チコリー のバックアップ(No.31)

チコリー（Cichorium intybus）はキク科キクニガナ属の多年草。
チコリー（chicory）は英語で、和名はキクニガナ。

キク科の中でもタンポポ亜科に属し、タンポポやコオニタビラコに近い仲間。
露地で普通に花を楽しむために育てた場合、高さ80cm～150cmほどになり、夏から秋にかけて
八重咲きのコスモスのような、薄紫色の涼しげな印象の花を咲かせる。
花騎士チコリーの武器である棍棒は、咲く直前のつぼみの形状を模したものであろうか。

花が咲くように露地で栽培したものは、野菜としてスーパーで売られているチコリーとはまるで形状が異なり、
また「キクニガナ」の名の通り苦みが強く食べられない。
販売されているのは、もやしのように芽を暗所栽培し、白菜のように結球したところを収穫したものである。
芽キャベツや白菜の芯のように、シチューやグラタン、サラダなどに用いられる。

日本では玄米やら月見草やら大麦やらをブレンドした某爽やかで健康で美しくなるお茶の素材としても知られるが、
あれはチコリーの根の部分を炒って煮出したお茶の一種。
ただし、親戚のタンポポの根を使ったタンポポコーヒーというのがあるが、あれと同様に、黒い見た目と苦みのある味わいは
どちらかと言うとお茶というよりコーヒーに近い。ノンカフェインのコーヒー代用品として、健康食品サイトなどで売られている。

ちなみに、チコリーと同属の野菜にエンダイブ（Cichorium endivia）というのがある。
こちらは露地栽培されてリーフレタスのような外見になり、欧米でよく食べられているほか、日本でも長野県などで栽培される。
が、少々名称についてチコリーとの間でややこしいことになっており、

　・Cichorium intybus ＝ 英語：チコリー（chicory）　＝ フランス語：アンディーブ（endive）
　・Cichorium endivia ＝ 英語：エンダイブ（endive） ＝ フランス語：シコレ（chicorée）

…と、なぜか英語とフランス語の間で両種の呼び名が逆転しているのである。
さらにこれが人種のサラダボウルことアメリカ合衆国や、英仏語どちらも公用語のカナダともなれば…ますます混用の度は深い。
日本ではほぼ英語基準の「チコリー」「エンダイブ」の名でそれぞれ売られているので、まず間違えることはないが、
欧米渡航の折にはご注意あれ（？）。