キンポウゲ科デルフィニウム(オオヒエンソウ)属の総称。更にこれに近縁なヒエンソウ属(Consolida)を含めてデルフィニウムと呼ぶこともある。
デルフィニウムという名前の由来は、イルカを意味する古ギリシャ語の"delphis(δελφίς)"、もしくはラテン語の"delphinus"から。
デルフィニウムだからドルフィンとか安直すぎだろ・・・と思いきや、元ネタが安直だった。
つぼみの形がイルカに似ているということからこのように命名されたが、どう見ても駆逐いky・・・
和名のヒエンソウは「飛燕草」と書き、こちらはツバメを模った髪飾りに反映されているようだ。
北半球の温帯全域に300以上の野生種が広く分布し、特に冷涼な高地の湿原を好んで自生する。
花期は初夏で、多数の鮮やかな青い花が穂をつくるが、青い花弁のように見えるのは実は花弁ではなく、がくである。
その中心部にある白っぽいものが本来の花弁だが、品種によっては退化してほとんど目立たないものや、消失しているものも多い。
がくのうち1枚は後ろに細長く伸びて袋状になり、スミレのような「距」と呼ばれる構造をつくる。
花の色は青色のほか、白、紫、ピンクなどがあり、珍しいものでは赤や黄色のものも見られる。
また基本の青色については、その色合いにもかなり幅があるので、是非ともお気に入りの青色を見つけたい。
欧米の結婚式の慣習では"something four"といって、なにか古いもの・新しいもの・借りたもの・青いものの4つを
花嫁が身に着けていると幸せになれる、といわれているが、この青いものとしてデルフィニウムは人気が高く、ブーケなどに使われることが多い。
寒さには強いが暑さに弱い。本来は多年草であるが、日本のような暖地では夏越しが難しく、一年草として扱われることが多い。
種も暑さに弱く、こぼれ種ではまず発芽しない。種で更新を図るなら、採取した種を冷蔵庫で保存し、涼しくなってから撒くなどのテクニックが必要。
デルフィニウムの種は暑い(20℃以上)と発芽しないが、かといって播種が遅くなりすぎると大きく育てられないので、時期の見極めも難しい。
毒草のデパート、キンポウゲ科の例に漏れず、デルフィニウムも有毒である。
全草にデルフィニンと呼ばれる、トリカブトのアコニチンに類似したアルカロイドを持つ。
中毒すると嘔吐や下痢などの消化器障害を起こすが、心毒性および神経毒性を持つため、最悪の場合は心停止や呼吸停止から死に至る可能性もある。
幸いにも、人が死亡したという事故は特に報告されていないようだが、自生地では放牧場の家畜による誤食が多く、稀に死亡事故に繋がることもあるそうだ。
その割には、なぜかヨトウ虫などの害虫には平気でムシャムシャと食われるというドジな一面も持っている。
また、草の汁に触れるとかぶれるので、手入れの際は注意しよう。
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