フクシア のバックアップ(No.15)

フクシアはアカバナ科フクシア属の低木。常緑性のものと落葉性のものがある。
原産地は主に中南米、西インド諸島のほか、ニュージーランド、タヒチなどに１００種ほどの原種が分布する。
「ドイツ植物学の父」のひとりとも称されるレオンハルト・フックス(Leonhart Fuchs, 1501-1566)にちなんで命名された。
フクシアとは"fuchsia"のドイツ語読みであり、英語では「フューシャ」と発音することが多い。
あまり使われることはないが、和名として「釣浮草」「瓢箪木」などの呼び名もある。
小さな赤紫色の花が吊り下がって咲く姿は特徴的で、「貴婦人のイヤリング」「女王の耳飾り」とも称される。
形も面白く、細長い筒状の萼が大きく４つに分かれて花弁のように見え、本来の花弁がその下から顔をのぞかせている。
園芸品種では白と赤、赤と紫など、異色の萼と花弁が鮮やかなコントラストを描き、とても個性的な姿を見せるものも多い。
１９世紀以降品種改良が盛んに行われており、現在でも新品種が次々登場しているホットな花である。品種数は３０００は下らないといわれている。

ホームページ制作やwiki編集をやったことがある団長なら、フクシアというと色名として馴染みがあるかもしれない。
もともとフクシアの花色を表す鮮やかな赤紫を指して「フクシア」という色名がつけられたのだが、
ウェブカラーとしては"#FF00FF"、すなわち赤と青をそれぞれ最大レベルで混ぜた極めて鮮やかな紫色を"fuchsia"と呼んでいる。
fuchsiaの読み方が分からないというところまで

#FF00FFってマゼンタじゃないの？と思われる団長もいるかもしれないが、確かにその通りで、"magenta"という色名を指定しても全く同じ色を呼び出せる。
特にマゼンタというとインクの三原色としても使われる名前なので、こちらの呼び方の方がメジャーと言えるだろう。
ウェブカラーでは同色として扱うが、実際のフクシアとマゼンタは厳密には異なる。フクシアは前述のとおり花の色、そしてマゼンタは合成染料の色である。
１８５９年、世界で２番目に発明された合成染料は、フクシアの花にちなんで「フクシン」という名前がつけられていた。
同年、イタリア統一戦争が勃発する。この戦争の最初の激戦地となったのが、ミラノ市の西方にあるマゼンタという村だった。
このマゼンタの戦いにおいて、イタリア・フランス連合軍はオーストリア軍を退け、イタリア統一への大きな足掛かりとなった。
この勝利を記念し、同年に発明されたフクシンの鮮やかな紫色は後に「マゼンタ」と命名されたのである。
ちなみに、世界初の合成染料は「モーブ」というくすんだ紫色で、モーブ(mauve)とはフランス語でアオイを意味する。花と色とは切っても切れない関係にある。