タチバナ のバックアップ(No.119)

いつごろからかは不明だが、全身イラストのコートの色が変わり、緑のグラデーションがかかった色合いから真っ白になった。

実装当初のイラスト	現在のイラスト

橘は　実さえ花さえその葉さえ　枝に霜降れど　いや常葉の樹　万葉集

日本固有種のミカン科の常緑樹で、静岡県から九州地域の太平洋沿岸地域にまれに自生する。
古来から日本に自生していた唯一の柑橘類（橘＝ニッポンタチバナ）だが、実は黄色で酸味が強く、食用には向かない。
万葉の当時も常緑という性質から「永遠」の象徴とされて、花や青々とした枝葉の鑑賞に関心が向けられていたようである。
（日本人が柑橘を食用にし始めたのは、中国からミカンが伝わって日本でも栽培されるようになった江戸時代以降のこと）
古事記や日本書紀には、死期の近づいた垂仁天皇が常世国に使者を遣わして「非時香菓（ときじくのかぐのこのみ）」を求めさせたとあるが、
これは「いつでも香りを放つ木の実」という意味で、現在の橘を指していると注釈されている。
常緑が永遠を象徴する橘の実は、古代には不老不死の妙薬と考えられていたようである。

「源平藤橘」と言われる日本の代表的な本姓（氏・うじ）四姓の１つにもその名が取られているが、
その橘氏は、奈良時代に県犬養三千代という女官が『先帝から仕えていた功績』を称えられて、
元明天皇が当時お気に入りだった橘の花（平安京・紫宸殿の「右近橘」）にちなんだ「橘宿禰（たちばなのすくね）」の氏姓を下賜したのが始まりである。
（ちなみに元明天皇も女性天皇で、二人は別にアヤシイ関係ではない。たぶん）

なお、四大姓とは言うものの橘氏は平安時代には既に没落していて、公卿の地位も失ってしまったため、
その後の歴史上でも、三筆の一人・橘逸勢（はやなり）を除いてあまり有名な人物は輩出しておらず、氏族としてはマイナーな存在となってしまっている。

橘の花は家紋としても人気が高く、橘氏流の各家が橘紋を使用していたほか、他氏でも橘紋を使っている家は多い。
橘紋の代表的な武家に彦根藩の井伊氏があるが、井伊氏も本姓は藤原氏と言われており橘氏の一族ではない。
また文化勲章の意匠も橘花だが、これは昭和天皇の意向で、元々は桜が意匠案の候補だったものを
『桜は昔から武を表す意味によく使われているから、文の方面の勲績を称えるには橘を用いてはどうか』
ということで変更されたそうである。（宮内庁記者会OBの井原頼明氏の著書より）

古事記にも記述があり、また万葉集にも数多くの歌が詠まれているほど日本人に馴染み深かった橘だが、
現在では非常に数を減らしており、レッドリストでも絶滅危惧IA類に指定されている。

ちなみに、橘花とは日本海軍が開発していた、日本初の純国産ジェット飛行機の名前でもあるが
こちらは試作機が完成した段階で終戦を迎えてしまい、実戦に投入されることなく終わってしまった。
※特攻機を示す「花」の名は冠しているが、こちらは桜花とは違って体当たり攻撃機ではなく、
　開発費の捻出を渋る軍部を説得する方便として、名目だけは特攻機として開発の許可を貰ったためとのこと。
なお、ゲーム内での図鑑では「クサトベラ科」となっているが、クサトベラ科は熱帯植物であり、
日本では南西諸島や小笠原で見られるのみである。。
タチバナは紛れも無く柑橘類、つまりミカン科の植物であってクサトベラ科ではありえないので
明らかに運営側の誤植と思われる。
誤った知識をユーザーに広めてしまわないためにも、ぜひ早急な修正を運営側に望みたい。
（※2015/5/1修正にて、無事『ミカン科』に修正。）
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ﾀﾞﾃﾞｨﾔﾅｻﾞｰﾝ!ﾅｽﾞｪﾐﾃﾞﾙﾝﾃﾞｨｽ!
ﾀﾞﾃﾞｨﾔﾅｻﾞｰﾝ!ｵﾝﾄﾞｩﾙﾙﾗｷﾞｯﾀﾝﾃﾞｨｽｶｰ!

　　　　　五月待つ 花橘の 香をかげば 昔の人の 袖の香ぞする
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　――『古今和歌集』より引用

『古今和歌集』の巻三【夏歌】に収められている歌で、作者は「よみ人しらず」。
意味は「五月が見頃の花橘の香りを嗅ぐと、昔の恋人の袖の香りを思い出したよ」となる。
『伊勢物語』の第六十段にも載っており、そこでは「別れた妻と再会した時に詠んだ」というシチュエーションで登場。
そのシチュエーションの要所をまとめると、次のとおり。

　 昔々、ある男が居た。
　 その男には妻が居たが、仕事が忙しく、妻に構わずにいたため、
　 妻は夫以上に自分を愛してくれる他の男と共に、家を出て行ってしまった。
　 時は経ち、妻が離れていった男は出世し、宇佐神宮へ勅使として赴くこととなるが、
　 その道中の国の接待役人の妻が、離縁した自分の元妻だということを知った。
　 男は接待役人の妻に御酌をするように頼み、役人も勅使の願いを無碍にできず、
　 仕方なくその男の御酌を接待役人の妻にさせることになった。
　 男は御酌に来た元妻の袖が顔先に来る頃、膳に出された橘の実を取ってこう詠った。
　 「五月待つ 花橘の 香をかげば 昔の人の 袖の香ぞする」、と。
　 接待役人の妻が驚いて顔を上げると、そこには確かに自分が捨てた男の顔があったのだった。

　 ( 0M0) ｺﾚｸｯﾃﾓｲｲk……ｳﾜｱｱｱｱｱｱｱｱｱｱ

この時の歌の解釈としては個々に分かれていて、男から離れていった元妻が元気に暮らしている姿に素直に安心し、
本当に唯の昔話をするような気軽さで詠い上げたと解釈する者もあれば、この後に元妻が出家してしまうことに着眼して、
「俺とあのまま添い遂げていたらそんな立場にはいなかったんだぞ？」と皮肉混じりに詠い上げたのではないか、とする者もいる。
（接待役人と宇佐神宮へ赴く勅使では、勅使の方が圧倒的に身分は上であり、名誉な事でもある）
ただ、上の解釈は『伊勢物語』で出てきた際の解釈であり、『古今和歌集』での解釈では昔の事へ思いを馳せながらも、
橘花の香りの印象も相まって、湿っぽくなく爽やかな空気を感じさせている。

また、この歌により【花橘】と言えば昔の人の追憶を誘うものとして扱われ、後の世まで愛されていくことになる。
まさに花言葉の「追憶」はタチバナの為にあるといっても過言ではないはず。

進化前

進化後