ススキノキ科ワスレグサ属(Hemerocallis)の多年草。
学名:Hemerocallis
英名:Day Lily
百合に似た大きなラッパ状の花の美しさから、園芸向けに栽培される品種も多い
DayLilyの名の通り多くの品種で花単体は一日花であり、朝開いて夜に散る。が、一本の花茎に次々と咲くので、花自体は初夏から秋口まで楽しめる。
学名も「ἡμέρα(=1日)」 + 「καλός(=美)」で 、「一日の美」。
キスゲやカンゾウ、ユウスゲ、ゼンテイカなど、多様な名前で呼ばれる。
乾燥させたつぼみの形から金針・金針花とも。
ワスレグサ属はアジア圏全域に多種が自生し、別名が多すぎるせいで分類が難しいとされ、
ユリ科→ワスレグサ科→ススキノキ科と分類がコロコロ変わっている。
若葉や花が食用とされている。
生薬としては根(萱草根)が利尿涼血、消炎、止血薬として膀胱炎や不眠症に、
つぼみ・花(金針菜)が消炎、止血薬として血尿、痔などに用いられる。
「忘憂草」「忘れ草」の名については、
生薬成分に安眠効果があり、古い漢詩に「これを飲めば憂いを忘れる」とされたことから、なのだが
時代が下ると「花を見れば」とか「身につければ」とか、どうにも怪しいおまじない扱いされた挙句、
「効果がないじゃねえか!」と文句を言われたりもする。
忘れ草 我が紐に付く 香具山の 古りにし里を 忘れむがため ――万葉集 大伴旅人((大宰府への左遷に際し)ワスレグサを帯にさして、香具山の懐かしい里(=奈良の都)を忘れましょう)
忘れ草 我が下紐に 着けたれど 醜の醜草 言にしありけり ――万葉集 大伴家持(旅人の子)((従妹に振られて)悲しみを忘れるというワスレグサを下帯にさしたのに、名前ばかりの憎々しい草め)
うん、だから、飲め。
なお全く逆の名前を持つワスレナグサとは特に関係はない。
カンゾウ(萱草)という別名があるが、マメ科のカンゾウ(甘草)とも全くの別物。
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