オニユリ のバックアップ(No.9)

私は鬼百合 心で泣いても 誰にも誰にも誰にも… 分からない

オニユリ(Lilium lancifolium)とはユリ目ユリ科ユリ属の多年草。英名はタイガーリリー(Tiger Lily)。
このゲームでもお馴染みのユリの一種で、アジア圏に広く生息する。
生育地は平地から山にかけて幅広く、町中の一角にも自生している事すらある程。
え？どう見てもタイガーじゃなくてチーターだろって？まぁ鬼といえば虎ってことでいいんじゃないですかね？
ちなみに、トラユリというのはオニユリの別名でもあるが、どちらかというとチグリジアという花を指す語として定着している。この子アヤメ科なんだけどね。

1～2m程の大型のユリで、オレンジ色の大きく派手な花を咲かせる。
どぎつさすら感じさせる鮮烈な色合いとまだら模様は、「鬼」の名前にも納得させられる。
いわゆるカノコユリ系で、下向きに垂れ下がるように咲き、花弁はくるんと丸まるように強く反り返る。この独特な姿からテンガイバナ（天蓋花）とも呼ばれる。
種を付けず、むかごで増えるのが特徴。葉の付け根部分に黒いむかごが生じ、地面に落ちた後に芽を出して新たな株となる。
オニユリには染色体数の異なる２倍体と３倍体の個体が存在し、３倍体はむかごで、２倍体は種子で増える。
日本に自生するオニユリは３倍体だが、対馬や朝鮮半島では２倍体と３倍体が混在しており、この付近がオニユリの故郷と考えられている。

大きく目立つ花も良いが、オニユリにはもう一つの楽しみ方もある。
実はヤマユリと同じく、鱗茎が「ユリ根」として重宝される種なのだ。
もともとオニユリは、食用として中国から輸入されたものとも言われている。
煮物におひたし、天ぷらや茶碗蒸しの具等楽しみ方は様々。
サッと火を通せばサクサク、じっくりと火を通せばホクホクとした食感を楽しめる。
ただし、球根を採るということは株を殺し数を減らす事になるので、生態系維持のためにも摂り過ぎは危険。
しかも鱗茎がユリ根として食べられるようになるには定着してから5～6年程の期間がかかる。
そしてユリ科の植物は有毒植物であることが多いので、生兵法での採取は命取りとなる。
大人しく市販されている物や、料理店で調理された物をいただこう。
……最も、栽培されているものも上記の様に長い期間がかかる上に育成に手間がかかるため基本的には高級食材。正直な話、お財布には優しくない。

よく似ている仲間にコオニユリ(L. leichtlinii var. maximowiczii)とクルマユリ(L. medeoloides)が挙げられる。
コオニユリは名前の通りオニユリよりやや小型で、むかごを付けないことで見分けられる。
オニユリと同様鱗茎が食用となり、食用品種として最も流通している「白銀」はコオニユリを交配親とする品種である。
クルマユリは葉が輪生することで見分けられる。また高山植物であるため、エンカウント率は極めて低いであろう。
オニユリの変種にオウゴンオニユリ(L. lancifolium var. flaviflorum）と呼ばれる美しい黄花変種がある。
対馬のごく一部の地域、上県町女連（かみあがたまち・うなつら）と上対馬町泉のみに自生する稀少な変異種であったが、
現在野生個体はほぼ絶滅状態にあり、地元の有志による積極的な保全活動が行われている。
むかごから増やした個体が本州でも見られるが、交配により似せたものがオウゴンオニユリとして流通することも多いので、注意が必要。