ユズリハ のバックアップ(No.5)

ユズリハは　音も発てずに 風のない　朝に散る

ユキノシタ目ユズリハ科ユズリハ属の常緑高木。学名はDaphniphyllum macropodum。主な生育地方は西日本(特に九州など)
かつてはトウダイグサ科だったのだが、心皮の数の違いなどから独自のユズリハ科に移された。
枝先に螺旋状に新しい葉が生えていき、古く硬い葉がどんどんと下に降りていくのが特徴。また、葉の付け根は赤いのもポイント。
開花時期はおおよそ5～6月の初夏であり、雌花は白く小さな花を、雄花は多肉質の小さな赤い花を咲かせる。
雌花の受粉後は山葡萄のような小さな黒い実を房状に付ける。見た目は美味しそうだが……
学名のDaphniphyllumはギリシャ語で「月桂樹のような葉」という意味があり、その証拠に葉の形は月桂樹(ローレル)にそっくりである。

去年の正月組と同じく、正月に相応しい草木の一つ。
別名に「親子草」という名前があるが、これは新たな葉がどんどんと上に付き古い葉が下に降りつつゆっくりと落ちていく様が家族の世代交代を思わせるため。
故に縁起物として正月飾りに使われる事が多い。

ちなみに木の実は一見は美味しそうだが有毒。ユズリハアルカロイドとも呼ばれる独自のアルカロイドを数種類含んでおり、家畜やペットなどが誤食して中毒を起こす事例もしばしばある。
ただし、木の皮や葉を煮て抽出したアルカロイドを毛じらみ駆除や害虫よけとして使う民間的な薬用方法もあるとの事。
それでも毒物であることには変わりないので団長諸兄は真似をしないほうが良いだろう。

フランベルジェ、フランベルジュと呼ばれる西洋剣の一つ。その独特の刀身が炎を思わせるため、フランス語で炎を意味する"flamboyant(フランブワン)"から名前を取っている。
波打つ形状をした刀身が特徴であり、片手剣から両手剣まで様々なサイズが存在する。
某仮面の絵描きがドヤ顔で持ってる剣の片方もこれ。

一見するとなんとも珍妙な見た目の剣でどこか美術品のような美しさもあるが、この形状には中々にエグい理由があったりする。
というのもこの波打つ刀身で斬られると傷口が不定型(ザメツ傷と言う)となるわけだが、
通常の剣で斬られた比較的きれいな傷口と比較すると、この剣による歪んた傷口は止血処理がしづらい上に非常に痛い。
その上当時の消毒や治療技術が未発達だったこともあり、こういった治しづらい傷口から破傷風などの感染症にかかり、しつこすぎる痛みと感染症のダブルの苦痛の末に逝く兵士も多かったという。
ちなみに、中国の蛇矛やフィリピンのクリスという短剣も同じ理由で刃が波打っており、よく邪悪な形状だの言われるアフリカ投げナイフことピンガも似たような理由でああいう形状をしている。
形だけならソードブレイカーや日本の蛇行剣も同じではあるが、片方は剣を受け止めやすくするため、もう片方は儀礼用の為に象徴的な形としてああいう形状を取っているだけである。

美しくもどこか不気味さを感じさせるその形状とエグい特性故か、ファンタジーの創作においてはもっぱら悪役の剣だったり、付呪(毒や由来通りに炎、あるいは失血)を施された魔術剣として描かれることが多い。
フランベルジュ使いのキャラとしては「物語シリーズ」のエピソードや「ニンジャスレイヤー」のバジリスク辺りが有名だろうか。
また、フロムソフトウェアのアクションRPG「ダークソウル」では出血の状態異常を持つ片手剣として登場していたり、カプコンのアクションゲーム「モンスターハンターシリーズ」では毒属性のフランベロジュなる武器も存在する。(素材となるモンスターが主に舌を武器として使う為)

以上が一般的武器解説。
　波打つ形状の刀身の武器は古今東西多々あるが、共通して言えることは、実戦での利用事実が極めて少なく、物語などで突然時代を遡って登場してしまう不思議な傾向であり、史実上では圧倒的に儀礼の機会に登場する機会が多い。
そもそも、殺傷力云々を重視するならば、より深く刺突（切っ先を鋭利）することの方が圧倒的に殺傷性を高めるのであって、それは斬撃よりも刺突の刀剣が近現代の主流であることからも分かるだろう。
　ちなみに、フランス語の炎はフラム・フランム（flamme）。解説が指摘するflamboyantは「華麗さ、けばけばしさ」の意味であり、flambeauの変化形であり、語源を同一化することには異論がある模様。ドイツ語のフランベルク（Flamberg）の方は炎の語源は見いだせる模様