ほろほろと 手をこぼれたる いちごかな
みんなもよく知っている果物のイチゴ。バラ科ということまで知っている人は少ないのではないだろうか。
一般にイチゴとして栽培、消費されているのはバラ科オランダイチゴ属という分類に属する、オランダイチゴの栽培品種である。
つまりイチゴちゃんはオランダ人である。バンホーテン!
(Van Houten : こんにちわ、という意味。一番有名なオランダ語なのだからそうに決まっている)
キイチゴやヘビイチゴというものもあるが、これらは同じバラ科でもイチゴとは別属として扱われる。
また意外な事実として、イチゴの赤い実は果実ではなく、花托と呼ばれる箇所であり、どちらかというと茎の一部である。
通常果実とは、花が咲いた後、胚珠(=後に種子となる部分)を包む子房が養分を蓄えて肥大化したものであり、
イチゴの甘い食用箇所は、花を支える基礎部分にあたる、茎の太くなったところが肥大したものである。
じゃあイチゴの果実はどこなんだというと、我々が種と思っている表面の小さなツブツブであり、これを痩果と呼ぶ。
このように子房以外の箇所が肥大化して果実のようになるものを偽果といい、イチゴのようなパターンを特にイチゴ状果ともいう。
尚、花托って何だろう、と疑問に思っても調べてはいけない。
なぜならば典型的な花托をもつ植物として大量のハスの実が現れるからである。耐性のない人は最悪死ぬ、注意。
要するに、イチゴとハスの実は似ている。黒いハスの実=イチゴのツブツブ=果実であり、
ハスの実が収まっている緑色の部分=イチゴの赤い部分=花托である。頼むからこれで理解しろ、調べるな。
ちなみに、果物というのは木になる実(木本性)を指すので、イチゴは草本性であるから、果物ではなく野菜として扱われることもある。
農林水産省ではこれを「果実的野菜」という雑な区分に分類している。
野菜として生産され、果物として消費される、という意味であり、スイカやメロン(どちらもウリ科)も含まれる。
逆にイチゴを果実と呼ぶならナス(ナス科)やキュウリ(ウリ科)どころか、オクラ(アオイ科)やトウガラシ(ナス科)までもが果物になってしまう。
まぁ野菜か果物かというのは、食べる人間の都合で勝手に分けているだけであり、どちらにせよ、植物が子孫を残すために得た形態にほかならないのである。
イチゴの品種は日本に150種ほどあり、今なお増え続けている。有名どころは「あまおう」や「とちおとめ」などだろうか。
特色ある味をしているものもあるので、是非いろいろ食してほしい。(性的な意味ではない)
色々な食べ方を楽しめるイチゴだが、摘みたて新鮮にドロドロの濃い練乳をたっぷりぶっかけて食べるのがオススメ。他意はない。
また、イチゴは比較的育てやすいので、初心者用家庭菜園としても向いている。
そして、イチゴで最も有名な話は国際問題のひとつになっていることではないだろうか。
某国が日本から特定品種のイチゴの種苗を無断で持って行き、栽培し、交配させ
「国内品種のイチゴが誕生した。もう日本のイチゴには負けない」と発表したのは有名。
ちなみに某国のいう国内品種イチゴは、某国産のイチゴ成分は微塵も入ってない。
一方日本国内でも栃木県が持つとちおとめの育成者権が2011年に切れて話題になったりしている。
(それまでは栃木県から苗を買わない限り育てたら違法であり、当然県は県内の農家にしか売らなかった)
イチゴといえば食べるのが主だが、春には可愛らしい白い花を咲かせる。
花言葉は「幸福な家庭」と「尊重と愛情」の他に「無邪気」「甘い香り」「誘惑」「あなたを喜ばせる」などがある。
無邪気に甘い香りを出しながら誘惑し、あなたを喜ばせて愛情を持たせ、幸福な家庭を作る、といったところか。
かわいらしい外見をしているが、内心は計り知れないものである。
つまり、ぶりっ子ということである。
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