己は河原の 枯れ芒 同じお前も 枯れ芒 どうせ二人は この世では 花の咲かない 枯れ芒
ススキ 学名 Miscanthus sinensis Anderss. 科名 イネ Poaceae/Gramineae (旧科名 イネ GRAMINEAE) 別名 茅(萱)(かや)
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イネ科ススキ属の多年草。日本国内ならば開けた土地があればどこにでも見かけられる、ごく身近な雑草である。
1~2mの高さに成長し、茎の先から十数本に分かれた白い花穂を出す姿は、秋の風物詩としてお馴染みである。
十五夜の月見では萩とともに飾り付けに使われる。でもこっちでは相方はウサギノオになりました。ナンデ?
日本人との付き合いは古く、かつてはチガヤやヨシなどの他のイネ科の草本とともに「茅(かや)」と呼ばれ、
茎に油を含むので耐水性が高く、よく乾燥させたものは「茅葺屋根」を造るために重要な建材のひとつとされたほか、
よく燃える燃料として利用されたり、家畜の飼料や、地方によっては穂の部分などを食用とすることもあった。
このように重要な資材である茅を確保するため、農村の周辺部には「茅場」と呼ばれる広大な茅の群生地が存在し、人の手で管理されていた。
花として見るには地味であるにも関わらず、揺れるススキの穂が我々の心に強烈なノスタルジィを喚起させるのは、
こうした里山の素朴な自然が、原風景として日本人の遺伝子に刻み込まれているからかもしれない。
別名の”茅”としての話としては日本神話での”カヤノヒメ”のカヤは”茅”を意味している。
この「カヤノヒメ」が登場している話として『古事記』では”鹿屋野比売神”(さらに別名が野椎神(のづちのかみ)とされている。)と、
『日本書紀』では”草祖草野姫(くさのおやかやのひめ。草祖は草の祖神の意味)”と表記されている。
古来より有用植物であった茅は野の神が宿る草とされ、とても大切に扱われてきたということが窺える。
”カヤノヒメ”が祀られてる神社としては
・樽前山神社(北海道苫小牧市)・・・元々は明治初年、樽前山周辺の原野を開拓する為に、樽前山山麓に山の神・大山祇神(おおややまつみ)を祀った事が始まりである。1875年に木の神・句句廼馳(くくのち)・草原の神・鹿屋野比賣神を合祀している。その為か、千歳・白老(しらおい)・勇払(ゆうふつ)の三郡の総鎮守として名をはせる事になった(郷社に格が上がった為)。
1936年には県社に昇格。1986年には神社本庁の別表神社に加えれている。
・萱津神社(愛知県あま市)・・・日本唯一の漬物の神として祀っている。煙草の神として信仰もある(主にタバコの葉の生産地では信仰対象に)
・清野井庭神社(三重県伊勢市)・・・灌漑用水の神。「屋船の神の分霊」という別の説もある・・・信じる信じないはあなた次第です。
また、日本神話きっての美女として人気の高い「コノハナサクヤヒメ(木花咲耶姫)」は、
またの名をカヤツヒメやカシツヒメ(鹿葦津姫)とも呼び、カヤノヒメの子とも言われている。
カヤノヒメといえば、2015年夏に行われたBitcash総選挙では「かくりよの門」よりかやちゃ(ドッかやのひめが
我らがナズナを破り見事グランプリに輝いたことは記憶に新しいが、これは実質的にススキちゃんがグランプリだったと言ってもよいでは?
ススキという名前の由来には諸説がある。
・すくすくと伸びていく木という意味の『す(く)す(く)き』からきたという説
・神楽に使用する鳴り物用の木『鈴の木』から由来する説
etc...
別名の由来・・・昔、ススキを刈って屋根をふいた『刈り屋根』の意味で名付けた説が有力。
ススキの穂を動物の尾に見立てて尾花(おばな)と呼ぶことがある。また、ススキ自体も尾花と呼ばれる事も・・・。 実はススキおよびススキの穂を意味する古名である。
奈良時代初期の歌人・山上憶良が『万葉集』(巻八 1538)にて 「萩の花 尾花 葛花 撫子の花 女郎花 また 藤袴 朝顔の花」 と詠んだように、古来、秋の七草の一つにあげている。 実の話、万葉集に出てくる朝貌は桔梗ではないかという説が有力視されてるようです。
余談ですが、中国の名称である桔梗(きちこう)を日本では音読みで(ききょう)と呼んでるそうで。
更に余談ですが、安倍晴明が使用した五芒星は桔梗印と呼ばれ、明智光秀の有名武将で桔梗紋を用いられていました。 今では、キキョウサポニンが生薬として利用されてる事も、団長さんの頭の隅において上げてください。
「幽霊の正体見たり枯れ尾花」という有名なことわざがありますが、 「穂全体が白っぽくなると風に乗せて種子を飛ばす姿が幽霊に見えたんじゃないか?」 という説が多数を占めてる様です。
馬の毛色で「尾花栗毛(おばなくりげ)」があるが、栗毛馬や栃栗毛馬であることに加えて 鬣(たてがみ)や尾の長毛が白いものがそれである。 この白毛は遠くから見ると金色に輝いて見えるため、某アニメ映画の一シーンのごとく(ry その情景をススキの穂に見立てて、「尾花」の栗毛、と
呼ばれる様になった。
参考までに
秋の七草・・・萩(はぎ)・薄(すすき)・葛(くず)・女郎花(おみなえし)・撫子(なでしこ)・藤袴(ふじばかま)・桔梗(ききょう)[朝貌(あさがお)](順不同)
ススキは優れた生物兵器としての一面も持っている。(嘘)
団長諸兄の中には、ススキの葉で手を切られたという経験がある者もいるのではないだろうか。
イネ科植物は土中に多量に存在する珪酸を吸収・蓄積する性質を持つのだが、ススキはその性質が強いのか、
集めた珪酸を結晶化させ、細長い葉の縁に鋭利なガラス質のブレードを形成するまでになる。体は剣で
殺傷力を高めるために鋸歯を鋭く立ち上げる様は、愛くるしい彼女に不釣り合いな異形の武器に禍々しく再現されている。コワイ!
ススキの葉にはペーパーナイフ程度の切れ味があり、軽く滑らせるだけで人の皮膚をも容易に切り裂いてしまう。
恐らく草食動物の食害から身を守るためなのだろうが、なにもここまでやることはなかったんじゃないだろうか。
人類が石器を発明するずっと前から、植物は自ら刃物を生み出し身を守っていた、などと考えてみると、自然の驚異を感じさせられる。
ススキに限らず、安易に触れると痛い目に遭う植物は結構多いので、草むらや茂みに入る際はなるべく肌の出ない格好を心がけよう。
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