カゲツ のバックアップ(No.36)

カゲツ(花月、Crassula ovata)はベンケイソウ科クラッスラ属の多肉植物。
和名はフチベニベンケイだが、一般的にはカネノナルキという呼び名の方が知名度が高いと思われる。
花騎士としての名であるカゲツは園芸での呼び名。

カネノナルキという通称は元々葉が硬貨に似ていることからdollar plantと呼ばれていて、
日本で販売される際に新芽に5円玉を通して育てることで硬貨が実ったように飾り、
それに金のなる木などの名前をつけて販売したことに由来する。

特徴的な葉や通称から観葉植物としての印象が強いが、よく育った株は冬にたくさんの小ぶりの花を咲かせる。
非常に繁殖力が強く、肉厚の葉からでも根付いて枝を広げていくため栽培は容易だが、
どちらかというと乾燥を好み、あまり水をあげないほうが多くの花を咲かせるようである。
花の小ささから匂いや蜜とは無縁のようで、虫はあまり寄りつかないが、
色合いからウメやサクラの花と勘違いされるのか、スズメやメジロなどの小鳥がよく寄ってくるので、
手間がかからず庭先を賑やかにしてくれる園芸植物として重宝する。

メイドキャラや従者キャラはこれまでに幾人か登場してきたが、バトラーキャラはカゲツが初だったりする。
そも、バトラーとは英国貴族に仕える上級使用人。日本では執事と訳されるが、細かいことをいうとこの訳は微妙に違っていたりするが、ここでは言及しないことにする。
使用人職の中では最上級の職種の一つであり、従僕(フットマン)を勤め上げた者がバトラーに昇格することができる。いわゆる叩き上げといった感じ。
基本的には男性が就く職で、女性の場合は団長諸君もよく知るメイドとなる。
バトラーの地位は上から２番目にあたり、その上に立つのはスチュワード(家令)と呼ばれ、より教養が求められる立場になる。
仕事内容は大きく分けて次の通りになる。

• 屋敷、土地、領地の管理
  財産管理は本来はスチュワードが行っていたが、いない場合は執事が兼任することもあった。

• 使用人の管理
  男性使用人の統括は執事の職務になる。女性使用人の場合はハウスキーパーという、いわゆるメイド長の職務になり管轄が別になる。

• 主人の服の準備
  今で言うスタイリストやヘアメイクアーティストの仕事を想像してもらって概ね間違いはない。
  バトラー１人で事足りることもあれば、別の従者をつれて当たっていたともされる。

• お茶、料理の給仕
  召使によってワゴンは配膳口まで運ばれ、そこで執事に料理が手渡された。
  しかし全ての料理がバトラーの手によって運ばれるわけではなく、最初の料理を供した後は主人の左後ろに控え、他の使用人の運んできた料理の覆いを外したり、ワインを注いだりする以外は下級使用人が行っていた。

• 食器の管理
  ヨーロッパ文化圏で食器は古くは東洋から渡来した磁器、または銀器が使われ、非常に高価で来客に所有者の財力を誇示する富と権力の象徴であった。
  銀器はすぐ黒ずみ、取り扱いに特別な注意を要し、常に磨き上げられていなければならなかったし、洗い残しや破損などはあってはならなかった。
  このような高価な食器類は、不届きな使用人によって「紛失」されることのないよう、厳重に管理する必要があった。
  そのため、執事の部屋は食器室と直接通じていた。この食器室に主人側が食事の時に使う食器が有り、その貴重な食器と銀製品も執事が管理していた。

• 酒類の管理
  ビールの醸造やワインの瓶詰めなどに関する技術と知識が必要とされ、食器室のみならずワイン貯蔵庫もバトラーの管理下にあった。
  ワインの品質に関する知識もバトラーに不可欠で、ヴィクトリア朝の特徴の1つである大量の食品添加物や不純物はワインにも混入されていた。
  バトラーはそれらを除去する清澄方法に熟知している必要があった。
  同時に消費された量と補充した量を記録したが、しばしば酒蔵管理者としての立場を就業時間内外の個人的飲酒に悪用することがあったらしい。

この他にも灯りの準備、戸締まり、火の始末など全体的な管理業務も職務に含まれる。

しかしその後、アメリカ独立戦争時、戦費を賄うという目的により男性使用人の雇用に対して課税が行われることとなった。
それに伴って非課税であった女性使用人（＝メイド）の需要が高まりました。
最終的に20世紀初頭の第一次世界大戦の頃まで、メイドの全盛期は続くことになった。

だがバトラーは完全にメイドに取って代わられたのかと言われると、答えはＮｏである。
現在のバトラーは使用人の管理者というよりも、秘書・運転手・側近の三者を兼ねた存在である。
使用人そのものの減少により、現在ではフットマンから叩き上げてバトラーになる事はもはや殆ど無いが、特定の機関でバトラーとなる為の専門教育を受ける事ができる。ロンドンの養成学校は週末だけの入門コースから5週間続くコースまであるという。
英国式の作法を身に着けた執事に対する需要が中国、ロシア、中東などの新興国を中心に高まっており、執事の中には年間15万ポンド(日本円に換算すると約２千万円)稼ぐ人もいる。

よく執事キャラクターの名前にセバスチャンとつけられることがある。
実際にヨーロッパ圏では男性の名前としては多く見られる。男性職のバトラーでセバスチャンという名前は、日本で例えると「大工のゲンさん」といったニュアンスが限りなく近い。
では「執事＝セバスチャン」という通説は如何にして生まれたのか。実はかなりあやふやで、確証に至る答えは未だ至っていない。
マンガ・アニメーションの世界では「アルプスの少女ハイジ」に登場した男性使用人（実質的に執事）が「セバスチャン」の名称であり、そこに由来して日本のクリエイターたちが「セバスチャンという名前の執事を描く」現象になったと言われている。
つまり「執事＝セバスチャン」というのは日本独自のネタであり、実際に執事を職業としている人にセバスチャンという名前が多いわけではない。
近年のサブカルチャーでは「黒執事」がメジャーで、作品発表時の2006年時点で原作者は「分かりやすい執事＝セバスチャン」と思われる源流を自身のコラムで補完している。

余談ではあるが、バトラーは叩き上げでなる職もあってか基本的に高齢になって就くのが当時では当たり前で、ダンディー溢れる姿から老人姿で描かれることが圧倒的に多かった。
しかし2006年以降は高齢の執事キャラはパッタリと姿を消し、青年の姿が非常に多く溢れかえった。
火付け役は先にも挙げた「黒執事」もそうだが「メイちゃんの執事」も2006年に始まり、翌年には執事喫茶が流行した。
2006年はこれまでの高齢執事像からの脱却に成功した、青年執事元年とも言えなくはないだろう。