Iris It is my
Ray of light to you
アヤメ科アヤメ属の植物の総称で、世界の温帯に約150種、日本では9種が知られ、うち7種が自生している。
日本では「いずれアヤメかカキツバタ」という言葉もあるように、アイリスの仲間は(一部の園芸種をのぞいて)非常に似ているものが多く、素人が見分けるのは難しい場合が多い。
もしかすると本作でも、そのうち彼女らが実装されて
『花騎士のアヤメです』
『花騎士のカキツバタです』
『花騎士のハナショウブです』
「・・・そっくりですけど、みんなアイリスの親戚なんですよ」
⇒見分けつかねーよ!
なんてことがあるかもしれない。(これでデザイン発注されたら、絵師さんは楽でしょうけど・・・)
・・・そしてアイリスの実装からわずか2週間後、恐れていた事態が現実のものとなった。ジャーマンアイリスの実装である。
幸いにもかつてないほどの個性派であるため、見分けがつかないという心配は無用のようである。うへへへへへへへへへへへwwwwwwwwwww
日本では単に「アイリス」と言うと、普通は切花によく使われるダッチアイリス[Iris × hollandica]のことを指す場合が多いが
アヤメの英名も単に"iris"で通じるので、この名前からの厳密な区別は難しいかもしれない。
ちなみに、特に日本のアヤメ[Iris sanguinea]を区別して言うときは"blood iris"、カキツバタ[Iris laevigata]のことは"rabbit-ear iris"と呼ぶ。
が、やっぱり向こうの人も見分けが難しいので、この辺の花を全部ひっくるめて iris と呼ぶことが多いようである。
とは言っても、日本のアヤメはほとんどが紫色で白い花はめったに咲かないが、作中のイラストでは白い花色となっているので
おそらくこちらのイメージも、元はダッチアイリスだと思われる。(ダッチアイリスは紫を中心に白、黄色、オレンジなど様々な花色があるので)
ダッチアイリスはスパニッシュアイリスに様々な種を掛けあわせて作られた園芸種で、
特に紫色の花の場合は前述のとおりアヤメやカキツバタ、ハナショウブともそっくりなので
和風の庭に植えてもよく合い、耐寒性もあって丈夫なので日本でも比較的育てやすい花である。
アイリスは人間との関わりも非常に古く、紀元前2500年頃には既に栽培されていたと言われている。
資料として残っているものでは、紀元前15世紀にエジプト王トトメス3世がシリアから持ち帰った、という話がある。
また古代ギリシアでも非常に馴染みの深い花で、ギリシア神話では虹の女神イーリスの聖花として関連付けられている。(名前の由来もこれ)
女神イーリスは旋風の精ハルピュイアの姉妹で、主神ゼウスの妻ヘラに侍女として仕え可愛がられていたが、ある日ゼウスに見初められて求愛されるようになる。
何度断っても言い寄って来るゼウスに困った彼女は、ヘラにどこか遠くに行きたいと頼み込んだ。
ヘラはその願いを聞き入れ、使者の役を命じて七色の首飾りを持たせると、神の酒ネクタールを3回彼女の頭にふりかけて大空を渡る虹の女神に変えた。
この時地上にこぼれ落ちたネクタールから、虹の花アイリスが生まれたとされる。
そして虹は、イーリスが地上と大空を行き来するための架け橋だと言われる。
アイリス(アヤメ)の花言葉が「伝令」や「良き知らせ」などとされるのは、上記の通り、イーリスがヘラの使者として仕えることになった話が由来である。
ちなみにこの後、ゼウスは美の女神アフロディーテと浮気した時にできちゃった子供エロスについて、自分の浮気を隠すために
「エロスは虹の女神イーリスと西風ゼピュロスとの子供だ」などと、とんでもないデマを流したりする。
当然そんなことはお見通しのヘラは激怒するが、黙って微笑むイーリスの姿を見て、最後はゼウスを許したという。
そしてイーリスは皆を傷つけないために、噂の通りに西風ゼピュロスと結婚したのである。
ちなみにだが、アイリスが虹の花とされたのにも理由があって、日本のアヤメは前述の通りほとんどが紫色だが、地中海付近で咲くアイリスは
様々な花色をもつ「7色の花」なのである。(前述のダッチアイリスもこの系統を先祖にもつので、同じように紫以外にも様々な花色がある)
また乾燥地を好むタイプのアイリスは当然ながら保水力も強く、アイリスが咲き誇ると空気中に水蒸気が増えて雨を呼びやすくなり、結果的に虹も出来やすくなるのである。
またアイリスは、フランスの旧王家の紋章フルール・ド・リスでアイリスが意匠として使われていたことから今でもアイリスを国花としており、現代でも軍徽章など使われることがある。
そんな綺麗な花で、また美しく様々な伝説にも事欠かないアイリス(アヤメ)だが、実はこれも有毒植物である。
全草にイリジェニン、イリジン、テクトリジンの有毒成分を持つが、特に球根部分に多く含まれており、根を一口かじっただけで、喉の焼けつくような痛みと吐き気に見舞われるそうである。
あまり人間が間違って食べたりするような植物ではないが、ペットの犬や猫が散歩中にうっかりかじってしまい体調不良を起こす例がよくあるそうなので、
この点を団長諸兄には十分に注意されたい。
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