アロエ(Aloe)はススキノキ科の多肉植物。
今までに科が変わっており、以前の書籍等ではユリ科、ツルボラン科などと紹介されている。
南アフリカを中心にアラビア半島まで約500種が生息する。
マダガスカルに生息するものは独特の姿をしたものが多い。
ほとんどがワシントン条約で保護されているが、ヨーグルトでお馴染みのアロエベラは例外扱いとなっている。
形態も様々で、馴染み深いのは民家の庭先でよく見かけるキダチアロエ(医者いらず)だろう。名前の通り茎が立ち上がって樹木のように成長をする。
前述のアロエベラはロゼット状に成長する。立ち絵の背景にいるのがおそらくベラです。
他にも葉が交互に展開するものや、葉に棘がないもの。大きさも見上げるほど巨大になるものから数㎝にしかならないものまで、繊細な草のような姿のグラスアロエなどなど実はバリエーション豊富な植物である。
リュウゼツランと容姿が似ているがあちらはアメリカ大陸にしか生息していない。
最大級の種類になるディコトマやバーベラエは20m近く成長し、その樹齢は数百年にもなる。
日本では涼しい季節に開花することが多い。
花は花被がひっついた筒状の姿でたいてい赤色。中には黄色いものもある。
取り立てて綺麗だったりするわけでもなく、特に観賞価値は見出されていない。
アロエは自家受粉しないたので、種を取りたい場合は別のアロエが必要となる (別の種類のアロエであっても受粉するので交配させることは可能)。
大半の種類が極めて強健なので栽培は簡単。
庭先で枝分かれして群生しているキダチアロエが良い例だろう。
日光を好み、不足すると徒長して不格好な姿になるので注意。
成長期の春と秋は土が乾いたら潅水しよう。
寒さにも強く、水を控えて日当たりのいい場所に置けば、無加温でも冬を越せる。また、あえて寒い環境に置くことで紅葉する特徴を持ち、種類によってはとても美しい。ただし雪に当たると枯れてしまうので、屋根の下やビニール、フレーム等で囲うなどの保護は必要だ。
一部例外を除き、暑さにも強いが蒸し暑さは嫌いなので、日当たりだけでなく風通しがいい場所も確保しておこう。
害虫はほとんど付かないが、風通し・日当たりの悪い場所に置くとカイガラムシが付くことがある。葉の隙間にまで入られると駆除しきれず、アロエが弱ってしまうので注意したい。
大きくなる種類が多く、硬質の葉で置き場を圧迫したりと融通が利かないので、コンパクトに育てたい場合は小さな鉢に植えて水を控え気味にすると良いだろう。
他の多肉植物やサボテンに比べると、やはり栽培人口は少ないので、専門店でもあまり取り扱われておらず、いざ収集するとなると実は結構難しい。
それでもコアなファンは存在し、少しづつではあるが人気が高まっているのも事実。形態のバリエーションは豊富だし、最近では海外の愛好家が様々な交配品種を作り出しているので、興味のある団長さんはこの機会に育ててみてはどうだろう?
他の多肉植物と比較した場合、アロエの強みはその強健さでもある。
最後に筆者が育てている中で面白そうなアロエを少し紹介しておきます。
アロエというと背景にもあるベラやキダチアロエ、食用・薬用のイメージが強いのですが
実は観賞用に育てられているこんなものもあります。
・ソマリエンシス
名前通りソマリアに生息します。カラーバリエーションが豊富でコレクション性が高くインテリアにもぴったり。
・バンバレニー
南アフリカに生息。何の面白味もないように見えますが、冬になると見事なまでに真っ赤に紅葉します。そこで付いたのが通称「ゆでダコアロエ」。丈夫な種類です。
・スプラフォリアータ
南アフリカに生息。和名は大羽錦。葉が交互に、そして扇型に展開する特徴的なアロエです。青味がかった葉もとても美しいのですがその形態状スペースを広く取ってしまいます。 ある程度大きくなると葉が旋回してしまい、一般的なアロエの姿になってしまうのが難点。中には旋回をしない個体も存在します。丈夫で栽培は簡単。比較的入手も容易です。
・カスティロニアエ
マダガスカルの小型種。最近記載されたばかりの新種で非常に人気があります。木立状に育ち、寸詰まりの葉と、けばけばしいまでのトゲトゲが魅力的です。2つタイプがあり、葉の表面がツルっとしたものと、表面にも棘のあるものがあります。 後者の方が、見た目にも気持ち悪くて断然おすすめです。丈夫で栽培は簡単。最近多く出回り始めましたが、人気のため競争率が高いです。
・ラエタ
マダガスカルに生息。パウダーがかかったような葉と、ノコギリ状のピンク色の棘がかっこいいアロエ。高地に生息するため蒸し暑さを嫌うので、ベランダなどで風通しよく管理するとよさそう。 人気の種類で以前は入手し辛かったのですが、今は国内で実生個体が作られ入手し易くなりました。
・フィンブリアリス
前述したグラスアロエ。地下にある球根のような基部からとても細長い葉を伸ばします。グラスアロエは気難しいものが多いですが、本種の栽培は簡単です。冬は地上部が枯れて球根状態で越冬します。 本種もですがグラスアロエの仲間はあまり出回りません。よく似たグラスアロエのリカルドシアエも比較的簡単に育てられ、こちらは見かける機会も多いです。
・ハエマンティフォリア
ケープタウンに生息。ツルっとした葉を扇状に展開する人気の種類。そして栽培が最も難しいアロエとしても有名。夏の暑さを嫌い、夏に弱らせて枯らせてしまうことが多いのです。 一方で耐寒性は高く、雪が積もっても動じないというアロエらしくないアロエ。 暑さに弱い以前に気にしなければならないこととして、普通のアロエと同じ感覚で育てないこと(大抵失敗します)が挙げられます。 というのも、自生地は標高1500m程の山岳で、水が流れる場所。要するに水が大好きで、ちょっとでも乾いた環境にいると弱ってしまうのです。屋外で雨晒し推奨です。 夏の暑さですが、おそらく熱帯夜を嫌うと考えています。自生地の気温は40℃になることが普通にありますが、流れる水のおかげで根は常に冷たく保たれています。 熱帯夜の時は屋外から部屋へ移動して夜だけ一緒に寝る、鉢に氷を置く、風を送り気化熱で鉢内を冷やすなどの対策を施すのが良いかもしれません。
・プリカティリス
ケープタウンに生息。ハエマンティフォリアが木立状になったようなアロエです。 ハエマンティフォリアの御近所さんですが、こちらの自生地は標高が低いので栽培は簡単です。ハエマンティフォリアとは逆に、水をやりすぎないようにする方がいいでしょう。一般の園芸店で見かけることもあります。
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