ハナオクラ のバックアップ(No.15)

ハナオクラ(Abelmoschus manihot)はアオイ科トロロアオイ属の多年草。
同属のオクラ(A. esculentus)に似た5弁の大きな花を咲かせるため、あるいは後述するように「花を食用にするオクラ」ということから花オクラと呼ばれる。
オクラはエチオピアあたりが原産と考えられているが、ハナオクラは中国原産。
ハナオクラという名は後から付いた名前なので、属名のトロロアオイで呼ばれることの方が多いかもしれない。

花の形は上述の通りオクラに非常に似ているが、実は形こそ似ているものの太く短い上に固いので食用には向かない。
一方で大きな花弁をサラダや天ぷらなどにして食べる地域もある。
ただし花は一日花なので採ってその日の内に調理する必要があり、市場への流通はほとんどない。

根がオクラの実のような粘性を持ち、これを「ネリ(糊)」として紙漉きに用いることができる。
ただしネリという名前から想像されるようにハナオクラの根がそのまま繊維を結びつけるわけではなく、繊維が水の中で適度な距離を保つようにする目的で使われる。
この効果は根に含まれる多糖類によるもので、他にも同様の目的でアオギリやキンバイソウの根も使われることがある。
なお一般的に使われる工業生産された洋紙では使われていないが、伝統的な手法の和紙の製造では現役。

余談だがオクラというのは和名ではなく英名で「okra」と書く。
本来のオクラの和名は「アメリカネリ」であり、同属のトロロアオイが糊として使われていたことに由来すると思われる。

栽培に関しては多湿を嫌うので水捌けの良い土が向いている。
日本では気候の関係で一年草として扱われるが、気温の高い地域などでは多年草になる。