オナモミ のバックアップ(No.50)

オナモミはキク科オナモミ属の一年生草本。
和名:奈毛美（なもみ）
学名：Xanthium strumarium
英名：Common cocklebur

日本には稲作文化の伝来と同時期にアジア大陸から渡来したとされる。
果実はかぎ状のとげが生えており、衣服にくっつくことから
・ひっつきむし、くっつきむし、ひっつきぼ（坊）など
・アキホコリ（秋になると果実が衣服のあちこちに埃のように引っ付くため）
・バカ（由来不詳。東北・北陸に多いがその他の地域でも散見される）
・どろぼう、ぬすっと（知らない間に衣服にくっついている様子から）
とも呼ばれる。
面ファスナー（マジックテープ）はこれをヒントに発明された。
※オナモミではなく野生ゴボウの実であったとも言われる。
彼女の武器であるモーニングスターはこの果実からの連想であると考えられる。
ぐちゃっと潰してあげるわ！
なお、これらの呼称はオナモミ以外にも、センダングサやヌスビトハギなど、人や動物にくっつく植物全般を指す。
故にライオンゴロシもひっつきむしと呼べる……かなぁ？

在来種のオナモミは、環境省により絶滅危惧II類（絶滅の危険が増大している種）に指定されており、実際に近畿や四国など地域では既に絶滅している。

その原因のひとつとされているのが「要注意外来生物リスト」「日本の侵略的外来種ワースト100」に名を連ねる外来種のオオオナモミ。
とある大学のオオオナモミとイガオナモミの関係についての研究では、両者が近くにあると互いに種が出来にくくなることがわかっている。
作中の「リリィウッドにおいて少数派の思想を持ち、それ故に家族から”いない者”扱いされている」というキャラ付けは「兄・姉 ＝ 外来種」というイメージによるものだとか。
ちなみに、国産種も外来種も見た目はよく似ており、図鑑でさえオナモミと外来種のイガオナモミを間違って掲載しているものがあるほど。
団長らが昔「ひっつきむし」と呼んでいたのはもしかしたら彼女ではなく兄・姉か、はたまたセンダングサなど全く別の子だったのかもしれない…。

小説では「ソウジシ(蒼耳子)」という偽名を名乗っているが、これはオナモミの果実を乾燥させた漢方薬としての呼び方。
「黄帝内経」「傷寒雑病論」とともに中国医学における三大古典の1つに数えられる「神農本草経」という本にも「葈耳実（ししじつ）」という名前で記載されており、
1～2世紀頃には薬用として服用されていた。
日本でも900年前に書かれたとされる「本草和名」に名前が載っている。
煎じたものを飲むと鎮痛、鎮痙、解熱、発汗作用などの効能がある。
ただし、蒼耳子にはわずかながら毒性があり、摂取しすぎると頭痛、めまいを伴うことがあるため、服用量には注意が必要。

「オナモミ」は、漢字で「雄生揉」と書く。
オナモミ以外にも「ナモミ」と名のつく「メナモミ（雌ナモミ）」という植物があるが、これは見た目も属も異なる別の植物。
「ナモミ」という名前の由来には諸説あり、
・切り口や虫刺されには葉を揉んで貼ると良いとされることから「生揉み」とついた
・果実が動物の毛に引っ付いて運ばれる事から「引っかかる」という意味の「ナズム」が変化した
といわれる。
決して団長が考えているような卑猥な意味は一切なく健全です。ごあんしんください。
ちなみに、メナモミもまたひっつきむしの一種。しかし鈎や針ではなく、”粘液を分泌してへばり付く”というやたらエロい性質を持つ。