インクバナ のバックアップ(No.7)

雨に散りゆく 薄紫の 恋は儚い 露草の花

学名：Tradescantia.ohiensis
別名：ムラサキツユクサ
英名：Spiderwort

ツユクサ科ムラサキツユクサ属の多年草。カナダ南部からアルゼンチン北部にかけてが原産地。
ツユクサの近縁だが、葉の形は鋭く細長く、背も高く(這うケースもあるが、立ち上がると50cm前後ある)、花も大振りであり、混同されることは少ないだろう。
（どちらかというとアヤメあたりと混同されがち。茎の途中から葉が生える点で異なる）
同属としてはロエオ(T.spathacea)が先に実装されている。こちらは葉に特徴があるため、間違うことはないだろう。

「ムラサキ」ツユクサという名前の通り、多くの種は深い青紫色の花を咲かせるが、淡い紫・白・ピンクなどの花を咲かせる種もある。
花弁は3枚・黄色い葯が6本。茎の頭頂に丸い房のように花をつける。個々の花は朝咲いてその日のうちにしおれる一日花だが、株あたりの花数が多いため、長く楽しめる。
園芸種としても扱われるが、17世紀ごろに例によってヨーロッパ人がそこら中に持ち込んだ上に環境適応性の高さから、今では世界各地で大変しぶとい雑草として野生化した姿を見かける。

「インク」バナという名前に反して、花の色素はツユクサ同様定着性が低く、現代では染料として使用されてはいない。
一部の種では犬猫などにアレルギー反応を起こすことがある。
オオムラサキツユクサ(T.virginiana)はネイティブアメリカンによって腹痛などの薬に用いられていたようだ。
近年見つかった特殊な用法として、
雄蕊の細胞が放射線によって青からピンクに色を変えるため、周辺放射能レベルの指標として利用されることがある。

環境適応性が高く、放っておいても大変よく育つ。むしろ植えた覚えもないのにわさわさとコロニーを作ってたりする。
開花期も晩春から夏…とされるが、少なくとも筆者の庭では秋も終わろうというのにまだ花が付く。とにかく長い。

ペンは剣よりも強し
ペン。
筆とならんで古来から筆記用具として使用される。
ペン先に含ませたインクを、その割れ目から毛管現象を利用して紙に適量落とすことで線を引く。
古くは鳥の羽根や竹の棒などを削って使用していた。現在は鍛鉄が一般的。
毛管現象を利用するため先端の構造は繊細で、無理な力をかけるとすぐ壊れる。
切ったり突いたり殴ったり、魔法の触媒にしたりなど厳禁である。

ペン先とペン軸が分かれたペン（レトロニムとしてつけペンと呼ばれることもある）の場合、ペン先裏にその丸みと表面張力を利用してインクを蓄えるため、一回の補充で取り込めるインク量が少なく、頻繁にインクを補給する必要があり、近年では筆記用途としてはあまり見られない。
ペン軸の中にインクボトルを備え、随時ペン先にインクを補給する万年筆の方が一般的だろう。
反面、ペン軸とペン先の組み合わせにより描き味や取り回しに調整が利くことから、イラストや漫画・デザインなど、描画用途では現在もつけペンの愛好家は多い。

…と言われていたのも今は昔。
デジタル作業が一般化してしまった現在、ペンの需要は年々冷え込み、ペン先メーカーも撤退・廃業を余儀なくされつつある。

これも愛 あれも愛 たぶん愛 きっと愛
ハーバリウム。
植物標本の意味だが、一般的にはハーブや花を液体とともに小さなガラスやアクリルの瓶に封入、あるいはガラスやアクリルの中に固定してしまうものを言う。
インテリアやアクセサリ、小物などの装飾として用いられることがある。

インクバナの装備はペン軸全体をハーバリウムにしたペン…いやペンというには巨大すぎるが、まあペンである。
近年一般的に売られている「ハーバリウムペン」はボールペンであり、インクを入れる部分を確保する構造上ペン軸後半部のみにハーバリウムが置かれている。
が、前述のようにつけペンであるなら、ペン軸には何の機構も必要ないため、全体がハーバリウムでも問題ない。
材質的な描き味とかそういうなんか…いやもうサイズがサイズなのでそこは気にしても無駄だろう。
（そもそもペン先にインクを蓄えるのには先述のように表面張力を利用するため、あんまりデカいと…）
下に行くほど封入されている花が大きくなっているのが光学的な効果によるものだとすれば、それによってインクボトルを隠しているのかもしれない。

ガラスペン。
余談だが、「ガラスでできたペン」というものは存在する。
ペン先とペン軸がひとまとまりとしてガラスで作られており、毛管現象を利用して軸内にインクを蓄える。
見た目の秀麗さと書き味から人気がある。発明者は何と日本人。