ウメ のバックアップ(No.78)

　どこでもいい。それこそ裏町のごみごみした露路越しでも、アパートの窓の干物のそばでも、
村でも、野でも、或は、ビルデングの歩廊の壺に挿してあるのでも。
　春さき、梅の花を、チラホラ見かける頃ほど、平和と、日本の土の香を、感じるときはない。

花も実もあるとは誰が言ったか、眺めて良し食って良しな、バラ科サクラ属の落葉広葉樹。サクラと合わせて日本の春には欠かせない花。
サクラ属の分類は若干揉めており、ウメはスモモ属としてサクラ属から分離すべきという意見もある。
サクラより少しだけ早く、２月ごろから花を咲かせる。色は白から紅で、サクラやモモとよく似ている。
ウメの花は花弁の先が丸いことで見分けが付く。モモは少し尖っており、サクラは先が割れている。強い香りが鼻をくすぐるのも特徴。
またモモやサクラと比べウメは花の数が少なく、まばらに咲く。イラストを見ても、それぞれの枝の先にひとつずつしか花がつかないことが分かる。
果実はクエン酸などの有機酸を豊富に含み、強い酸味がある。ウメの実を塩漬けにして干した梅干しは酸っぱいものの代表格としておなじみ。
塩漬けの際に作られる梅酢は、古来から貴重な調味料として珍重されてきた。梅干しはむしろその副産物で、食用よりは薬用に使われたという。
ウメさんが敵を仕留めたりすると「いい塩梅」と呟くが、「塩梅」というのはもともと、塩と梅酢を混ぜた調味料のこと。
塩と梅酢の配分に例えて、物事の加減が丁度いいことを「いい塩梅」と言うようになった。

サクラと同じ仲間といってもケアの性質は全く違う。
俗に「桜切るバカ、梅切らぬバカ」という言葉があるが、ウメは丈夫でサクラは繊細な植物だという庭師の教訓である。
実際、ウメは余計な枝を剪定しないと、枝ばかり伸ばして花を咲かせない。
逆にサクラを剪定したり手折ったりして傷つけると、そこから病原菌に侵される。
決して、サクラさんを戦列から外してウメさんを重用するのはバストサイズ的に誤りであるという意味でｈ「手心など不要」

ウメは奈良時代、中国から遣隋使が薬木として日本へ持ち帰ったとされる。尚、小野妹子は男である。
ウメの花の季節は、旧暦では新春にあたる。ウメの花はその香りとともに春の訪れを告げるものとして、縁起が良いとされた。
ハイカラで大陸びいきな貴族の間では、ウメの花を眺めることがが流行し、いわゆる花見の原型になったとされる。
かつては花見といえばサクラではなく、ウメの花を見ることだったのである。それがサクラに変遷した経緯は当該項目参照。

かの平安時代の学識者、菅原道真公もウメの花をこよなく愛したひとりである。団長諸兄は道真の「飛梅伝説」をご存知であろうか？
道真は高い家柄の生まれではないながらも、この時代では珍しく才知を買われ、天皇の忠臣として手腕を振るった猛者であった。
ところが、昇進を続ける道真を周囲の貴族が黙って見ているはずもなく、彼は貴族間のいざこざに巻き込まれ、太宰府への左遷の憂き目に遭う。
道真が没したのち、都で天変地異が多発する。左遷された道真の祟りに違いないと、貴族や皇族たちは恐れおののいた。
朝廷は北野天満宮を建立し、道真を天満天神として祀ることで、この祟りを鎮めた…というのが、事の顛末。
さて、太宰府への左遷を命じられた道真だが、彼は屋敷内に植えていた庭木達、とりわけサクラ、マツ、ウメの三本との別れを惜しんだ。

東風ふかば　にほひをこせよ 梅の花　あるじなしとて 春なわすれそ

春風の吹く頃に、梅の花よ、また香り高く咲いてくれ。主である私がいなくなっても、春を忘れるな、と、彼はそう歌った。
これを聞いたウメの木は、主人への想いを押さえられず、一晩にして太宰府へと飛んでいき、彼の地でまた花を咲かせた、という話。
「私に寂しい思いなどさせないで貰おうか。やはり、見てくれる者がいないのではな」
一方、サクラさんは失意のうちに葉を落として枯れてしまったとか、マツはウメとともに飛んだが、途中で力尽きて落ちてしまったとも伝えられる。
現実的な話をすれば、苗木を持ちだしていたとか、オチはそんなところだろうが…
ともかく、その伝説の飛梅は今も太宰府天満宮の神木として、東風吹く頃、千年前と変わらぬ香りの花を咲かせている。

ちなみにあまり知られていないがウメ、サクランボ、イチゴ、バラ、ナシ、リンゴなどの花卉・果樹の花粉は職業性花粉症の原因になる。
リアル農家団長の中にはうめてんてー達が原因で透明な体液をだだ流しにする方もおられる。
…透明な体液って、涙や鼻水のことですがなにか問題でも？

うめてんてーの呼称については、高校の美術科に通う少女たちがひとつの下宿荘で共に暮らす日常を描いた某大人気コミックの原作者（コミックのアニメ化作品ではレギュラー声優を務め、ラジオ番組のゲストとして度々招かれてはファンを魅了する人気タレント）の愛称を誰かが流用したことが起源であると推測される。なお、美術科に通う少女たち、という表現は一部不適切であるが、あえてこのように表記している。

何かをお気になさっているようだ。

モミジのキャラクエ「誰が一番」より

	「一番かは分からないけど、私よりウメちゃんの方が強いわよ～」
	「いやいや…今の言葉聞き捨てならないな。私よりお前の方が強いじゃないか。騎士学校からの試合結果を数えても私は負け越しているぞ」
	「あら～、でも試合は試合でしょ。実戦とは別物だと思うわ。害虫の討伐数、ウメちゃんの方が多いのよ。」
	「むっ、そうなのか？数えたこともなかったな。だがそれを言うなら仲間を守った回数はサクラの方が多い。現にこの私が何度も助けられている」

解説１「さすが王国最強騎士」
　長めの刀身のレイピア
レイピアは近世に隆盛した刀剣だが、実戦よりも練習用・決闘用などで用いられるケースが多い。
別に実戦での活躍がないわけでもないが、レイピアを用いた剣術手法では、ここまで長い刀身を想定していない。
つまり、レイピアとしては長すぎる刀身でオリジナルの剣術・剣技を磨いてきたように推測される。
　誤解があるが、非常に細身の刀剣をレイピアと呼ぶわけではなく、レイピア登場以前の両刃刀剣（＝剣）の刀身に比べて相対的に細身になり刺突性を強く意識した刀剣のことをレイピアと呼ぶ。（なお、刀身に反りがある場合では細身でもレイピアとは呼ばない）剣なので両刃。刀であれば片刃。
レイピア登場は、それまでの刀剣の斬撃では相手を無力化できない上に、時代を経て進化・発展した遠距離攻撃（特に長弓兵）の活躍、集団密集戦術の発展・普及により、個人の力量云々の時代ではなくなったことが大きい。最終的には刺突系へと特化することになるが、レイピアは見た目の美しさから柄に意匠を凝らした芸術品も多々生まれている。日本と異なり刀身に美意識を持つに至らなかった欧州世界では致し方ないことかもしれない。

解説２「プレートアーマー」
　花騎士でも数少ないプレートアーマーのような防具であるが、簡略化されすぎていて解説できない。
キャラクエ（モミジ）などの情報では、王国最強騎士は前線ガチンコ派の武闘派の模様。
なお、騎士が羽織るコートを「サーコート」と呼ぶ。このコートは、外套としてはプレートアーマーによる激しい温度変化による体力消耗から身を守ることを主眼とする。
炎天下のプレートアーマー内部は５０度近くになるので、こうしたコートが必要不可欠になるようだ。

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