カリン のバックアップ(No.56)

花梨　花梨　実らぬ恋
季節が過ぎてもただ香るだけ
花梨　花梨　いつになれば
白い薔薇になれるのかしら

カリン(花梨、Pseudocydonia sinensis)はバラ科カリン属の落葉高木。中国東部原産。
ボケと近縁で、かつてはボケ属に含まれていた。リンゴやナシとも近縁である。
単に「木瓜」と書くとボケのことだが、漢方の世界では「もっか」と読んでカリンのことを指すため、文脈によっては混同されやすい。

花期は3-5月頃、白～ピンク色の五弁花を咲かせる。10-11月頃、洋梨に似た楕円形の果実が黄色く熟し、強い芳香を放つ。
香りは良いが、渋味と酸味が強く、包丁の刃が立たないほど固い。生食には適さず、砂糖漬けやリキュールなどに加工される。
花、果実ともに楽しめることから、ボケ同様庭木として人気が高い。
語呂合わせで「金は貸すが借りない」の縁起を担ぎ、庭の表にカリン、裏にカシノキを植えると商売繁盛のご利益があるとも言われている。

カリンの果実には鎮咳、利尿、鎮痛作用があり、中国では古くから薬用とされていた。
日本においては、カリンは「食わず梨」とも呼ばれ、長い間観賞用としてのみ栽培されていたが、
昭和50年代にカリン酒の咳止め効果がメディアで取り上げられたことをきっかけに、薬用としても注目を集めるようになった。
現在でものど飴などに配合されていることが多く、喉に良い果物として広く知られている。

マメ科シタン属にも「カリン」の和名を持つ木がある。シタン（ローズウッド）に似た美しい色と杢目を持つ銘木であり、カリン材と言えばマメ科のカリンのことである。