豆農家が栽培して...
あずきバーで有名な井村屋製菓株式会社は、毎月1日を小豆の日...
古来から1日と15日には小豆ご飯を食べていた事と、小豆の健康...
同時に「あずきキングダム」なるキャラクターたちを考案して...
アズキと言えば、女性の名前に使われる事が多い。他作品やゲ...
シナモロールのキャラクターでも、あずさの読み間違いでもな...
2009年、兵庫県姫路市に「あずきミュージアム」という博物館...
マスコットキャラクターは、あずきさんと豆太郎と豆次郎の三...
時間のある方は、足を運んでみてはいかがだろうか。
犬好きの人にとっては聞き覚えがあるであろう豆柴犬。その豆...
豆柴を基に改良・作出された新たな犬種で、世界最小の犬でも...
小豆柴も天然記念物扱いとなっている。飼う事は出来るものの...
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#region(''アズキといっしょ''COLOR(white){_})
畑で栽培されている印象が強い小豆だが、実は家庭で栽培する...
夏小豆の場合、北海道では5月中旬頃、九州から本州全域では4...
本州の秋小豆は6月中旬から7月中旬にかけて撒くのが一般的。...
菜園で栽培する場合は特に土質や場所の指定は無い。ただ粘土...
プランターや鉢で栽培する場合は、市販の土や畑の土を使う。...
そこへ肥料をすじ状に撒き、後から撒く種と肥料が接触しない...
10cm~20cmの間隔を開けつつ、3~4cmの穴に種を2、3粒入れる...
鉢の場合は、中心に2、3粒の種を撒く。プランターの場合は3cm...
「小豆は友の露を嫌う」ということわざがあるように、小豆は...
実が全く成らなくなってしまう。間隔には気を付けよう!
日当たりの良い場所で育てると、出芽後1.5ヶ月~2ヶ月程度で...
花びらが散った後から、サヤが次第に大きくなっていく。開花...
開花から30日~40日が経過すると収穫時。なるべく早く収穫し...
褐色になったサヤから、小豆の種子が取れる。普通小豆の他に...
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#region(''アズキに関することわざ''COLOR(white){_})
・小豆は馬鹿に煮らせろ
アズキくんは馬鹿、という訳ではなく馬鹿や怠け者に煮させろ...
実際、小豆を煮るには時間が掛かるため怠け者や馬鹿に適した...
実のところ馬鹿になった気分で煮ろ、というのがことわざの本...
・小豆と女のしょっぱいのには手が付かぬ
計算高く、ケチな女性は人から避けられる。小豆も甘くなけれ...
どちらも甘くなければ好かれない、という意味。
・狐に小豆飯
狐の好物は小豆飯で、それを目の前に置くとすぐに手を出す事...
%%稲荷が入ってないやん!%%
・縁の下の小豆の木
ひょろひょろと伸びて、実が成らない事から出世しない人の事...
世に出ない人を指す場合も。
・小豆は友の露を嫌う
小豆は間隔を開けて種を植えないと、茎や葉っぱだけか生長し...
・小豆の豆腐
小豆からは豆腐が作れない事から、ありえないものの例え。空...
%%技術の進歩で作れるようになったのは内緒。%%
・小豆飯を炊けば 初午(はつうま)とみる
単純で早合点する事。
京都の伏見稲荷では、神が降りた日に初午祭が行われる。この...
赤飯が炊かれているのを見て、何でもかんでも初午祭と考える...
#endregion
#region(''各地に伝わるアズキの民話''COLOR(white){_})
全国各地に、小豆を題材にした民話が言い伝えられている。バ...
人を喰う山姥を討伐するため、卯平太(うへいた)という力持ち...
焦燥した山姥は観音菩薩に化けて急場を凌ごうとするが、卯平...
他にも亀や黒猫に小豆を食べさせると黄金を生むという昔話が...
ある地方の花咲爺さんの話では、犬に小豆を食べさせて金銀財...
岩手県にはこんな昔話が伝わる。夜遊びをする夫に苛立った妻...
不審に思った夫が訳を聞くと、ようやく妻が怒っている事に気...
高知県土佐郡本川村に伝わる神楽の演目では、小豆を見せる事...
これは長崎県対馬豆酘村に伝わる昔話である。
村内に流れる川には、河童の一族が住んでいた。どの河童も大...
河童はこの赤飯を食べて生活していたが、勢力が大きくなりす...
怒った村民は反撃し、河童の一族と戦争になる。そんな中、河...
食べ物を与えられず、罵られ続ける大将。そんな大将を哀れん...
久々の食事を与えられた大将は改心すると約束し、お千代に縄...
ところが数日後、河童から報復の暴風雨が村を襲った。自責の...
その後、本当に改心したのか河童のいたずらは止まったが、風...
静岡県浜松市に、小豆餅(あずきもち)という一風変わった地名...
時は戦国時代。三方ヶ原の戦いで、武田軍に惨敗した徳川家康...
そこへ武田軍の追っ手が攻めてきたとの報告を受け、食い逃げ...
食い逃げされたおばあさんは、逃げる家康を追いかける。そし...
しかしこれは後世の創作と言われ、実際は三方ヶ原の戦死者に...
ちなみに小豆は家康の好物だった。天下人にまで愛されるとは...
1570年4月20日、織田信長率いる織田軍は、包囲網の一角・朝倉...
道中、浅井家の領地を通過しなければならなかったが、事前に...
つまり障害なく朝倉家を攻められた。朝倉の領地である越前に...
そんな中、浅井家に嫁いだお市から陣中見舞いが届く。それは...
その袋は前後を縄で縛られていたのだ。小豆一粒でさえ通れな...
口を縛られ、袋の中に閉じ込められた小豆に逃げ場は無い。浅...
正面の朝倉軍と挟み撃ちに遭う。虎口から退却しなければ。信...
その後、織田軍は金ヶ崎で浅井・朝倉軍の追撃を受け、金ヶ崎...
天下の織田軍が大敗するという珍しい展開となったが、この事...
後世まで伝わる逸話の一つだが、出典となる書物が朝倉家記だ...
古戦場となった金ヶ崎宮(かねがさきぐう)では、この逸話に則...
甲斐の虎こと武田信玄公は、陣中食として「ほうとう」を食べ...
信玄公ゆかりの地・山梨県ではレシピを使って再現しており、...
東京板橋区には小豆沢(あずさわ)という地名がある。由来とし...
・その昔、その村では飢饉に見舞われた。そこへ小豆の束が沢...
・平将門が貢物の小豆を船に載せて運搬していたところ、難破...
・十二天社の祭礼は毎年6月15日で、村民たちは赤飯を通行人に...
ちなみに小豆の名が付く地名は、谷筋が崩れやすい危険地帯と...
#endregion
//region内表整形用
|BGCOLOR(white):2048|c
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終了行:
&size(18){「概要を食べながら、しゅっぱーつ!」};
アズキはマメ科ササゲ属の一年草。
日本、朝鮮、中国、台湾、インド、ネパール、ベトナム、ミャ...
学名:'''Vigna angularis'''
俳句では夏の季語。
学名の「Vigna」は「ササゲ属」(17世紀のイタリアの自然科学...
本作では「アズキ」という名前で実装されているが、「小豆」...
名称の由来については、諸説ある。
・「ア」は「赤」、「ズキ」は「溶ける」の意味。煮崩れやす...
・「アカツブキ(赤粒木)」からアズキとなった
他多数。
このように本来の読み方はショウズだが、アズキ読みの方が一...
中国から伝来してきた大豆は中国読みを採用してダイズになっ...
いつ頃から読み方が変わったのかは不明だが、918年に作られた...
豆という漢字は、神様の食事である神饌を盛る高坏の形から生...
アズキの草丈は30~70cm程度。ヤブツルアズキと違い蔓になら...
長い葉柄に小さな葉が3枚付く。5月中頃に種を植え、6月上旬に...
7~9月頃に黄色い花が咲いた後、5~10cm程度のサヤができる。
8~11月頃になるとこのサヤが熟し、いわゆる&color(#96514d){...
#region(''穀類としてのアズキについて''COLOR(white){_})
一般的に「アズキ」というとサヤの中にできるこの豆のこと。
寒さと霜に弱いため、気温10度以下の環境だと上手く発芽しな...
小豆は、昼間に太陽を浴びて養分を作り出し、夜間にその養分...
甘くならない性質がある。昼暖かく、夜涼しい環境だと効率良...
肥料を多く与えすぎると、葉っぱだけが茂って実が成らないた...
北海道産の小豆は、渋み成分であるタンニンの含有量が少なく...
また、小豆は連作ができない作物で、一つの畑で小豆を栽培す...
甜菜類の次に小豆を連作すると良いと言われる。マメ類の中で...
黄色い花を咲かせると、寄ってきたハチに受粉させる。この時...
大豆は気候風土の異なる土地から持ってくると上手く育たない...
大きさが5.5mm以下で4.2mm以上のものが「普通小豆」、5.5mm以...
黄色い花を咲かせるものの、誕生花として指定された日は存在...
一応、食用小豆の原種ではないかと言われているため共通点は...
原産地は中国北東部で、二千年ほど前に日本へと伝来したと言...
その頃には既に小豆は存在していた可能性が高い(後述)。
中国では小豆の事を紅豆(ホンドウ)と呼んでいる。紅豆を使っ...
中国で作られた世界最古の薬学書「神農本草経」によると小豆...
同時に小豆の栽培方法が書かれており、やがて世界に波及。薬...
日本では縄文時代にはすでに栽培されていた。今でも遺跡から...
現在国内で栽培されているアズキは自生種のヤブツルアズキ(''...
ヤブツルアズキは全国的に分布しているが北海道と沖縄県、そ...
ちなみにこのヤブツルアズキは分類上は栽培用に品種改良され...
上記のようにヤブツルアズキを品種改良したのが現在のアズキ...
それ以外では畑で栽培していた小豆が、何らかの要因で管理下...
栽培小豆と野生小豆の中間のような見た目をしており、サヤは...
このような特徴から、栽培種と野生種が交配した間の子とも解...
ちなみに野生種も十分食用にする事が出来、飢饉の時は非常食...
小豆を栽培する前には、必ず畑から石を取り除く。生育に石の...
十勝地方では火山噴火の名残か、漬物石になりうる石が地面か...
技術が発達していない頃の小豆は皮が薄く、炊き上がった時に...
代わりに種皮が破れないササゲが使用された。近年、ササゲの...
再び小豆が多用されるようになった。
輸送網が発達していない戦前日本における、水田の無い山奥や...
その米より更に貴重だったのが小豆である。栄養のある小豆は...
2015年、農業生物資源研究所は沖縄綜合科学研究所と共同で、...
これにより品種改良や省力化を容易なものにし、全く新しい性...
#endregion
#region(''餡子について''COLOR(white){_})
&size(18){「餡子食べる?」};
小豆から作られる餡子は、多種多様な和菓子に使用されてきた...
その原材料たる小豆もまた必要不可欠の存在である。故に和菓...
1349年、中国から訪れた林浄因(りんじょういん)という人物が...
しかし当時の餡子は塩味で、とても甘味と呼べるものではなか...
中国では饅頭の具材は肉と決まっており、餡は肉扱いだったの...
&color(silver){なので花騎士4コマ劇場90話の[[アグロステ...
伝来からしばらくの間、饅頭は箸でつまんで食べられていた。...
長らく国内でも餡子は肉扱いであったが、室町時代に外国から...
江戸時代頃から甘く仕上げた餡子が登場するようになった。
ちなみに国内で生産される小豆の約7割が餡子となり、和菓子屋...
餡子には「つぶあん」、「こしあん」、そして「小倉あん」の...
つぶあんは小豆を潰さずに炊き上げたもの。こしあんは種皮を...
そして小倉あんは、こしあんに大納言のような大粒の小豆を混...
小倉あんの「小倉」は、京都府北西部にある小倉山から取られ...
こしあんの中にある小豆が、小倉山の名物である[[モミジ]]を...
他にも「うぐいす餡」や「ずんだ餡」あるが、これらは小豆が...
つぶあん派、こしあん派は見事に東西で分かれており、未だに...
流通網が発達していない昔、東日本は北海道産の小豆を使用し...
一方、西日本は丹波や備中が産地の大納言小豆を使っており、...
この食文化が根付いた結果、東西で派閥が分かれる原因となっ...
餡子が貴重だった時代が長く続いたためか、和菓子業界には売...
新しい小豆とともに炊き直す「餡の炊き直し」と呼ばれる伝統...
その昔、砂糖は薬に使われるほど貴重なもので、それに伴って...
暴れん坊将軍でお馴染みの徳川家八代目将軍、吉宗である。長...
これに危機感を覚え、砂糖の国産化を指示したのが徳川吉宗と...
このためか江戸時代の頃には、現代に比肩する製餡技術が確立...
大正時代には製餡を専門とした製餡所が誕生する。大正末期に...
合理的なシステムが作られていたという。
先人は、小豆と砂糖が上手く連携する事を知っていた。餡子は...
餡子を食べると、小豆と砂糖の糖質が分解されるが、その分解...
小豆の助けにより、すばやく脳に栄養が届いて元気になれる、...
また、餡子は和菓子と比べてカロリーが低く、ダイエット中に...
つぶあんは寒天と組み合わせると羊かんや、きんつばにもなる...
また加賀百万石で有名な加賀藩・三代藩主前田利常は小豆で作...
物を知らぬが故の笑い話として、こんな話が残っている。
昔々、饅頭を知らない山奥の人々が偶然にも饅頭を発見。これ...
おそるおそる饅頭を潰すと、中から小豆や餡子が飛び出してき...
文明の光が届かぬ魔境とは、かくも恐ろしいものか。
日本人から国民食として親しまれている餡子だが、日本に住む...
幼少期に日本へ移住した外国人の中には餡子好きがいるようだ...
戦争をした仲の中国人も、日本の小豆は甘すぎると評している...
小豆そのものは甘くない。中国では、小豆は甘味の材料ではな...
アメリカでは「adzuki(アズーキ)」と呼ばれ、主に高級スーパ...
奈良時代、遣隋使によって中国からもたらされた菓子の中に、...
これは小麦粉で出来た団子の中に餡子が入った菓子で、麺類の...
温かい汁に入れて食べているうちに混飩が温飩(おんとん)にな...
#endregion
#region(''産地・品種について''COLOR(white){_})
70%が北海道(十勝)産で、丹波・備中と共に三大産地として知ら...
北海道内の主な産地は十勝、上川、後志、網走。そして小樽が...
平安初期に書かれた延喜式の記述によると、昔の産地は近畿、...
1896年、北海道で栽培する小豆の品種を選定するため、品種比...
小豆が冷害に弱い事を認知しつつも、開拓痩せ地でも比較的多...
小豆の本格的な栽培が始まったのは1899年頃とされ、今までは...
北海道への流入者も増えて耕地は拡大していった。
本来、小豆は寒さに弱い品種だが、北海道での栽培を可能とす...
その後も十勝地方で品種改良が進められたが、大東亜戦争勃発...
米や生鮮野菜の栽培が出来ない北海道や、山間部の農家にとっ...
小豆の収穫が終わる10月が過ぎると、帯広に出荷される。そこ...
生産者と商人の関係は、支那事変勃発まで続いた。
マメ科の中では唯一、国内での自給のみでまかなわれている。...
中でも十勝産地は非常に広大で、アメリカやフランスの大規模...
十勝農地だけである。すっごい大きい……。
東京相場で、30kg7800円とされる。1kg当たり260円である。
北海道で栽培されている品種は「エリモショウズ」と「きたの...
主力かつ優良品種たるエリモショウズは1971年生まれ。寒さに...
今でも主力の座に就いているが、病弱なのと連作障害が激しい...
続くきたのおとめは1982年生まれ。十勝で開発された。エリモ...
最後に現れたのは、きたろまん。2006年に生み出されたニュー...
病気への抵抗力を身に付け、早期収穫を可能にした事から、い...
一方、エリモショウズは海外への流出が続いており、カナダ・...
エリモショウズになるという逆輸入状態が発生している。中国...
北海道では対策を強いられている。また中国では小豆品種の「...
これを受けて北海道は監視体制を強化しているとか。
丹波地方(兵庫県)で栽培される小豆は「&color(#96514d){''大...
この地方で栽培された小豆は種皮がしっかりしており、水びた...
現地では、縁起の良い豆とされている。多収性を度外視した高...
6万トン出回る北海道産と比べると、微々たる量しか採れない事...
大粒で光沢が美しく、風味豊かで、糖分が多い特徴がある。
石川県北部の奥能登地方では、「能登大納言小豆」なる亜種が...
この地では、葉タバコと小豆を交互に栽培する事で連作障害を...
結果、生産量が低下傾向にある。
中でも一番希少価値が高いのが「白小豆」と呼ばれる品種であ...
国内で生産されている小豆の99%が赤い物のため、その存在を...
見た目は白色だが、ちゃんと小豆の味がするという。通常の小...
気象条件に左右されやすく生産量が安定しない。故に希少価値...
そしてその白小豆を用いた和菓子は、漏れなく高級品となる。...
栽培が難しく、生産者も軒並み高齢な事から増産は困難な状況...
本作のアズキが白いエプロンを羽織っているのは、希少価値の...
&color(silver){アズキの開花や別バージョンが出たら、髪の毛...
近年、市販の生餡は品質が悪化し続けており、中には中国産の...
高級な和菓子屋では一級品の餡子を使用しているが、末端の弱...
#endregion
#region(''アズキの仲間''COLOR(white){_})
先述の通り、沖縄では小豆の栽培が行われていない。代わりに...
同じマメ科でもササゲ属ではなくアデナンセラ属で、落葉樹。...
小豆と同じく赤い種子を付ける。淡く光り輝く種子は、まさに...
金や宝石を量る時の分銅として活用された歴史がある。雑草化...
ちなみにナンバンアカアズキは、外来種の小豆の総称でもある。
中国では「相想樹」と呼ばれ、美しい種子は相思相愛のシンボ...
沖縄県宮古島では黒小豆が栽培されているが、正体はササゲで...
マメ科ササゲ属のアズキくんは可愛くて人想いだが、親戚には...
マメ科トウアズキ属で、蔓性常緑多年生草本に所属する。イン...
明るい赤と黒の種子を付け、マラカスの中身として使用される...
葉っぱや根にはサポニンが含まれるので天然の甘味剤に使われ...
問題なのは種子である。トウアズキの種子にはアブリンという...
たった3mgで人を死に至らしめるやべーやつなのだ。幸いにも種...
見た目が綺麗なので海外から持って帰ろうとすると、空港で没...
実は日本国内にも自生しており、西表島と石垣島に生えている。
スーパーでは「あずきな」と呼ばれる山菜が並ぶ事がある。茹...
その正体はマメ科ソラマメ属の植物ナンテンハギ。名前は葉っ...
とはいえナンテンハギを食用にしているのは極一部の地域のみ...
竹小豆という小豆のそっくりさんも存在する。主な産地は中国...
マメ科の一年草で、熱帯地方では3mほどに生長する。小豆と違...
このため中華圏では漢方薬に使われる。食用にされ、栄養もあ...
日本には餡の原材料として輸入される事がある。
#endregion
#region(''害虫について''COLOR(white){_})
かわいいアズキくんの命を狙う暗殺者は、数多く存在する。
アズキの天敵は、アズキゾウムシと呼ばれる害虫。アズキの中...
発生率は年に4、5回。つまり季節を問わず襲来するのである。...
また、戦時中に一人の昆虫学者が、食害に遭わないアズキの開...
侵入した害虫を返り討ちにして葬るインゲンマメの遺伝子を組...
本能のままに食い荒らす害虫が多い中、アズキゾウムシは自分...
決して他の小豆に移ったりしないのだ。また同じ小豆内で生ま...
他にもスズメガ及びメイガの幼虫が害虫として立ちはだかる。...
一度幼虫に侵入されると防除が難しいため、腐ったところが広...
幸いな事に、全ての茎や株を荒らされるほど多発する事は無い。
農薬が発達する前はアズキノメイガの発生が多く、手作業で幼...
害虫として馴染み深いアブラムシにも寄生される。6月中旬頃よ...
主に若い葉っぱの裏に群集。葉っぱは萎え、最悪の場合は株そ...
見落としやすく、放っておくと思わぬ被害を受ける羽目になる...
幸いに、農薬への抵抗性が見られないため防除は容易である。...
一方、アブラムシに特攻を持つヒーローユニットのテントウム...
およそ一日に百匹ほど食べ、多いときには四匹が一つの株に集...
タマヤナガの幼虫も小豆を荒らす害虫となる。昼間は土中に潜...
やがて食いちぎって、倒してしまう事から「根切り虫」の異名...
北海道の気候だとタマヤナガは越冬できないが、近縁種は越冬...
似たような被害を与えてくる害虫に、タネバエの幼虫がいる。...
時には大損害を与えてくる強敵。
アズキヘリカメムシもまた、食害を与えてくる害虫。小豆に限...
害虫である事には違いないが、アズキヘリカメムシは少々毛色...
埼玉県では準絶滅危惧種、茨城県では危急種の指定を受けてい...
そのせいか被害の報告も少なく、本腰を上げての対策が取られ...
変化球として、与える被害が少ない故に見過ごされてきた害虫...
大した対策が採られなかった。しかしアザミウマを除去すれば...
しかし、いくら殺虫剤を撒いても、逆にわざと食害を与えさせ...
つまり対策の有無に関係なく、生産量が均一だったのである。...
害虫の中では珍しく、共存を許された種となった。
最近になって襲来した新害虫マキバカスミガメが、小豆に暴力...
子実に被害を与え、しかも高密度に群集していたのだ。今まで...
実験の結果、農薬が通用するという事で駆除は容易だった。た...
アズキくんの命は、害虫に留まらず病害菌にも狙われていた。
1960年代、豆類にバイオハザードが発生する。
手塩にかけて育てた小豆が、やっと小さなサヤを付け始めた頃...
小豆だけではない。インゲンマメやダイズを始めとする多くの...
おかげで小豆の生産量は激減。当時有効な対策は無く、農家を...
その正体は''菌核病''であった。
バイオハザードは一度だけに留まらず、十勝地方では1960年代...
おかげで北海道農業は大打撃を受け、農家ともども頭を抱えた。
忌むべき病害の発生源は、広大な豆類耕作地だった。アズキく...
防除手段は無く、ひとたび発生すれば呆然とするしかなかった...
室内実験の結果、従来どおり薬剤を散布しただけでは全く効果...
要するに農家側が散布の仕方を誤っていたのである。とりあえ...
菌核病は、どうやって作物に侵入してきたか。これを題目に実...
試しに開いた花を手で摘み取ってみると、発病率が下がった。...
しかし、小豆にだけ病魔が残っていた。
1970年は好天に恵まれ、小豆も順調に生育。豊作の見通しが立...
8月下旬頃、突然小豆の茎がしおれ、落葉し始める。いわゆる立...
収穫前に枯れてしまった事で、収穫量は激減。生き残った小豆...
いよいよ収穫という時にアズキくんを殺された農家たちのショ...
半分だけ生き残った畑もあり、不思議な発生状況だった。さっ...
結果を照らし合わせてみた結果、土壌中に潜む菌が小豆の根に...
病原菌を分離して確保するため、連日慎重な作業を実施。苦労...
しかし、その菌は全くの無実だった。他にも菌が潜んでいる可...
判明したが多大な苦労は徒労に終わってしまった。
原因究明の方法を改めるべく、実験に使用していた機器やシャ...
シャーレの中に、未知の菌がコロニーを作っていたのである。...
このため、先の分離実験では小型過ぎて発見できなかったのだ...
確認されていた病状が再現された。この菌こそ病原菌であり、...
後に学会で発表され、和名「''アズキ落葉病''」と命名された...
アズキ落葉病は、小豆にだけ特異的に強い病原性を示す。他の...
相手の正体が分かった事で実験は飛躍的に進み、菌の生態が判...
しかし土壌病害は防除が難しく、未だ根絶には至っていない。
連作をすると土壌中の菌密度が上昇し、発病・被害発生のリス...
反対にイネ科の作物を輪作すると菌の密度が下がるため、発病...
同じく水田転換期の1974年に発生した病気に、アズキさび病が...
主に道央以南で発症し、6月下旬から8月下旬にかけて葉表面に...
葉っぱに浮き上がった斑点は菌の胞子で、越冬して翌春までし...
1950年代から石狩や空知方面を中心に発症しており、水田転換...
病原菌が小豆に接触しやすい土壌がある事が挙げられる。また...
アズキくんを蝕む病害菌は、まだ潜んでいた。
1983年、石狩地方で栽培されていた小豆に謎の病が襲来。7月末...
これを機に、謎の病害は石狩地方全域に波及。またしてもバイ...
謎の病を引き起こした元凶は、''アズキ萎凋病''というもの。1...
原因を究明してみると、全滅した小豆畑は全て水田から畑に転...
図らずもアズキ萎凋病頻発の引き金を引いていた。このため農...
寿小豆はアズキ萎凋病に敏感で、他の品種より激しく症状が出...
どうやらアズキ萎凋病を引き起こす菌は土着のものらしく、十...
1945年当時、石狩地方は小豆栽培に偏っており、この時期に病...
対抗策として、畑をもう一度水田に戻して土壌中の菌を殺す案...
確かに効果はあるが、病原菌が無くなるまで5~6年は水田にし...
一応、アズキ萎凋病に抵抗のある品種が次々に開発されて栽培...
植物に感染するウイルスは千種類以上あると言われる。そのう...
中でも特徴的なのが''アズキモザイク病''である。%%寝室の事...
生育中の種子にウイルスが侵入する事で感染。ウイルスに冒さ...
一般に6月頃から発病し、7月頃に最大となる。他のウイルスと...
あくどい事に、ウイルスは汁を吸いに来たアブラムシを媒介に...
感染した小豆は、ウイルスを保有した種子を作る。これを知ら...
植物ウイルスにワクチンは存在しない。これは、人間のように...
対策は、感染した小豆を速やかに除去しつつ殺虫剤でアブラム...
道南地方では小豆生育期間の気温が高い事からアブラムシが発...
北海道ではウイルス病の発生は少ないため、主な実験や試験は...
''―番外編・蠢く害獣―''
これまでは害虫や病原菌といった小さい相手だったが、より巨...
シカ、襲来。
ニホンシカも、小豆に食害を与えてくる害獣である。彼らは雑...
小豆は特に甘いので、葉っぱも茎も花も全てシカの好物である...
植物であれば何でも食べる健啖の悪魔は、農家に物理的な対策...
小倉餡の産地である京都府右京区嵯峨小倉山地域も、2006年か...
主な対策が見つかっていない状態。古来種の小豆は、シカに蹂...
ただ小豆の被害は、全被害のうち3%に過ぎなかったりする。
イビルジョーに匹敵する食害を与えてくるシカに、人々は悩ま...
狩人を雇い、落とし穴を仕掛け、鳴子を引き、垣根を設けて駆...
虫が付きやすいため、対策が必要である。か弱いアズキくん。
#endregion
#region(''用途について''COLOR(white){_})
アズキ・大豆は[[米>トウカ]]、[[麦>コムギ]]、豆、粟、黍ま...
薬用に使われるだけあって、牛肉や卵に劣らない豊富な栄養価...
お目出たい行事の際の食事に出す赤飯や小正月(1月15日)に食べ...
餡子として[[お萩>ハギ]]や[[牡丹餅>ボタン]]、最中、饅頭、...
煮てから寒天を加えて羊羹、煮た小豆汁にお餅などを入れて汁...
地域によっては醤油や味噌の原料として使われることもあるの...
夏場になるとカキ氷に小豆と抹茶を添える事がある。これを宇...
そして金時は小豆を指している。語源は、真っ赤な肌をしてい...
明治二年、町田房造という人が横浜で開いた「氷水の店」で、...
豆類の多くは、煮込み料理やスープの食材として使われる。し...
豆類を煮込む食文化圏ではあまり姿を見ない。一方、日本では...
これは他の食文化圏には無い、日本独特の調理方法だという。
一方、香港では寿司のネタに使用され、アズキ軍艦なんてもの...
山形県の小国町では葬式の際に赤飯を炊く風習があり、普段は...
稀に他の地方でも、葬儀の場で赤飯が用意される事がある。葬...
引き込まれないよう魔除けの意味で振る舞う説、あの世への旅...
同じく山形県庄内地方では赤飯の小豆が胴割れすると割腹を彷...
東北地方では方言で、黒ササゲの事を「てんこ小豆」と呼ぶ。...
にがりを混ぜても固まらない事から、小豆で豆腐を作るのは不...
しかし時代の流れとともに技術が発達したため、高度な職人技...
古くからある、小豆を使った料理に「いとこ煮」というものが...
栄養満点の料理である。これを人々は暑い夏に入る前、寒い冬...
時には、[[ナンテン]]の葉が赤飯の上に添えられる場合もあっ...
富山県東砺波郡平村相倉では、男児が生まれると村民が赤飯を...
鹿児島県の奄美大島では熱帯の気候から、冷たい小豆粥が出さ...
現地の人々には結構メジャーな食品のようだ。
宮崎県小林市周辺のご当地食として「小豆あくまき」がある。...
広島県の名物[[モミジ]]まんじゅうには、厳選された小豆が使...
土産物として人気がある。
三重県伊勢市の名産・赤福には北海道産小豆を使用。高級和菓...
島根県出雲市の郷土料理に、小豆雑煮がある。見た目はぜんざ...
この小豆雑煮は主に島根県沿岸部で食べられている。新潟や京...
青森県の南部地方や岩手県では、小豆とうどんを組み合わせた...
近隣の住人に嫌と言うほど食べさせる風習がある模様。ばっと...
意外かもしれないが、小豆とうどんを組み合わせた料理は意外...
夏の土用にはウナギを食べる風習が広く知られているが、ある...
丑の日に小豆を食べて、健康祈願をした名家もいたという。
また日本で男性の最高齢記録を持った木村次郎右衛門氏(116歳)...
アメリカの研究者も、小豆を常に摂取し続ける事で寿命を大き...
国内のアズキは75%が餡用であるが、漢方としても多く使われる...
先ず小豆には、鉄分やビタミンB1やB2、カリウム、カルシウム...
ビタミンB1はアルコール分解の作用があり、小豆の汁は二日酔...
カリウムとサポニンには生活習慣病と便秘の予防に効果があり...
もたらされる利尿効果は、むくみ対策に効果的である。
豆を煎じたものを「赤小豆(しゃくしょうず)」といい、解毒...
江戸時代では、原因不明の病とされた脚気の治療薬として医師...
小豆にはチアミンが含まれており、脚気(かっけ)に効果的だっ...
食物繊維に至っては、ゴボウ・寒天・キノコをも凌駕する量が...
民間療法の中には、川魚の鯉を食べてから小豆のスープを飲む...
生薬として使われるのはセキショウズ(種子)だけで、食用の餡...
実は小豆は、犬にも効能を発揮するとされる。昭和二十年代、...
猟師は貴重だった純米や砂糖と同様に小豆を煮て、それを犬に...
やがて犬は快復し、猟に同行できるようになった。犬の健康を...
ちなみに犬に餡子を食べさせても特別害は無いが、食べさせ過...
余談だが、お汁粉の起源は江戸時代に誕生した「すすり団子」...
明治から大正にかけての時代は甘い物が少なく、時代に合わせ...
人々を魅了するには十分の美味しさだった。
同時期、大阪ではきんつば焼きが誕生。つぶあんを寒天で固め...
銀よりも金の方が縁起が良いとして金鍔(きんつば)に名称が変...
明治後半、大阪浪速橋筋の瓦町付近に一軒のお汁粉屋があった...
一年間通って全て平らげたら代金無料。しかしこれには甘い罠...
最後の12月に出されるお汁粉は極めて甘かったという。多くの...
1970年代までは、お汁粉を専門とした店屋があったが洋菓子の...
SDの喜びモーションでパンを食べているがあれは「小倉トース...
1921年頃、名古屋三越の隣にあった喫茶店「満(ま)つ葉」にて...
古くから菓子作りと茶会の文化が盛んだった名古屋には、餡子...
名古屋人の餡子好きっぷりが窺える。中でも小倉あんが好みの...
砂糖代わりにコーヒーへ餡子を入れる人まで居るとか。各家庭...
信じがたいごとに、小豆で味噌を作る事があるという。ただ大...
最近、小豆を使ったカイロという運用法が編み出された。耐熱...
時間にして数十分間持つ。繰り返し使えるので、素寒貧の人も...
吸熱作用のある小豆は、なんと枕の中身にも使用される。他の...
いつ頃からかは不明だが、枕の中に小豆を入れる人が続出。睡...
戦後しばらくは小豆の不足から、投機の対象になった事がある...
翌年には映画化もされた。助演女優と化したアズキくん。
#endregion
#region(''戦争とアズキ''COLOR(white){_})
古来より、日本人の食生活に寄り添ってきた小豆。それは戦時...
東洋の小国に過ぎなかった日本が、白人の大国ロシアと戦争す...
日本軍に協力したとの伝承が残っている。彼らは小豆に化けて...
第一次世界大戦では、欧州の産地(ルーマニアやハンガリー)が...
ちょうどその時、北海道の小豆が豊作になった。これに目を付...
ヨーロッパの同盟国へ向けて北海道産の小豆を大量に輸出。儲...
黄金そのものである小豆を少しでも多く手に入れようと、商人...
輸出された小豆の中には、砂糖をまぶして餡子にしたものもあ...
しかし戦争特需により、十勝の小豆生産者は大儲けに成功。借...
小樽には20件以上の工場が立ち並び、雇われた女工は一時期約6...
北海道初の衆議員こと高橋直治は、第一次世界大戦で小豆の特...
倉庫に備蓄した13万俵を一気に売却。1俵17円の高値を付け、ロ...
この様子は「豆成金」と呼ばれ、好景気は1915年から1935年ま...
とはいえ全員が成功した訳ではなく、一夜で資産を傾ける者が...
この頃からアズキくんは大人気で、臣民の運命を握る鍵だった...
しかし、小豆特需は長く続かなかった。昭和初期に入ると、船...
大規模な改装工事を受けざるを得なくなり、工場は不活発化。...
小樽の繁栄は、現地の住民にさえ忘れられるほどの過去の話に...
そして特需の終焉は、後の大東亜戦争に暗い影を落とす事にな...
本作のアズキが着ている大正時代を彷彿させる和服はその時代...
戦前から小豆は大豆に次いで栽培面積が広く、伝統ある食材と...
また、お汁粉は軍民ともに大人気で、特に子供からの人気が強...
1934年12月、森永製菓は茹で小豆の缶詰めを作る事に成功。1つ...
缶詰め化が成功した事で、後の戦争では前線の将兵に向けて送...
1930年代、小豆の価格は高騰。大豆の二倍以上あったとの証言...
帝國海軍の顔とも言うべき航空母艦赤城では、乾パンの小倉煮...
1935年の料理コンテストに出品されている。ふやかした乾パン...
海軍の艦艇に積載される補給物資には小豆も含まれており、厳...
世界恐慌により絶望的な不景気が始まると雇用対策として、満...
満州は穀倉地帯となった。かの地は大変肥沃で、小豆を植える...
満州で収穫された小豆は内地へと輸送され、厳しい食糧事情を...
帝國海軍では、入港した際にぜんざい(通称入港ぜんざい)が振...
ぜんざいは乗組員の心と舌を癒した。このぜんざいには、無事...
佐世保近郊の店では、戦艦武蔵の入港ぜんざいというレトルト...
給糧艦間宮には貴重品の小豆が大量に積載され、軍属の菓子職...
帝國海軍随一の人気を誇り、間宮が入港する日には、各艦から...
争奪戦に敗れた買い出し係は白眼視された。逆に持ち帰る事に...
大人気商品の羊かんを作るため、乗組員は午前3時に起床して、...
臣民や軍人からもアズキは愛されていたのだ。
1937年6月に支那事変が勃発すると、いよいよ国内も戦争色に染...
小豆を含む豆類が制限される、最初の規制が始まった。
大日本帝國陸軍が制定している昭和12年版・軍隊調理法に、小...
翌1938年4月からは国家総動員法が発令された。それに伴って、...
戦争が泥沼化する1940年11月14日、政府は食糧を確保すべく二...
自由に売買する事が出来なくなってしまった。
1941年12月8日、大東亜戦争が勃発。敵味方を逆にして、日本は...
真珠湾攻撃に参加する搭乗員たちに希望する献立を聞いたとこ...
艦内の貴重な砂糖を使って振る舞われたエピソードがある。
1942年2月15日に英シンガポール要塞が陥落すると、三日後に日...
開催され、小豆を始めとする貴重品が振る舞われたという。開...
制限はされつつも小豆を入手する事が出来た(1941年10月4日か...
しかし戦況が悪化するにつれ、物資が欠乏。枢軸国が不利にな...
配給制となり、砂糖ともども入手が困難になってしまった。
当時、日本の統治領だった台湾には捨てるほど砂糖があった(内...
元々小豆は不急の作物として生産が後回しにされており、それ...
小豆がまともに入手できなくなった事すらあったという。この...
第一次世界大戦の頃とは違い、小豆の輸出は全く行われなかっ...
全て連合軍によって閉ざされていたからである。遣独潜水艦作...
そもそも、主な産地であるハンガリーやルーマニアが枢軸国側(...
また1943年から菓子製造に企業整備令が発布され、モナカとい...
息子や父等が召集令状により徴兵された時、出兵を祝ってお赤...
北海道土地改良5ヶ年計画により食糧の増産が試みられたが、そ...
一方、満州国は生産地だけあって小豆には困らなかった。本土...
限られた小豆を集めてきた小学生達は、それを慰問袋に詰めて...
一番喜ばれたのは茹で小豆だった。皇軍兵士にも人気なアズキ...
しかし補給線が脅かされていたため、全部が全部届く事は無か...
こういう時は中身を取り出し、くじ引きで分け合ったとか。
餡子を型に流し込み、寒天で固められた羊かんも慰問袋に入れ...
帝國陸軍の指示を受けて開発した特製の羊かんだった。羊かん...
蛇足だが、1943年12月に発生したヒカリゴケ事件は、根室港か...
荒天に見舞われ、第五清進丸は小樽港へ辿り着く事が出来なか...
小豆にまつわるエピソードに、こういう逸話がある。
1943年頃、南方戦線のとある島に派遣され、戦っていた山田正...
ある日、彼の部隊は突撃命令を受け、銃剣片手に敵陣へ突撃す...
自分がどこに居るのか、どこへ向かえば良いのか、さっぱり分...
ちょうど、子供の頃に迷子になった時と情景が似ていた。空腹...
密林の中にただ一人。彼は死を覚悟した。
すると不思議な事に、どこからか小豆を炊く匂いがしてきた。...
声のした方へ向くと、人影が見える。思わず彼は人影を追いか...
やがて人影に追いつくと、一瞬振り返ったのち人影は消失した...
人影が消えた方角を見ると、明かりが見えた。友軍の明かりだ...
終戦後、復員して故郷に帰った彼は、父親に母親の事を尋ねた...
今際の時、南方の島まで自分を探しに来てくれた母親に、山田...
内地の母親たちは死に物狂いで小豆をかき集め、お手玉にして...
お手玉の中身が小豆に変わったのは、1944年に入ってからだと...
送られたお手玉は子供の遊び道具となったのち、中身を取り出...
しかしこれは非常食代わりだったという。疎開先でもひもじい...
すぐに食べてしまう事が多かった。全員が全員小豆を入れても...
疎開先によっては、砂糖をまぶした小豆が振る舞われた場所も...
小豆の数が乏しかったため赤飯を作る事が出来ず、代用品のラ...
迷信も普及の後押しをした。
小豆の慢性的不足から、「餡無しまんじゅう」という代用食が...
1944年11月、国策映画「雷撃隊出撃」撮影のため、航空母艦鳳...
班員に汁粉を振る舞った。これを参考にしたのか、映画の中に...
1945年に入ると、海軍航空隊の食糧事情も悪化。門司の航空隊...
小豆を入れて水増しした……というものだった。それほどまでに...
満州国から送られてくる雑穀の中に小豆があり、僅かながら供...
帝國海軍も日本海側のシーレーンを防衛すべく6000個もの機雷...
だがそれも、1945年4月から行われた米軍の飢餓作戦により補給...
いよいよ小豆は幻の存在となってしまう。東京大空襲で備蓄も...
6月28日、帝國陸海軍は日号作戦を発動。朝鮮の港から小豆とい...
船舶の絶対数不足、陸揚げ能力の不足、加えて米軍の妨害もあ...
一方、7月14日から3日間、北海道も攻撃を受けた。小豆の産地...
停泊中の海防艦や漁船が犠牲となり、市街地や港湾に被害が出...
戦時中、小樽には陸軍の輸送基地が置かれ、千島や樺太に物資...
同じく小豆の産地である十勝も米艦載機の襲撃を受ける。2日間...
特に本別町への空襲が激しく、50分もの間、激しく銃撃された...
ちなみに本別への激しい攻撃は、帯広への攻撃と間違った事に...
同時期、千葉県銚子市が空襲を受け、焼け野原となった。缶詰...
その後も朝鮮からの輸送作戦は続いたが、日本海は米軍によっ...
終戦間近のビルマ方面では、シッタン河東岸に設けられた安兵...
このぜんざいを食べたいがために、長期間の逃避行で疲労困憊...
特攻隊への入隊や出撃前には、赤飯が振る舞われた。保存食に...
ちなみにその保存食は小豆島(しょうどしま)から発見されてい...
終戦の日である1945年8月15日まで赤飯が提供されていたという。
元特攻隊員や関係者からの証言により、小豆を使った餡にスポ...
片手で食べられるように、細長く作られているのが特徴である...
小豆島には1944年8月頃に陸海軍の水上特攻隊の基地が設営され...
現地の工場には隊員のものと思われる遺言が発見されている。
特殊潜航艇蛟竜の出撃基地もあったが、肝心の蛟竜が11隻しか...
小豆島は香川県に属する田舎の島だったため、大規模な爆撃は...
1945年8月9日、地平線まで埋め尽くすソ連軍が満州国に侵攻。...
民を守るはずの関東軍は南方戦線へ戦力を抽出されまくってお...
それでも関東軍第124師団は小豆山(ソ連軍の砲撃で真っ赤に燃...
十倍以上の敵を相手に勇戦。15cmカノン砲一門による砲撃でソ...
壊滅寸前まで追いやられるも、玉音放送が流れる時まで防衛ラ...
しかし、さしものアズキも連合軍を餡子みたく練り上げる事は...
終戦後、闇市では残飯シチューなる食べ物が流行った。総力戦...
進駐軍の残飯に、かろうじて残っていた小豆やらマッシュルー...
「美味しい」という感想から「食べられた物じゃない」という...
昭和20年の日本は3000万石の生産高しかなく、7000万人の臣民...
そこで政府はGHQの力を借り、米や豆類の供出・流出を厳しく統...
アズキくんのレア度は金どころか虹レベルだった!
原爆の投下から一ヶ月あまりが経過した、終戦後の9月17日。広...
敗戦で身も心も満身創痍な臣民を痛めつけた。この事態に対し...
一大産地だった満州国が敗戦とともに消滅し、小豆の生産量は...
北海道から船路で引き揚げてきた者が小豆を大量に持って帰っ...
小豆が容易に手に入らなくなったため、甘納豆を使った赤飯の...
小豆の生育は気象条件に左右され、年々生産量が乱高下する事...
凶作時には凌雲の如く価格が暴騰し、&color(#96514d){''赤い...
アズキが宝石を好むのはこれが理由なのかもしれない。
ハイリスクハイリターンな事から、生糸と並んで「素人は手を...
急激な増産は連作を強要し、落葉病による被害が発生。一時は...
このため耕地を確保するべく、水田で小豆を栽培。不足してい...
1946年以降はGHQから救援物資が届くようになり、その中には小...
出資してくれたが、表向きはアメリカ人の支援物資とされ、日...
供給が安定し、配給制が打ち切られたのは1951年の事だった。...
雑穀商品取引所が開所。赤いダイヤの異名を持つ小豆は、先物...
ところが1953年及び翌1954年、北海道で小豆が大凶作に見舞わ...
60kg1万590円の高値を付けた時もあったという。1955年、平均...
#endregion
#region(''アズキと神話・宗教''COLOR(white){_})
アズキは神話にも度々登場する。奈良時代初期の書物『古事記...
『古事記』には穀物・食物・蚕の女神である大気都比売神(お...
これが五穀の始まりとされ、これらの種子は神産巣日神(かみむ...
ちなみに殺されたのは、空腹で困っているスサノオが農業の神...
突然やってきたスサノオを邪険にせず、食べ物を振る舞うオホ...
何故こんなにも食べ物があるのかと不審に思い、台所へ向かっ...
「汚い物を食べさせやがって!」と激昂したスサノオが、彼女...
この狼藉にブチ切れた神々はスサノオを高天原から追放し、中...
イザナギ、イザナミの二神が国生みをした時、10番目に造られ...
この時点で既に小豆が存在していた事が窺える。同島が小豆の...
阿豆枳辞摩が現在の呼び名である小豆島になったのは鎌倉時代...
『日本書紀』でも同様に食物の神である保食神(うけもち)が...
ウケモチを殺したのは月読(ツキヨミ)で、殺害までの経緯は上...
この狼藉に激怒した天照大神は月読と絶縁し、別れた事で昼夜...
ちなみに日本書紀では阿豆枳辞摩の事が書かれていない。何で...
また、COLOR(red){赤色}は五行において邪気を祓う「火」、ま...
祝事や季節の変わり目、生活の節目に厄除けとしてアズキを食...
節分と言えば大豆を投げる家庭が多数を占めるが、小豆を投げ...
今でこそ大豆を投げる風習が根付いているが、元々は豆であれ...
地方によっては御九日(みくにち)という風習がある。これは9月...
祭礼で作る料理の事を三九日粥と言い、東北から長野県に至る...
また厄年に当たる男女は、厄除け用の餡子入り和菓子を周囲の...
地域によっては饅頭だったり、餡子餅だったりするが、いずれ...
節分の時にも厄除けと称して、ぜんざいを配る事がある。小豆...
他人にぜんざいを振る舞う事で徳を積み、同時にぜんざいとも...
美味しく食べて厄除けをするのが趣旨なので、お返しは要らな...
古くから小豆には厄除けの力があると信じられていたが、やが...
その起源は江戸や京都、大阪といった都市部であった。
長野県長野市の高岡地区では、1月15日に日待(ひまち)占いの一...
小豆の回り方で、道祖神や専達三嶋神社の御機嫌を伺い、時勢...
正式な占いが終わった後は、余興として勉学や縁談の占いをす...
小正月には小豆粥を食べて魔を祓う考えは、中国から入ってき...
この時、粥をかき混ぜるのに使った棒で女性の臀部を殴ると子...
鎌倉時代からは、小正月の日に各地の神社で小豆粥が作られ、...
熱いからと言って口で吹く事は「風が吹く」と言って、忌避さ...
みんな大好きな甘味ぜんざい。その語源は、インド仏教という...
仏様の弟子たちが意見に賛同するとき「sadhu(ぜんざい)」と言...
仏教が日本に伝来した時、ぜんざいという言葉も伝わって、喜...
なかなか口にする事が出来ない至高の一品。それを食べられる...
ぜんざいと呼ぶようになった。一休さんで有名な一休和尚が、...
密教の秘法、護摩供では本尊不動明王を初めとする諸仏に五穀...
不動明王の口を模した護摩壇の釜の中に、供物を投じて修法す...
地鎮式の際、土地の神様へのお供え物として五穀を穴の中に埋...
似たような例として三重県鈴鹿市稲生では、地鎮祭の時に施主...
浄土真宗の開祖こと親鸞聖人も小豆を愛したとされ、東本願寺...
他にも報恩講では、小豆粥や小豆ごはんを振る舞うのが通例と...
親鸞聖人に縁がある越中五箇山には、小豆が入った味噌汁「あ...
食した人の感想によると、デザート感覚で食べられるという。
西暦809年、唐から帰国した真言宗の開祖・空海は、密教の秘法...
これを山城国の小倉山近辺に植えて栽培。後年、和三郎という...
品種改良や産地が移動した事で小倉大納言小豆は数を減らした...
その後、弘法大師空海は日本各地を旅する。蓬沢の村という場...
しかし民家の母親は「うちの小豆は石小豆と言って、石のよう...
それでも良いから恵んでくれと空海は言うが、取り合わない。...
一方、安房地方にある神余の畑中(かなまりのはたなか)という...
大同3年11月24日、弘法大師がやってきて食べ物を求めたので、...
その小豆粥に塩気が無い事に気付いた空海は、不審に思った。...
手に持つ錫杖で地面を刺す。しばし祈念したのち、それを抜く...
高野山に向かう弘法大師が道すがら立ち寄った寺が、奈良県五...
その地蔵に小豆を供えると雨が止むと言われている。
岐阜県大垣市十六町にある弘法の井戸には眼病に効くという言...
流行り目が治るとされていた。
日蓮宗の開祖・日蓮聖人がまだ修行僧だった頃、ある土地で子...
「修行で疲れた体を癒して下さい」と、あたたかいお汁粉を振...
その後、日蓮聖人は過激な布教と終末思想を煽った事で役人に...
聖人の姿を一目でも見ようと、善男善女が集まった。その中の...
とっさに作ったものなので、ご飯に胡麻塩を振りかけただけの...
中国の高僧、道綽(どうしゃく)は日々七万遍の念仏を唱えてい...
民衆に広めた。のちに日本へと伝わり、浄土宗が小豆念仏を行...
お彼岸と言えば、牡丹餅や御萩を食べる習慣がある。彼岸は日...
植え付けを行う春に豊作を願い、秋の収穫の際には太陽に感謝...
古来より小豆には魔除けの力があると信じられたため、作物の...
古くから存在する小豆は、その名が地名になったり、妖怪の名...
全国的に伝承が残っており、山梨県では古い橋の下に現れると...
遠野物語にも小豆の化け物が出現したとの記載がある。物見山...
以降、その場所は小豆平と呼ばれるようになり、狩人の間では...
小豆洗いの亜種として、小豆婆という妖怪も伝承が残っている...
意外な事に、神の使いであり稲荷神社の象徴である狐は小豆飯...
多くの民話でも小豆好きであると伝えられ、寺に小豆を盗みに...
埼玉県秩父市の三峯(みつね)神社では、お犬様という狼に赤飯...
ここでは祠に供えた赤飯が、翌朝何者かに食べられているとい...
#endregion
#region(''アズキの刀''COLOR(white){_})
戦国時代、小豆長光(あずきながみつ)という刀が存在した。袋...
本作のアズキが刀を振るう設定は、ここから来ているかもしれ...
小豆は割れないという身も蓋も無い結果が弾き出されている。
刀の試し切りで、死体の頭を縦に斬る事を小豆割りと言われて...
これが訛ってアズキになったと言われている。こわい。
小豆長光は上杉謙信公の手に渡り、川中島の戦い第四戦で使用...
彼の軍配を傷つけた名刀として記録されている。
反論として謙信公の愛刀は「赤小豆粥(あずきがゆ)」と呼ばれ...
小豆長光は全く別の名を冠していたとする意見もある。これも...
その後、豊臣秀吉の手に渡ったが、大阪城落城の際に行方不明...
見つからなかった。謙信公亡き後に京へ研ぎに出した後、行方...
一方、異説として江戸時代まで上杉家に保管されていたとする...
アズキの得物である刀は、柄の部分が小豆長光にそっくりであ...
小豆長光の名を冠する刀は一振りだけでなく、蜂須賀家が所有...
アズキの得物は刀ではあるが、キャラクタークエストでは「鉈...
前述のとおり、丹波地方の小豆は「大納言小豆」と呼ばれてい...
腹を切る必要が無いという点を取り入れた結果、完全な刀にし...
その刀を収める鞘は、必笑だんご剣みたいな変な形をしている...
#endregion
#region(''アズキ、脚気と戦う''COLOR(white){_})
脚気(かっけ)とは、ビタミンB1の欠乏によって引き起こされる...
恐ろしい事に脚気が流行し始めた明治時代初期では原因不明と...
脚気の流行は、食生活が麦飯から白米に変わって行った事、欧...
白米は主に将軍家や富裕層が食べたので、高貴な身分の患者が...
脚気の歴史は古く、日本書紀には既にその存在が記載されてい...
そして1870年。明治3年、欧州からの支配から逃れるために軍国...
毎年6500名以上の死者が発生し、それでいて原因不明とされた...
この問題には陸軍と海軍の軍医が対応。イギリスやドイツの医...
様々な仮説が打ち立てられたが、新説を受け入れられない医学...
戦わずして兵士がバタバタと倒れている光景は、新生陸海軍に...
海軍の軍医こと高木兼寛はビタミンの欠乏が原因ではないかと...
逆に日本式で白米と副食に乏しい食事を摂る水兵に患者が多か...
1884年(明治17年)、軍艦筑波を舞台に食生活を西洋式に統一し...
これで栄養障害説を確信した高木軍医は、下士官の食事を麦飯...
一方、陸軍の軍医長こと森鴎外は科学的根拠が無いとして麦飯...
陸海軍の仲の悪さから認められなかったものと思われる。おか...
その間に日露戦争が行われ、戦死者は約4万7000人に上った。こ...
1908年、脚気の原因究明を目的とした臨時脚気病調査会が創設...
ようやく脚気の原因を突き止めた事で、1932年にビタミン剤が...
しかし依然として脚気は臣民を脅かす病気として認知され続け...
発症後ではビタミンの吸収が難しく、治療が困難だった事が挙...
開国して間もない日本を襲った病魔。国も軍も後手に回る中、...
ビタミンの存在が確立されていなかった頃から、臣民や医者た...
脚気が猛威を振るっていた中でも、小豆を食べていた囚人たち...
これに着目した大阪陸軍病院長の堀内利国一等軍医正は、実験...
頑迷な中央部とは対照的に次々と結果を上げて、ついに陸軍も...
小豆の供給が安定し始める1952年頃には脚気はほぼ駆逐された...
#endregion
#region(''アズキに関連するキャラクター達''COLOR(white){_})
余談だが、かの有名なアンパンマンの中身はつぶあんだという...
偶然出来た物らしく、その製法はジャムおじさんですら分から...
アンパンマンは餡子がエネルギー源のため、食事の必要も無い...
蛇足だが、アンパンマンワールドには「あずきういろう」とい...
餡子に使われる小豆は、まめおじさんという豆農家が栽培して...
あずきバーで有名な井村屋製菓株式会社は、毎月1日を小豆の日...
古来から1日と15日には小豆ご飯を食べていた事と、小豆の健康...
同時に「あずきキングダム」なるキャラクターたちを考案して...
アズキと言えば、女性の名前に使われる事が多い。他作品やゲ...
シナモロールのキャラクターでも、あずさの読み間違いでもな...
2009年、兵庫県姫路市に「あずきミュージアム」という博物館...
マスコットキャラクターは、あずきさんと豆太郎と豆次郎の三...
時間のある方は、足を運んでみてはいかがだろうか。
犬好きの人にとっては聞き覚えがあるであろう豆柴犬。その豆...
豆柴を基に改良・作出された新たな犬種で、世界最小の犬でも...
小豆柴も天然記念物扱いとなっている。飼う事は出来るものの...
#endregion
#region(''アズキといっしょ''COLOR(white){_})
畑で栽培されている印象が強い小豆だが、実は家庭で栽培する...
夏小豆の場合、北海道では5月中旬頃、九州から本州全域では4...
本州の秋小豆は6月中旬から7月中旬にかけて撒くのが一般的。...
菜園で栽培する場合は特に土質や場所の指定は無い。ただ粘土...
プランターや鉢で栽培する場合は、市販の土や畑の土を使う。...
そこへ肥料をすじ状に撒き、後から撒く種と肥料が接触しない...
10cm~20cmの間隔を開けつつ、3~4cmの穴に種を2、3粒入れる...
鉢の場合は、中心に2、3粒の種を撒く。プランターの場合は3cm...
「小豆は友の露を嫌う」ということわざがあるように、小豆は...
実が全く成らなくなってしまう。間隔には気を付けよう!
日当たりの良い場所で育てると、出芽後1.5ヶ月~2ヶ月程度で...
花びらが散った後から、サヤが次第に大きくなっていく。開花...
開花から30日~40日が経過すると収穫時。なるべく早く収穫し...
褐色になったサヤから、小豆の種子が取れる。普通小豆の他に...
#endregion
#region(''アズキに関することわざ''COLOR(white){_})
・小豆は馬鹿に煮らせろ
アズキくんは馬鹿、という訳ではなく馬鹿や怠け者に煮させろ...
実際、小豆を煮るには時間が掛かるため怠け者や馬鹿に適した...
実のところ馬鹿になった気分で煮ろ、というのがことわざの本...
・小豆と女のしょっぱいのには手が付かぬ
計算高く、ケチな女性は人から避けられる。小豆も甘くなけれ...
どちらも甘くなければ好かれない、という意味。
・狐に小豆飯
狐の好物は小豆飯で、それを目の前に置くとすぐに手を出す事...
%%稲荷が入ってないやん!%%
・縁の下の小豆の木
ひょろひょろと伸びて、実が成らない事から出世しない人の事...
世に出ない人を指す場合も。
・小豆は友の露を嫌う
小豆は間隔を開けて種を植えないと、茎や葉っぱだけか生長し...
・小豆の豆腐
小豆からは豆腐が作れない事から、ありえないものの例え。空...
%%技術の進歩で作れるようになったのは内緒。%%
・小豆飯を炊けば 初午(はつうま)とみる
単純で早合点する事。
京都の伏見稲荷では、神が降りた日に初午祭が行われる。この...
赤飯が炊かれているのを見て、何でもかんでも初午祭と考える...
#endregion
#region(''各地に伝わるアズキの民話''COLOR(white){_})
全国各地に、小豆を題材にした民話が言い伝えられている。バ...
人を喰う山姥を討伐するため、卯平太(うへいた)という力持ち...
焦燥した山姥は観音菩薩に化けて急場を凌ごうとするが、卯平...
他にも亀や黒猫に小豆を食べさせると黄金を生むという昔話が...
ある地方の花咲爺さんの話では、犬に小豆を食べさせて金銀財...
岩手県にはこんな昔話が伝わる。夜遊びをする夫に苛立った妻...
不審に思った夫が訳を聞くと、ようやく妻が怒っている事に気...
高知県土佐郡本川村に伝わる神楽の演目では、小豆を見せる事...
これは長崎県対馬豆酘村に伝わる昔話である。
村内に流れる川には、河童の一族が住んでいた。どの河童も大...
河童はこの赤飯を食べて生活していたが、勢力が大きくなりす...
怒った村民は反撃し、河童の一族と戦争になる。そんな中、河...
食べ物を与えられず、罵られ続ける大将。そんな大将を哀れん...
久々の食事を与えられた大将は改心すると約束し、お千代に縄...
ところが数日後、河童から報復の暴風雨が村を襲った。自責の...
その後、本当に改心したのか河童のいたずらは止まったが、風...
静岡県浜松市に、小豆餅(あずきもち)という一風変わった地名...
時は戦国時代。三方ヶ原の戦いで、武田軍に惨敗した徳川家康...
そこへ武田軍の追っ手が攻めてきたとの報告を受け、食い逃げ...
食い逃げされたおばあさんは、逃げる家康を追いかける。そし...
しかしこれは後世の創作と言われ、実際は三方ヶ原の戦死者に...
ちなみに小豆は家康の好物だった。天下人にまで愛されるとは...
1570年4月20日、織田信長率いる織田軍は、包囲網の一角・朝倉...
道中、浅井家の領地を通過しなければならなかったが、事前に...
つまり障害なく朝倉家を攻められた。朝倉の領地である越前に...
そんな中、浅井家に嫁いだお市から陣中見舞いが届く。それは...
その袋は前後を縄で縛られていたのだ。小豆一粒でさえ通れな...
口を縛られ、袋の中に閉じ込められた小豆に逃げ場は無い。浅...
正面の朝倉軍と挟み撃ちに遭う。虎口から退却しなければ。信...
その後、織田軍は金ヶ崎で浅井・朝倉軍の追撃を受け、金ヶ崎...
天下の織田軍が大敗するという珍しい展開となったが、この事...
後世まで伝わる逸話の一つだが、出典となる書物が朝倉家記だ...
古戦場となった金ヶ崎宮(かねがさきぐう)では、この逸話に則...
甲斐の虎こと武田信玄公は、陣中食として「ほうとう」を食べ...
信玄公ゆかりの地・山梨県ではレシピを使って再現しており、...
東京板橋区には小豆沢(あずさわ)という地名がある。由来とし...
・その昔、その村では飢饉に見舞われた。そこへ小豆の束が沢...
・平将門が貢物の小豆を船に載せて運搬していたところ、難破...
・十二天社の祭礼は毎年6月15日で、村民たちは赤飯を通行人に...
ちなみに小豆の名が付く地名は、谷筋が崩れやすい危険地帯と...
#endregion
//region内表整形用
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