アザミ のバックアップ(No.25)

秘めたる夢を　ひとすじに くれない燃ゆる　その姿


キク科アザミ属（ Cirsium ）の総称。
実際に「アザミ（薊）」という名の種は存在せず、
国内で一般的にアザミと呼ぶ場合はノアザミ（ C.japonicum ）を指す。
別名：コアザミ（小薊）

初夏から夏にかけて、日当たりのよい山野に紫（他色もある）の花をつける多年草。
舌状花がなく筒状花からのみなるふわふわした見た目の花と、大きく膨らんで松笠状になる総苞が特徴。
葉は葉脈に沿ってまばらに肉がつく感じで形状が安定せず、
葉の縁の鋸状部が鋭く棘のようになっているため、うかつに触ると刺さったりケガをしたりする。

名の由来として「儚い見た目に欺（あざむ）かれて、うかつに触れたら怪我をする」から「あざみ」などという不名誉な説があるが、どちらかというと全体にとげとげしい印象を受ける花であろう。

春先の若い茎や葉をてんぷら、根をきんぴらにするなど、食材としても有用。
古くは「倭名類聚抄」などにも記述があり、平安時代から食用として栽培・採取されていたとみられる。
また、乾燥した根を生薬として、胃腸薬・消炎薬に用いる。
生薬名は大薊（タイケイ）・小薊（ショウケイ）と混乱が見られる。
本来その名で呼ばれる中国草本との混同によるものと思われるが、
明代の「本草綱目」の記述を信じるなら、ノアザミは大薊に近い。（小薊は二回りほど小さく、葉が整った形をしているという）

ノアザミの園芸品種に「ドイツアザミ」があるが、ドイツとは一切無関係。
また、「アザミ」とつくがルリタマアザミは別属。

余談ではあるが同じキク科であるゴボウはアザミに似た花をつける