ヒペリカム のバックアップ(No.31)

ヒペリカムはオトギリソウ科オトギリソウ属に分類される植物の総称。
オトギリソウやキンシバイ(金糸梅)、ビヨウヤナギ(未央柳、美容柳)（園芸関係ではビョウヤナギとも称す）等が有名。

学名：Hypericum
原産地：中央アジア～地中海沿岸

学名の「Hypericum」の由来は
・ギリシャ語の「hyper（上に）」＋「eikon（像）」（魔除けの像の上にこの花を置いていたため）。
・「hypo（下に）」と「erice（草むら）」
などがある。

ヒペリカムはユーラシア大陸の温帯～亜熱帯地域を中心に世界中に約300種の野生種が分布する。
日当たりと水はけがよい土地を好むが、極端な乾燥地・寒冷地でない限り、わりとどこにでも自生する。
病虫害なども少なく、丈夫で育てやすいため、ガーデニング初心者でも安心。

背景に描かれているのはコボウズオトギリ(H.androsaemum)と思われる。
が、園芸で「ヒペリカム」といえばこれのこと、というわけではない。
困ったことに、属の総称、あるいは種を雑に品種のように扱って括っているようだ。

通常のオトギリソウに比べて葉と花弁が丸く、特徴的な丸い実を付ける。
実は緑から赤、黒色に熟す。
別名、実生り金糸梅(キンシバイ自体はH.patulumという別種。花が大きく開かない点で異なる)。
英名はTutsan、あるいはSweet Amber。
また、茎が丈夫で枝分かれし灌木状（shrub）になるため、Shrubby St. John's Wort（St. John's Wortがオトギリソウのこと）とも。

ヨーロッパにおいて利尿・肝機能保護・抗うつ・傷薬など、オトギリソウと同様に利用されていた。
多数の薬効成分を持つ一方で、主成分のヒぺリシンは嘔吐感や下痢を引き起こす毒でもある。
例によってヨーロッパ人が世界中に持ち込んだため、今では各地で花壇や庭園向けの花卉としても一般的になっている一方で、
オセアニアでは牧草地における駆除の困難な雑草（上記の毒性から、牛等が誤食して嘔吐するため）の一つと目されている。