コマクサ のバックアップ(No.13)

駒草や　雲這い上がる　火口壁

コマクサ(駒草、Dicentra peregrina)はケシ科コマクサ属の多年草。
かつてはゲーム内の図鑑通りケマンソウ科に分類されていたが、最新のAPG分類体系の第3版においてケマンソウ科がケシ科に統合され、ケシ科ケマンソウ亜科という分類となった。
コマクサの名前は、日本人である牧野富太郎氏によって命名された。
別名は、カラフトコマクサ（樺太駒草）

他の植物が生育できないような高山の砂礫地等の過酷な環境をものともせず、崇高で気品漂う花を咲かせることから「高山植物の女王」と呼ばれている。
花言葉の「高嶺の花」は伊達ではない
和名の由来は、その花の形が馬（駒）に似ていることに由来する。

千島列島・樺太・カムチャッカ半島・シベリア東部の東北アジアと日本の北海道から中部地方の高山帯の日当たりがいい砂礫帯に分布しており、
7～8月頃に直径0.5-20 cmの礫地または砂礫地に群落をつくる。
日本では高い山でしか見れないが、海外では海岸近くの崖地や、砂利採取場や採石場などにも見られるとのこと。
葉はパセリのように繊細で、白粉を帯びて緑白色になる。
花はピンク色で先端が白く、ケマンソウと同じように花茎の先端に淡紅色の花を2～7個やや下向きにつける。
4個の花弁は、内外各2個づつに分かれ、外弁は袋状で先は反り返る。内弁は、剣の先のように外へ突き出ている。
高さは5 cm、花茎は10～15 cmと小さい花であるが、地上の小さな花からは想像もできないほど、長くて丈夫な根（2～3 m）が地中深くに入っている。
これは、乏しい水分や養分を確保し、凍結融解を繰り返すことによって砂礫が動くような過酷な場所でも生育できるようにする為である。
有毒植物であり、全草に微量のアルカロイドが含まれている。
中毒症状としては嘔吐・体温の低下・呼吸麻痺・心臓麻痺を引き起こす。

そんな美しく気高いと言われる彼女であるが、一度絶滅の危機に瀕したことがある。
その理由が、登山記念と薬草目的で乱獲されたためである。
コマクサは、その微量のアルカロイドから、明治時代に健胃、鎮痛薬として腹痛に用いる薬草として利用されていた時期がある。
また、木曽の御岳山では霊草「オコマグサ」と称し、御岳神社参詣者に対し、乾燥させたコマクサを授けていたという話もある。（現在の御岳百草にはキハダを利用している。）
昔は高山植物の保護も少なく、花の希少価値や美しさよりも利用価値が優先されていたため、各地の自生地で乱獲され、多くの高山で絶滅した。
現在では野生の一部（主に北海道や東北地方）がレッドリストに指定されており、その採取が禁止されている。