アカネ のバックアップ(No.9)

夕べの月の 一昨日の残りの春の匂いで目が覚める

学名：Rubia argyi

アカネ科アカネ目の蔓性多年生植物。東アジア、特に日本では本州以南に広く分布し、割合どこでも見かけられる山野草の一つ。
四角い茎を他の草木に絡ませ、3mほどに伸びる。節ごとに細いハート形の葉を四枚、輪状にはやす…ように見えるが、実は対になった二枚の葉と二枚の托葉(葉柄の根元に生える鞘状部が葉状に変化したもの)からなる。
夏から秋にかけて、薄黄緑の目立たない小さな花をつける。秋の終わりごろに熟した実は真っ黒になるので、花よりもこちらの印象が強いかもしれない。
総じて、人目に付く地上部に赤いところはまったくない。
ではどこが赤いかというと人には見えない地下の根っこで、これが「赤根」という名の由来とされている。

この根を煮出した汁が古くから染色に用いられていた。「藍染（あいぞめ）」に対して「茜染（あかねぞめ）」という。
発色が鮮やかで褪せにくいのが特徴。
「茜色」は名の通りこの茜染に由来するが、実際の染め色としては朱色や緋色などの明るい赤黄色から赤褐色まで幅広い。
赤紫系統の蘇芳染めと並んで古典的な「赤」の代表である。
陽光下で染めると赤色が強く出るという性質もあるためか、巫女さんの緋袴とか国旗の日の丸など、神性や太陽にまつわる部分に使われていることも多い。

また、根を干したものを茜草根と言い、止血・解熱等に効く生薬とされる。
血のように赤い液が血止めとなる、そんな薬効が「傷」「中傷」などの花言葉の由来になったのかもしれない。

近年色素目的の商用作物としては収量に優れたセイヨウアカネ(R.tinctorum)の方が用いられることが多い。こちらは6枚葉で常緑。