マリーゴールドとはキク科コウオウソウ属のうち、とくに園芸用に栽培されるものの総称。
種類は非常に多く、一般には黄色や橙色の大きなもっさりした花と、青臭いような癖のある独特のにおいで知られているが、
白や赤やクリーム色、八重咲きや一重咲き、柑橘系の香りがするもの、低木並の草丈に育つものなど、多種多様である。
"Marigold"の"Mari"とは聖母マリアのことで、学名の"Tagetes"もエルトリアの美の女神「ターゲス」に由来する、栄誉ある名前を持つ。
和名はマンジュギクやセンジュギク(万寿菊、千寿菊)など。これは花が長く咲き続けることに由来する。
ひとつの花は1~2週間で枯れてしまうが、つぼみが次々と開花するため、初夏から晩秋にかけての数ヶ月間花を楽しむことが出来る。
比較的丈夫で育てやすいということもあり、次々と咲く大きな花で秋の花壇を賑わせるにはぴったり。
厳密にはセンジュギクはアフリカン・マリーゴールド、マンジュギクはフレンチ・マリーゴールドにあてられた和名で、
両者は別種であり、名前の通りフレンチ・マリーゴールドのほうが花期が長いのだが、そんなことは誰も気にしない。
ちなみに両者をかけあわせた品種は「アフロフレンチ・マリーゴールド」と呼ばれる。
どっからアフロが来たんだと不思議に思うかもしれないが、アフロとは元々「アフリカ風の」と言う意味である。
アフリカだのフランスだのと言っているが、どちらも生粋のメキシコ人であり、他の原種もみんな中南米生まれ。アミーゴ!テキーラ!
16世紀初頭、コロンブスによる「新大陸の発見」以降ヨーロッパに持ち込まれ、イギリスやフランスなどで栽培されたが、
現地ではアステカ族の時代から深い縁のある花であり、現在でも「死者の日」のお祝いには欠かせない花である。
祭りの時期が近づくと市街地はそこら中マリーゴールドで埋め尽くされすごくくさい得も言われぬ芳香を漂わせる。
奇妙なことに、15世紀以前もヨーロッパにはマリーゴールドと呼ばれる花はあった。同じキク科のキンセンカである。
どういうわけかその名前を明け渡したが、今でもキンセンカは「ポットマリーゴールド」と呼ばれており、
ハーブで「マリーゴールド」と呼ばれているのがなぜかキンセンカだったりするので、全然似てないのによく間違えられる。
キンセンカは古代ローマ時代から薬用に利用されており、抗炎症作用が強く、胃炎や潰瘍に効果があるほか、皮膚炎や外傷の塗り薬に使われる。
最近では目の疲れに良いとして注目されている。一日中お花やってるような団長にオススメだが、ブタクサやヨモギなどキク科の花粉症を持つ人は注意。
マリーゴールドはくさい香りが強いためハーブにはあまり向かないが、最近では抗酸化作用が注目されているとか。
くさい独特の香りで好き嫌いが分かれるマリーゴールドだが、この香りはコナジラミなどの害虫を忌避する効果がある。害虫も嫌がるぐらいくさい
また根には寄生虫の一種であるネグサレセンチュウなどを殺す効果があり、コンパニオンプランツとして他の作物と一緒に植えることがある。
ネグサレセンチュウは土中から植物の根に入り込み、栄養を吸収しながら増殖し、根を壊死させる厄介な害虫である。
一部の性癖を持つ団長にはたまらないことだろうが、個人的にはあのウネウネしたのはちょっと・・・思い出しただけで・・・
いずれも効果は限定的なようなので、あまり過信せずお守り程度といったところだろう。最後は農薬である。科学の力は偉大だ。
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