ガンライコウ のバックアップ(No.31)

実は彼女こそがカラクリ職人「ケンザン」の末裔である。
まあ、初入手時ボイスや図鑑の自己紹介文の時点で察することはできるが。
ケンザンの実態はベルガモットバレーの発明家一族の中で密かに受け継がれてきた称号であり、
これまで1人の発明家の作としてはあまりに大量、かつ広すぎる年代に渡ってケンザンの発明品が発見されてきたことは
「ケンザンは一人ではなかった」ことで説明された。

しかも、単なる襲名制のカラクリ師の称号ではない。
「自分の発明欲や構想の全てを実現するには、人間の寿命はあまりに短い」ことを嘆いた初代ケンザンは、
その記憶・知識・技術などの全てを次代に丸ごと継承する技術を編み出したのである。
（詳しい方法は語られていないが、この継承法こそが初代ケンザン最大の発明だったという。）
このため、歴代のケンザンは先代までの技術の全てを受け継いだ上で、さらに高度化を続けてきた。

ただ、流石にその継承は機械や魔法で瞬時に先代の記憶をコピーするといったものではなく、
一定の時間をかけた継承教育を経て実現されるものらしい。
ガンライコウは、両親の早逝のためにこの継承教育を十分に受けることができなかった。
遺された技術書や継承の手引きの読解に独力で取り組んだものの、現在の彼女の手には負えず、
このために「自分はケンザンを継げなかった失敗作、ケンザンの伝統はもう潰えた」と自分を卑下し、
周囲に自分の出自を語らず、（一般的な基準からすれば十分に）並外れた技術もあまり見せないようにしていたのである。

果たして彼女は、発明家としての情熱を取り戻せるのか…？

ガンライコウ（雁来紅）は、ヒユ科ヒユ属の一年草ハゲイトウ（葉鶏頭、Amaranthus tricolor）の別名。

学名：Amaranthus tricolor
別名：カマツカ（鎌柄）

トリコロール（tricolor）の学名の通り緑の葉が黄色に、そして赤に美しく色づく。
Amaranthusはギリシャ語で「amaramthos（色褪せない、萎まない）」が語源。
葉物なので色褪せずに長く観賞できる。
鶏頭とは全くの別物であるが、葉の色が似ているところから葉鶏頭とも呼ばれる。ハハハ、ハゲちゃうわ！
「雁来紅」の名は、雁（ガン・かり）の群れが渡ってくる秋の季節に紅葉することからであり、
その美しい葉を楽しむ観葉植物としての歴史は日本でも古く、「鎌柄」という名前で清少納言も『枕草子』で雁来紅について記している。

かまつかの花 らうたげなり 名ぞうたてあなる 雁の来る花とぞ 文字には書きたる
（かまつかの花はかわいらしい。鎌柄という名前はよくないが、漢字に書くと雁の来る花と書くのはよいものだ。）

ただし、「鎌柄 ＝ ツユクサでは？」という説があったり、バラ科のウシコロシの別名だったりもする。
この「鎌柄 」という名前は、堅く折れにくいことから鎌などの道具の柄として使われたことに由来する。
…どこかで聞いたような話である。

ハゲイトウは観賞に特化した種なので食べられないが、同じヒユ属の仲間の種子はアマランサスと呼ばれ、
南アメリカ大陸ではトウモロコシなどと並ぶ重要な穀物として食されてきた。
日本でも健康食品として売られている。

尚、葉が派手でそちらにばかり目がいきがちだが、対照的に
花は葉の付け根部分に咲くため外部から見え辛く目立たない

ガンライコウがスキルで使用するからくり人形「ダイゾー参号機」と、お伴のからくり鳥「ザンセツ伍号機」の元ネタは
椋鳩十の児童文学『大造じいさんとガン』である。
雁の群れを狙う猟師の大造じいさんと、群れを指揮する利口で勇敢な雁のリーダー「残雪」の知恵比べを描いており、
小学5年生の国語教科書に掲載されて広く知られているため、多くの団長にとって言わずと知れた作品だろう。