ニワゼキショウ のバックアップ(No.27)

ニワゼキショウ(庭石菖、Sisyrinchium rosulatum)はアヤメ科ニワゼキショウ属の一年草。別名をナンキンアヤメ（南京文目）とも。
芝生や草地などに群生し、5-6月頃、白～赤紫色の6枚の花弁を持った小さな花を咲かせる。受粉するとその日のうちに萎んでしまう、儚い花である。
北アメリカ原産の帰化植物で、原産地には約100種ものニワゼキショウ属の仲間が自生している。
英名では"blue-eyed grass"と呼ばれるが、青色以外にも白、黄、紫などの色もあり、むしろ青くないもののほうが多い。
繁殖力が強く、痩せた土地でも育つため、日本では残念ながら雑草扱いにされている。
花を見ているとアヤメ科の植物とはすぐには理解しにくいが、葉の形を見ると、なるほどアヤメやハナショウブなどの葉をミニチュアにしたような形となっている。

ニワゼキショウ属には変種が多いこともあり、分類の混乱が続いている。分類される種の数も約70-150種と、研究者によりまちまちである。
この混乱は日本にも波及しており、日本に帰化しているニワゼキショウも、正確な分類上の位置づけが曖昧であった時期がある。
当初は「北米で"Eastern blue-eyed grass"と呼ばれているS. atralnticumが観賞用として輸入され、植物園で栽培されていたものが逸脱して野生化した」と思われていたのだが、
日本のニワゼキショウは一年草なのに、S. atranticumは多年草、あと雌蕊の長さとかもなんか違う、ということで怪しげな部分は多々あった。
現在では、日本のニワゼキショウはテキサス州を中心に分布するS.rosulatumであり、本来雑草的な種が偶然移入し帰化したものと考えられている。
また、日本にはオオニワゼキショウと呼ばれる種も生息しているが、この種の分類上の定義も未だはっきりとしていない。