キク科タンポポ属の多年草の総称。ユーラシア大陸全域に分布。もちろん日本にもいっぱいいますね。
春に黄色い、稀に白い小さな花を咲かせ、初夏に白い綿毛に変わる姿は、我々にも馴染み深いはず。
無数の黄色い花弁がついているように見えるが、実はその一枚一枚が小さな花。キク科の花に特徴的な咲き方である。
同じ時期に非常によく似た花を咲かせるものに、同じキク科のブタナ、ノゲシ、オニタビラコなどがある。
しかしタンポポとの見分けは簡単で「茎が枝分かれせず、茎の途中に葉がつかない」ものだけがタンポポである。
ヤナギタンポポという名前まで紛らわしい子までいるが、これも同様の見分け方により、タンポポとは別属だと分かる。
「ダンデライオン(dandelion)」という植物界でも随一のかっこいい英名を持つ。涙の理由を知ってるか?
英名の由来だが、もちろん一面に咲くタンポポの花がライオンによく似た姿だったからである。
というのは嘘で、フランス語で「ライオンの歯」を意味する"dent-de-lion"から来ている。
ギザギザした葉がライオンの歯に似ているから、だそうだが、ちょっと納得がいかないです。
その辺で見かけるタンポポは外来種のセイヨウタンポポであることが多いが、この子は日本在来種の可能性が高い。
なぜならば、セイヨウタンポポは受粉をしないからである。
セイヨウタンポポは無融合生殖といって、いわばクローンを作る能力を持っており、
受粉を介さずに、自力で種子を作り出すことができるのだ。
セイヨウタンポポが在来種を駆逐する勢いで増殖したのは、この能力のためでもある。
しかし、セイヨウタンポポの中にも有性生殖を行うものが紛れているということが最近になって判明し、
また在来種と頻繁に交雑(意味深)し、多数の交雑種を作っていたらしいというスキャンダルが発覚した。
改めて調べてみると、今までセイヨウタンポポだと思われていたものが、雑種タンポポであることが分かったりして、
種の特定と分類がまるで追いつかず、業界は非常に面倒くさい事態になっている。
以上の事実を綜合すると、タンポポちゃんが一体何者であるのか、真相は全て藪の中である。
実際タンポポは非常に逞しい生命力を持ち、どこにでもはびこる。
その強さの理由は、開花期以外に茎をほとんど伸ばさず、地面に葉を伏せて過ごすというタンポポの生態にある。
普通、植物は茎を伸ばし、周りの植物より高く成長することで、より多くの太陽光を受けようとする。
しかし、背が高いほど倒れやすくなるという欠点もある。特に人間や動物の往来が多い場所では、そういった植物はほとんど育たない。
こうした競争相手が育たない土地こそタンポポの根城となる。ただ地に伏せ耐え忍ぶことで、彼女らは過酷な環境を生き残るのだ。
タンポポは茎を伸ばさない代わりに、根の成長にエネルギーを回し、執念深く根を張り巡らせる。
個体にもよるが、太い主根の長さは大抵50cm以上になり、時には1mを超えることもあるという。
この根には養分を蓄える役割もあり、地上部が踏み潰されたりしても、すみやかに次の葉や茎を伸ばすことが出来るのだ。
小さいながらも「動かざること山の如し」を地で行く、雑草精神溢れる花なのだが・・・どうしてこうなった。
主に西洋ではタンポポは食材やハーブにも使われる。そもそもそれを輸入して育て始めたのが、外来種の氾濫の原因。
葉は少し苦味があるが、サラダや炒めものにして食べる。花が咲く前の葉が柔らかく食べやすい。
もちろんその辺に生えているものを食べても全く問題ないが、背が低いため汚れやすいので、よく水洗いすること。
タンポポの根を乾燥させて炒ったものをミルで細かく刻み、湯で煮出すと、コーヒーによく似た味がする。
この飲料はタンポポコーヒーやタンポポ茶と呼ばれ、コーヒーの安価な代用品として人気がある。
コーヒーと違いカフェインを含まないので、覚醒作用は無く、胃にも優しいのが特徴。
ただし、タンポポは「おねしょのハーブ」と呼ばれるほど強い利尿作用を持つ。ノンカフェインだからといって、就寝前に飲み過ぎないように。
尚、ブタクサやヨモギなどキク科植物の花粉症を持っている人は、タンポポにもアレルギーを起こす可能性がある。
死ぬことはないだろうが、摂取は避けたほうが良い。春菊とか食べられるなら恐らく大丈夫と思われるが、十分注意すること。
刺身の上に乗せるのはこの子ではなく食用菊なので、タンポポちゃんの女体盛りprprとかいうアホなことはやめなさい。
|