セリ のバックアップ(No.67)

せり摘みし 昔の人も 我が事や 物に心は かなはざりけむ

セリ(芹)とは、セリ目セリ科セリ属の多年草。学名は"Oenanthe javanica"で、英名はウォーターフェンネル、チャイニーズセロリ、ジャパニーズパセリ等。
ゴギョウにハコベラ、ナズナと並ぶ春の七草の一つであり、食べられる野草としても非常に有名な植物。名の由来は「競り」あう様に生えて来る様から来ているらしい。
というか「食べられる野草」というよりは立派な「野菜」として認知されている部分もあるレベルでメジャー。実際に野菜として栽培もされ始めている。
日本はもちろんの事、オーストラリアにも多く分布する。
(が、あまり西洋等では好んで食べる習慣が無いらしく、野菜として使われてきたのは日本や中国などのアジアが中心らしい。)

水気の多い環境を好んで自生し、湿地帯や田んぼ(休耕田や用水路の近くなど)、場合によっては川の浅瀬などにも生育する。
ぬかるんだ泥の中や水辺の十分に水分を含んだ緩い土壌に根を広げ、這うようにして生育する。
食用にもされる根は別名の「白根草」に違わず真っ白。
7～8月ごろには小さな花を咲かせる。花はとても小さく目立たないが、可憐で可愛らしい花である。

食用としては3～4月が旬。爽やかな独特の香りとクセのある風味は好き嫌いが別れるものの好きな人にはたまらない味。その香りの強さからハーブとして扱われることもある。
七草粥の一素材としてはもちろんの事、茎や根をおひたしにしたりしても美味。ダイレクトに風味を楽しめる。
宮城県では郷土料理として鴨肉(代用で鶏肉)とセリの鍋料理である「せり鍋」があり、鴨のダシの旨味とセリの食感と香りがたまらない一品。
中華料理には七草粥ならぬ芹粥なんてものもあったりする。

ちなみに、セリ科の野菜やハーブは結構多かったりする。
ニンジン、ミツバ、パセリ、セロリ、フェンネル等がそれ。どれも共通して苦手な人はとことん苦手な香りとクセがある。

あと、野生のセリを採りに行く人に気をつけておいて欲しい事があるが、セリに非常にそっくりな見た目をした「ドクゼリ」という強力な毒を持つ毒草がある。
このドクゼリはセリと同じセリ科なのもあってか、厄介な事に生育環境も同じである。
見分け方は根っこの形状と草の高さ。ドクゼリの方が草の丈が高く、筍のような節に別れた太い地下茎を持つ。
昔から「５月のセリは食べるな」とも言い伝えられている。早春に芽生えるセリに対し、ドクゼリは少し遅れて５月頃から伸び始めるのである。
つまり、５月以降の採取は、ドクゼリと誤認する可能性が高くなる上に、セリの旬も過ぎて香りや食感も劣る。採取は早春から４月にかけて行うと良い。
また、セリそのものについても１００%安全とは言いがたい。水辺に自生する性質上、寄生虫の感染リスクを伴うためである。
セリを媒介する寄生虫としては、吸虫の一種である「肝蛭（かんてつ）」が有名。生食さえしなければ安全なので、アク抜きついでにしっかり煮殺しておこう。
もしセリを採りに行きたい団長、あるいは前から採りに行っている団長が居たら、ドクゼリや寄生虫などの存在にも注意しながら採取をしよう。
野草大好きで知られる岡本○人氏も言っていたが、分からないままで食べるのは非常に危険な事で、最悪命に関わります。