I got the music playing loud in my head
I got a red hot chili blows it away
ハバネロはナス科トウガラシ属のうち、シネンセ種(Capsicum chinense)と呼ばれるトウガラシの代表的な栽培品種である。
原産地は中南米。名前はキューバの首都でもある港町ハバナに由来しており、これはメキシコのユカタン半島で栽培されたハバネロがハバナ経由でヨーロッパにもたらされたため。
トウガラシの中でも特に辛い品種として有名で、辛さの指標であるスコヴィル値(Scoville Heat Unit)は、個体によりバラつくがおよそ300,000SHU。
この値はハラペーニョ(C. annuumの栽培品種)の約80倍、タバスコソースの約10倍に相当する。
このハバネロから更に選抜改良されたレッドサビナ種は577,000SHUという値を叩き出し、世界一辛いトウガラシとして1994年にギネス・ワールド・レコーズに認定された。「私のスコヴィル値は58万です」
ただ辛いだけでなく、柑橘っぽい独特の香りを持つことも特徴。肉料理やカレーなどの煮込み料理に使用すると風味が良くなり、相性抜群である。
逆に淡白な味の料理にハバネロを大量に使用すると、独特の「ハバネロ臭さ」が出てしまうことがあるので、扱いが難しい。
2004年、ハバネロを使用したスナック菓子「暴君ハバネロ」がスマッシュヒットを飛ばし、日本の激辛ブームを再燃させると、印象的なイメージキャラクターの力もあって、ハバネロの名は瞬く間に知れ渡った。
現在では舌のイカれた激辛マニアどもにより、ジョロキアなどの更に辛いトウガラシが次々と生み出され、「世界一辛い」の称号はもはや過去のものとなってしまったが、
かつての激辛ブームを牽引した存在として、ハバネロは未だに激辛の代名詞として愛され続けている。
以下にハバネロ以降の世界一辛いトウガラシのギネス記録を示す。もちろんこれら以外にも認定を受けていない激辛トウガラシは多数存在し、一部のものは催涙弾の材料にもなっている。
認定年 | 品種名 | スコヴィル値 (SHU) |
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1994年 | ハバネロ(レッドサビナ) | 577,000 | 2006年 | SBカプマックス | 656,000 | 2007年 | ブート・ジョロキア(ゴースト・チリ) | 1,001,304 | 2011年 | インフィニティ・チリ | 1,067,286 | 2011年 | ナーガ・ヴァイパー | 1,382,118 | 2012年 | トリニダード・スコーピオン(ブッチ・テイラー) | 1,463,700 | 2013年 | キャロライナ・リーパー | 1,569,300 |
ちなみに、SBカプマックス(日本のエスビー食品が開発したんだよ)は認定から3ヶ月で、インフィニティ・チリは2週間で記録を抜かれた。この業界何が起こってるの?
記録上現在世界で最も辛いトウガラシは、キャロライナ・リーパーとされている。記録値はひと束のトウガラシをテストした平均値で、最大値は2,200,000SHUであったという。
ジョロキアですら食べると食道に穴が開く危険があるといわれている。食い物じゃねえ。
なお、キャロライナ・リーパー早食いの世界記録は、1分間に22個である。人間じゃねえ。
2017年現在、ドラゴンズ・ブレスと名付けられたトウガラシが2,480,000SHUを記録しており、ギネス記録を塗り替えるのではないかと期待されている。
食べると死ぬらしい。生産者サイドももはや食材として認めていないようで、医薬品として利用する研究を進めているそうな。
○トウガラシについて
トウガラシは、分類上はナス科トウガラシ属(Capsicum)の総称であり、ほとんどが一年草である。中南米を原産とし、世界各地で栽培されている。
果実はカプサイシンによる強い辛味を持ち、辛いものの代表格としてお馴染み。世界各地の料理で香辛料として古くから利用されている。
ペルーやメキシコの遺跡調査によると、紀元前8,000年頃には既にトウガラシを利用していた痕跡があり、紀元前1,500年頃には栽培化が完了していたとされる。
代表的な種はC. annuumであり、その栽培品種にはタカノツメやハラペーニョなど馴染み深い名前も多い。
そのほかにも、ハバネロやジョロキアなどの激辛品種を多数生み出しているC. chinense、
タバスコの原料であるC. frutescens(キダチトウガラシ)などの品種があり、辛さや風味も様々である。
トウガラシの辛さは、野生動物に食べられることを避けるためのものと考えられており、実際ほとんどの動物はトウガラシを食べようとはしない。
しかし鳥類だけは例外で、不思議な事に彼らはトウガラシの辛さを感じないため、どんなに辛くても平気で食べることができる。
歯もなく、単純な消化器官しか持たない鳥類にのみ食べられることで、トウガラシはより確実な種子散布を図っているものと考えられる。
・・・そのせいでまさか人類とかいう変態に目をつけられることになるなんて、夢にも思わなかったのである。
辛さばかりが注目されがちなトウガラシだが、一方で全く辛くないトウガラシも存在する。
シシトウ、ピーマン、パプリカなどの野菜は、すべてC. annuumの栽培品種、すなわちタカノツメやハラペーニョの姉妹といえる。
これは意外な事実かもしれないが、改めてよく見てみると、ほら、確かにトウガラシに似ているでしょう?形とか、色とか、切り口とか。
トウガラシのカプサイシン含有量は生育環境により大きく変化し、一般に暑いほど増加し、涼しいと減少する。なるほどタイ料理やインド料理が辛いわけである。
ピーマンなどの甘味品種は、トウガラシが冷涼な気候に適応する過程で遺伝子に変異が生じ、カプサイシン生成能力を失ったものと考えられている。
ピーマン、パプリカはカプサイシン生成能力を完全に失っているが、シシトウにはまだ残っており、
生育環境などによって急に覚醒することがあるため、たまにすごく辛いのが混ざっていてびっくりさせられる。
ちなみに、種が少ないシシトウは高確率で辛い。そのため外見や触った感じなどから、辛いものをある程度見分けることができる。また、実は辛いシシトウは熟していないものであり熟したシシトウは甘いらしい。
尚、ハバネロにも交配によって生まれた「辛くないハバネロ」があるらしい。
香辛料にとどまらず、トウガラシには様々な利用法がある。
昔からよく知られている方法が、米びつにタカノツメを入れておくというもので、防虫、抗菌の効果がある。某アイドル集団も過去にトウガラシを使った天然農薬を作成していた。
カプサイシンは粘膜に付着すると激しい痛みを与えるが、後遺症をほとんど残さないため、催涙スプレーの主成分として、市販品や警察の装備などにも使用されている。
ドラゴンズ・ブレスについての記述で触れたように、トウガラシは医薬品としても利用されている。
温湿布や軟膏などに含まれるトウガラシチンキは、患部の血行を促進することにより、筋肉痛や凍傷などの治療、育毛などに効果がある。
また、カプサイシンには痛覚を刺激する一方で、痛覚を麻痺させもするという一見奇妙な性質があり、鎮痛剤や局所麻酔薬として応用する研究が進められている。
トウガラシの中には観賞用として栽培される品種もあり、白く儚い花や、鮮やかな色の果実は見た目にも美しい。
伝統的な品種にゴシキトウガラシ(五色唐辛子)と呼ばれるC. annuumの栽培品種があり、白、黄、赤、橙、紫など様々な色の実をつけるのが特徴。
観賞用トウガラシにも食用に負けないぐらい個性豊かな品種がたくさんあり、食べるのとはまた違った楽しみ方ができるだろう。
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