リンゴ のバックアップ(No.2)

イチゴの場合

ハイビスカス＆アンスリウムの場合

赤いリンゴに　くちびる寄せて
黙って見ている　青い空
リンゴは何にも　言わないけれど
リンゴの気持ちは　よくわかる
リンゴ可愛や　可愛やリンゴ

バラ科リンゴ属の落葉高木。学名はMalus pumila。正式な和名はセイヨウリンゴという。
鑑賞用に庭木として植えられる海棠（カイドウ）もリンゴの近縁種である。
バナナ、オレンジ類に次ぎ世界で三番目に生産量の多い果物である。
日本国内でも、ミカンに次いで第二位の作付面積と生産量を誇っている。
中でも青森県は国内生産量の半分のリンゴを生産しており、ぶっちぎりの生産量トップである。県の花はもちろんリンゴ。
更に県内の生産量のほとんどは弘前市に集中しており、弘前市だけで全国の約２０％の生産量を占めている。

春の終わりに咲く花は白い五弁花で、同じバラ科のサクラやウメによく似た可憐な花である。
受粉後は秋まで長い時間をかけて、誰もが見知っている真っ赤な果実に成長していく。
爽やかな酸味のある果実はそのまま食べるのはもちろん、ジュースやジャムに加工してもよし、アップルパイや焼きリンゴにしてもよし。
果汁をアルコール発酵させればシードル、更にそれを蒸留すればカルヴァドスといったお酒にもなり、様々な利用法がある。
ビタミン、カリウム、ペクチン、ポリフェノール等を豊富に含む、栄養価の高い果物でもあり、
英語のことわざでは「１日１個のリンゴが医者を遠ざける(An apple a day keeps the doctor away.)」と言われている。
特に皮に近い部分に栄養がたっぷり含まれているので、できれば皮をむかずに食べるのがよいだろう。

原産地は中央アジアで、6000年前のトルコの遺跡からは炭化したリンゴが見つかっており、古くから食用とされていた。
ヨーロッパと中国で栽培品種化され、日本でも江戸時代には「和リンゴ」が多く生産されていた。
現在世界で生産されるリンゴのほとんどはヨーロッパで改良された品種が近代以降に広まったものである。
ちなみに、1962年に日本で誕生した品種「ふじ」は数あるリンゴの品種の中で世界一生産量の多い品種である。

リンゴにまつわる話で最も有名なのが旧約聖書の「禁断の果実」であり、
旧約聖書に登場するアダムとイヴが、蛇にそそのかされて食べた「善悪を知る果実」（禁断の果実）はリンゴだとされる。
リンゴが美少女好きなのも禁断の同性愛の表れなのかもしれない・・・・
なお、食べたのがリンゴというのは後の時代に創作された俗説で、当時旧約聖書の舞台となったメソポタミア地方にはリンゴは分布していない。
そもそもの発端はラテン語の誤訳と考えられているが、17世紀のイギリスの詩人、ジョン・ミルトンが
叙事詩「失楽園」の中で禁断の果実をリンゴとして描いたために、この説が広く知られるようになったようだ。
禁断の果実の正体については複数の解釈があり、リンゴのほかイチジク、バナナ、ブドウ、トマト、マルメロなどなど様々。
ちなみに英語で男性の喉仏のことを"Adam's apple"と呼ぶ。アダムが禁断の果実を喉に詰まらせたために、喉仏ができたという逸話にちなむ。
一方イヴが食べた果実は乳房へと変化した。もしアダムが果実をちゃんと飲み込んでいたら、男性にも乳房ができていたのだろうか。

また彼女やフォックスフェイスの持ち物として象徴的なのが「黄金の林檎」である。
古代ギリシャや北欧と言ったヨーロッパ各地に伝わる伝承にはこの「黄金の林檎」は頻繁に登場する。
「アムブロジアー」と呼ばれるこの果実は神の食べ物とも言われ、食べれば永遠の命を得られるといった様々な効能を持つとされる。
しかし、大きな力を持つだけあって争いの元になったりする逸話も数多く残り、代表的な例で言うとトロイア戦争が上げられる。
なお、黄金の「林檎」と称されるが実際には林檎ではなくオレンジだとも言われている。
また神の飲み物は「ネクタール」と呼ばれたり、アジアの伝承に残る天界の食べ物「仙桃」とも効能が近しいため、中国原産のモモなのではないかという説も存在する。
英名ピーチの語源はラテン語のpersicum malum（ペルシアの林檎）から来ていることもあり、広いユーラシア大陸のシルクロードを伝って珍しくて美味しい甘い果物が混同されていく土壌があったのかも知れない。

また、「科学者アイザック・ニュートンは、木から落ちるリンゴを見て万有引力の法則に気づいた」という逸話も有名だが、これも事実かどうかはまだはっきりと分かっていない。
この逸話の元となった木は1814年に伐採されて現存していないが、接ぎ木による子孫たちが現在でも世界各地で栽培されている。
日本でも都内にある小石川植物園に、メンデルのブドウと共にこのリンゴの木が植えられている。味はまずいらしい。

リンゴの実が熟成する際に発生するエチレンガスは植物の熟成を促進することで知られている。
例えば、バナナやキウイをリンゴの近くに置いておくと早く追熟し、腐るのも早くなる。
ヤグルマさんにとっては大敵である。