リクニス のバックアップ(No.3)

リクニス（Lychnis）はナデシコ科の属のひとつ。和名はセンノウ（仙翁）属。
属名はギリシア語のlychnos（リクノス、灯火）に由来し、その名の通りに炎のように強い赤色の花を咲かせる種を含む。

園芸店などで「リクニス」の名前で販売されている植物はいくつかあり、
　リクニス・コロナリア（フランネルソウ、スイセンノウ）
　　… 赤紫や白の花を咲かせる、花壇でポピュラーな花。写真を見れば皆「ああ見たことある」と思うはず。
　リクニス・カルケドニア（アメリカセンノウ）
　　…ナデシコに似た赤い花をボール状に咲かせる。「ファイアボール」「バーニングラブ」などの名で売られている。
　リクニス・フロスククリ（カッコウセンノウ）
　　…花はピンクや白。それぞれの花弁が3～4叉に大きく裂け、やや縮れた花を咲かせる。
などがある。
ただし最新分類では、同じナデシコ科のマンテマ属（シレネ属、Silene）に移動された種も多く、上の3種もそう。
シレネ属には他にビスカリアなども含まれる。

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さて、花騎士リクニスのモチーフは、背景イラストの不規則に裂けた朱色の花弁に、青紫色の葯などから
恐らくセンノウ（仙翁、Silene bungeana / Lychnis senno）と思われる。古くはセンノウゲ（仙翁花）とも称した。
ふつうこの花をリクニスとは呼ばないが、語感などからの選択だろう。
仙翁の名は、京都の仙翁寺（現在の京都市右京区嵯峨野にあったが、現在は廃寺）にこの花が咲いていたことからという。
平安時代の名僧奝然（ちょうねん、938～1016）が宋から持ち帰ったという伝説もあるが、
実際にはこれは後付けで、室町時代初期の14世紀後半ごろに明から伝わった植物という説が強い。

花の強烈な赤色と不規則に裂ける花弁は、まさにゆらめく炎をそのまま花にしたかのようで、
その姿から室町時代の京都で貴族や僧の間に栽培が大流行したらしい。
が、その後戦国京都の混乱のゆえか、一挙に栽培はすたれてしまい、一時は幻の花とも呼ばれていた。
平成に入り、岡山県美作市の大聖寺という寺で、江戸時代に京都から分けてもらったセンノウの花が
その炎のような姿から本尊の愛染明王にお供えする仏花として代々大切に育てられ、守られていたことが判明した。
現在でもかなりのレア花であることは変わりないが、植物園などで栽培され、少しずつ民間でも流通・復興されつつある。