センリョウ のバックアップ(No.7)

センリョウ科センリョウ属の常緑小低木。「千両」または「仙蓼」とも書く。別名をクササンゴ（草珊瑚）とも。
冬に熟する赤い果実が美しく、また縁起が良い名前のため、正月の縁起物とされる。
マンリョウとセットで見かけることが多いが、マンリョウはヤブコウジ科（またはサクラソウ科）に分類される、
まったく性質の異なる植物であり、義理の姉妹という設定も、こうした違いを反映しているものと思われる。
見分け方は簡単で、果実が葉の下に垂れ下がるのがマンリョウ、葉の上に乗るように実がなるのがセンリョウである。
また、ヒイラギのように、葉の縁に鋭い鋸歯があることも、センリョウの特徴である。
ナンテンもまた混同されがちな植物だが、こちらは果実がブドウのような房状になると覚えておけばよい。

センリョウとマンリョウの違いは、その花を見れば更に一目瞭然である。
マンリョウはごく普通の白い花を咲かせるが、センリョウの花は一風変わった姿をしている。
進化前の髪飾りを見て頂くのが、恐らく一番分かりやすいだろう。
これは花と呼べるのだろうか？と首を捻りたくなる姿は、むしろ裸子植物の花を連想させるが、これでも両性花である。
緑色の球体がめしべで、その横から飛び出している白い粒がおしべである。花弁や萼は一切持たない。
ひとつの花にめしべとおしべがそれぞれ１本だけ、これがいくつも集まっているのが、センリョウの花の姿である。
被子植物としてはこれ以上無く単純な構造の花であり、受粉の方法も昆虫などに頼らない、昔ながらの風媒方式をとっている。
花の構造だけでなく、センリョウは仮道管と呼ばれる、シダ植物や裸子植物に特有の器官を持つことから、
被子植物の中でも最も初期に分岐した、原始的な植物のひとつであると考えられている。
同じセンリョウ科の仲間にはヒトリシズカやフタリシズカがあるが、これらもまた変わった姿の花を咲かせてくれる。